2013年の経常収支が20年ぶりに黒字転換

(ポルトガル)

マドリード事務所

2014年04月16日

ポルトガル中央銀行によると、2013年の経常収支は20年ぶりに黒字転換し、貿易収支も黒字となった。2011年5月に合意された3年にわたる財政支援プログラム(総額780億ユーロ)が間もなく終了を迎え、ポルトガルの債券市場への完全復帰に向けた見通しは改善しつつある。

<好調な輸出が経済を牽引>
ポルトガル中銀の2月20日の発表によると、2013年の経常収支は20年ぶりに黒字転換し、黒字額は8億8,100万ユーロに達した(2012年は33億ユーロの赤字)。貿易収支も約28億5,000万ユーロの黒字となった。

国家統計院(INE)によると、2013年第4四半期(10〜12月)のGDP成長率(前年同期比)は1.6%、前期比でも0.5%と高い数値を示した。好調な輸出が経済回復を牽引しており、12月の貿易額は輸出が8.0%増(前年同月比)、輸入が3.5%増、2013年全体でも輸出が4.6%増、輸入が0.8%増となった。

<順調に進む財政再建プログラム>
2014年度政府予算案は2013年11月27日、連立与党の過半数を得て成立した。他方、一部で懸念されていた官民年金統合法の合憲性について、アニーバル・アントーニオ・カバコ・シルバ大統領は事前審査請求を行っていたが、2013年12月19日、憲法裁判所は全会一致で違憲判決を下した。政府はこの判決を受け、公的保険料の引き上げ、年金特別連帯税の課税対象拡大を含む2014年度補正予算案を議会に提出し、2014年2月7日、賛成多数で可決された。

2013年12月4〜16日に実施された第10回定期審査に関わるIMF報告書が、2014年2月19日に発表された。同報告書は、財政再建プログラムが順調に進んでおり、経済見通しも改善していることから、IMFなどとの合意事項は達成されるとしている。他方、高い水準で推移する失業率、公的債務の増加といった課題が残っており、経済成長に向けた投資の活性化が必要と指摘している。

また、IMFは同報告書でポルトガルの2013年の年間経済見通しについて、GDP成長率をマイナス1.6%(個人消費:マイナス1.8%、政府消費支出:マイナス2.0%、総固定資本形成:マイナス8.0%)、財政収支の赤字をGDP比5.9%、政府債務残高をGDP比129.4%としている。

2013年12月、民放テレビ局のインタビューでペドロ・パソス・コエーリョ首相は、追加融資を伴う第2次支援の要請は不要であり、欧州安定メカニズム(ESM)の支援による予防的プログラムが適用される場合、その期間は1年間になるとの見方を示した。欧州重債務国の経済回復傾向を受け、2014年に入ってから欧州債市場におけるポルトガル10年債の利回りは5%を下回る展開が続いている。

(小野恵美)

(ポルトガル)

ビジネス短信 534ccdeec8af0