AANZFTA、インドネシアとも発効−ASEAN全10ヵ国とのFTAが完成−

(ASEAN、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランド)

オークランド発

2012年02月03日

ASEAN・オーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定(AANZFTA)が1月10日、インドネシアとの間で発効し、ASEAN全10ヵ国との自由貿易協定(FTA)が完成した。

<農産品などの輸出拡大や地熱エネルギー協力に期待>
AANZFTAは2009年2月27日、タイで行われたASEANサミットに合わせ、ASEAN、オーストラリア、ニュージーランドの各経済担当相によって署名され、10年1月1日にブルネイ、ミャンマー、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ベトナムとの間で、同年3月12日にタイ、11年1月1日にラオス、同年1月4日にカンボジアとの間でそれぞれ発効している。

インドネシアは、ニュージーランドにとって10番目に輸出額が大きく、11年のインドネシア向け輸出額は8億5,577万ニュージーランド・ドル(NZドル、1NZドル=約63円)だった。主な輸出品目は、粉乳、クリーム、冷凍肉、バター、チーズなどの農産品。輸入額は17番目に大きく、11年の輸入額は7億2,382万NZドルで、油かす、原油、肥料、ゴムなどが輸入された。

インドネシアのGDP成長率は11年6.5%、12年は6.7%と予測されており(インドネシア中央銀行)、消費も堅調で、スーパーマーケット業界が大きく成長している。インドネシアは主要貿易相手国の中国、米国、日本、英国に比べて地理的に近いため、ニュージーランドの農産品、食品などの輸出業者は、AANZFTA発効をインドネシアへの輸出拡大の好機ととらえている。

もう1つ成長が期待される分野は地熱エネルギー産業だ。これまでにもインドネシアとは地熱分野で協力関係にあり、1970年代に西ジャワのカモジャン(Kamojang)地熱発電所の設備に関し、ジオサーマル・エナジー・ニュージーランド(GENZL)が協力、これまで160人のインドネシア人エンジニアがオークランド大学地熱研究所で研修した実績もある。

輸出入の決済手続きや必要書類などでの障害はあるものの、インドネシアが有望な市場になることが期待されている。

(原田直美)

(ニュージーランド・オーストラリア・インドネシア・ASEAN)

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