日本産の牛肉・豚肉が輸入可能に

(ベトナム)

ホーチミン事務所

2014年04月03日

日本の厚生労働省は2014年2月、「対ベトナム輸出食肉取扱要領」を定めた。これにより、これまで、制度上、日本からベトナムに輸入できなかった牛肉・豚肉が輸入可能になった。

<食品安全検査規制によりこれまでは輸入ができず>
ベトナムでは、食品が適切な輸出国の施設から輸出されていることを担保するため、2010年以降、食品安全法に基づく輸入規制がある。これにより、動物由来食品(鶏肉、豚肉、牛肉など)・水産物(魚など)、植物由来品(野菜、果物など)(注1)のいずれについても、輸出国の当局からその旨の証明書(日本では「食品衛生証明書」と呼ばれる。動物由来品・水産物については、輸出国が日本だというだけでは足らず、指定された加工製造施設で製造されたことを証明する書類)を得た上で、ベトナムで事前登録・承認を経て、輸入通関をしなければならない。

輸出国・輸入国の当局同士で登録が済んでいない場合は、その輸出国からの輸入は許可されない状態となる。これまで、日本を輸出国とする農水産品のうち、水産品、鶏肉、最近では植物由来品について、登録が完了し日本から輸入可能となっているが、牛肉・豚肉については、登録未了のため日本から輸入ができない状態となっていた。

<ベトナム当局に登録された施設での処理が条件>
2014年2月、日本の厚生労働省により「対ベトナム輸出食肉取扱要領」(注2)が定められた。また、牛肉・豚肉(注3)についての対ベトナム輸出食肉取り扱い施設の登録手続きが定められ、本手続きにより、今後、食肉取り扱い施設が都道府県と厚生労働省を介して、ベトナム当局に登録されることになる(4月2日現在、同要領に基づき設定された食肉取り扱い施設はない)。

日本の輸出者側は、登録された食肉取り扱い施設において加工製造された牛肉・豚肉の場合、管轄する食肉衛生検査所または保健所が発行する「食肉衛生証明書」を取得することになる。ベトナムの輸入者側は、食肉衛生証明書を地方当局(地方の農林水産品質管理部局)に提出し、検査後に食品安全証明書を得、その食品安全証明書をもって輸入通関することになる。

(注1)植物由来品の範囲については、HSコードレベルでの定義が存在する(2013年12月27日記事参照)。動物由来品・水産物については、HSコードレベルでの定義が存在しない状態となっている。
(注2)日本の厚生労働省ウェブサイト参照。
(注3)ここでいう牛肉・豚肉とは、牛および豚の生肉および内臓(心臓、肝臓および腎臓に限る)であって冷蔵または冷凍のものを指している。注2のウェブサイト参照。

(近江健司)

(ベトナム)

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