大雨でドナウ川の水位が過去最高に−6月11日時点で日系企業に大きな影響なし−

(ハンガリー)

ブダペスト事務所

2013年06月12日

6月上旬にチェコ、ドイツなどで起きた大雨によるドナウ川の増水の影響について、ハンガリーでは6月9日から10日にかけて最高水位が8.91メートルに達し、過去最高を記録した。首都ブダペストから北に数十キロのエステルゴム市で操業するスズキの現地法人マジャールスズキでは、近隣の橋が通行禁止となり従業員の出勤が困難になることから10日は臨時休業としたが、工場自体に影響はなく、翌11日には操業を再開した。他の日系企業にも大きな影響は生じていないもよう。首都では水位は下がり始めている。

<マジャールスズキ、6月10日は臨時休業>
6月上旬からチェコ、ドイツなどで起きた記録的な大雨による影響で、ハンガリーを縦断するドナウ川が増水し、6月10日午後4時ごろに水位は8.91メートルを記録し、過去最高だった2006年の8.6メートルを上回った。首都ブダペストから北に数十キロのスロバキアとの国境沿いに位置するエステルゴム市に工場のあるマジャールスズキでは、対岸のスロバキアとハンガリーを結ぶマーリア・バレーリア橋が通行禁止になり、スロバキアに住む従業員約800人が通勤できなくなったため、10日は臨時休業とした。工場は川から離れているため影響はなく、報道によると、生産計画に変更はなく、また部品の調達、完成車の出荷についても問題は出ていないという。翌11日朝6時から工場を再開した。

6月11日時点で、他の日系企業にも大きな被害は出ていないもようだ。

ドナウ川の増水に対して、多くのボランティアが土のうを積んだり塀を張り巡らしたりして対応した。ブダペスト市の中心地では水位9メートルまでは安全だとされていたが、土手沿いを走る道路は完全に水没し、川のそばにある地下鉄駅などは安全確保のため閉鎖された。市内では特段の大きな混乱はなく、平常を保っている。6月11日時点で水位も徐々に下がってきており、12日には8メートル以下になると見込まれている。

首都ブダペスト、ドナウ川沿いの様子(手前は路面電車の線路、6月11日筆者撮影)

(柴田多佳子)

(ハンガリー)

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