EUの2月の失業率は前月比0.1ポイント上昇

(ユーロ圏、EU)

ブリュッセル事務所

2013年04月09日

EU統計局(ユーロスタット)は、EU加盟27ヵ国の2013年2月の失業率(季節調整済み)を前月から0.1ポイント上昇の10.9%と発表した。ユーロ圏17ヵ国では前月と同率の12.0%だった。他方、若年層(25歳未満)の失業者数は2月にはやや減少し、EU全体で569万人となり、そのうちの358万人がユーロ圏での失業者だった。

<1月以降、失業率は上昇傾向に>
ユーロスタットの4月2日発表によると、EU加盟27ヵ国の2月の失業率は前月比0.1ポイント増の10.9%だった(表参照)。EUの失業率は2012年12月まで3ヵ月連続の横ばいだったが、1月以降、上昇傾向にある。前年同月比では0.7ポイントの上昇だった。

EUおよび加盟国の失業率

他方、ユーロ圏17ヵ国の2月の失業率は前月と同率の12.0%となった。同率となったのは1月の数値が前月発表の11.9%から0.1ポイント上方修正されたためだ。前年同月比では1.1ポイントの上昇だった。

国別に前月比でみると、2月の数値を入手できたEU加盟22ヵ国のうち、リトアニア(13.3%→13.1%)で0.2ポイント改善したほか、ベルギー(8.2%→8.1%)とイタリア(11.7%→11.6%)、マルタ(6.7%→6.6%)の3ヵ国でともに0.1ポイント改善した。

他方、0.3ポイント上昇したキプロス(13.7%→14.0%)を筆頭に、オランダ(6.0%→6.2%)で0.2ポイントの上昇、スペイン(26.2%→26.3%)、フランス(10.7%→10.8%)、ルクセンブルク(5.4%→5.5%)、スロベニア(9.6%→9.7%)、チェコ(7.1%→7.2%)、ルーマニア(6.6%→6.7%)の6ヵ国で0.1ポイント上昇した。

失業率の悪化が続いていたスペインは2月も0.1ポイントの上昇にとどまったが、若年層(25歳未満)の失業率は55.7%に達しており、こちらは悪化の勢いが弱まっていない。

<若年層の失業率は国によって差>
一方、2月の失業率を前年同月比でみると、0.9ポイント低下したアイルランドを筆頭に、0.6ポイント低下のルーマニア、0.5ポイント低下のリトアニア、0.2ポイント低下のドイツが続いた。

他方、キプロス(3.8ポイント上昇)で4ポイント近く、ポルトガル(2.7ポイント上昇)、スペイン(2.4ポイント上昇)で2ポイント以上悪化した。ギリシャは2012年12月の数値までしか発表されていないため、正確な比較はできないが、2011年12月から2012年12月までの1年間で失業率は5.0ポイント悪化しており、悪化率ではワースト1を維持している。2012年9月の失業率でスペインを抜いた後、毎月上昇速度を速めていたが、同12月時点では26.4%となり、やや減速した。

EU全体としては、失業率は緩やかな上昇傾向が続いている。オーストリア(4.8%)、ドイツ(5.4%)、ルクセンブルク(5.5%)が4〜5%台にとどまる中で、スペイン(26.3%)、ギリシャ(26.4%、ただし12月の失業率)は26%台となり、格差は依然大きい。

また、EU全体の若年層(25歳未満)の失業者数が2013年2月には、前月から約4万人減少の569万人となった。このうち358万人がユーロ圏の失業者で、1月と比べて6万人減少したという。とはいえ、ユーロ圏の失業率の格差は、若年層で一層顕著で、ドイツ(7.7%)、オーストリア(8.9%)、オランダ(10.4%)で7〜10%台なのに対し、スペイン(55.7%)とギリシャ(58.4%、ただし、2012年12月の数値)で60%近くまで上昇している。若年層の失業率をみた場合に、ギリシャとスペインの数値と、ドイツの数値の格差はさらに拡大する傾向にある。

(田中晋)

(EU・ユーロ圏)

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