英国におけるエンジニアードウッド市場調査
（ロンドン発）

無垢の材木の価格上昇が一因となり、価格が比較的低く、環境に優しいエンジニアードウッドの需要はますます高まっている。特にCLT（Cross Laminated Timber）需要が増しており、床材としての用途が最も多い。国内製造品と輸入品が市場をほぼ均等に占めている。耐火性あるいは美的な面で優れているといった特徴がある製品に市場機会があると考えられる。

英国政府は補助金、助成金、税制優遇措置など、さまざまな取り組みを通じて住宅建設を支援している^※1。パンデミック後の住宅リフォームへの投資の増加により、床材、壁材、天井材として使用される木質パネルの需要が高まった^※2。それが一因となり、材木価格が上昇した。エンジニアードウッドは合板から屋根トラスまで様々な製品があり、無垢の木を使った製品と比較して価格が安く、環境に優しいという特徴がある^※3。そのためエンジニアードウッドの需要は増加している。

Market Research.com（市場調査会社）によると、英国のエンジニアードウッド製床材の市場規模は2022年から2030年までの間に年平均3%拡大し、2030年には24億9,500万ドルに達すると予測されている^※4。

英国における2022年の木質パネル生産量は、パンデミックの影響で前年比1%減少して、350万立方メートルであった。同様に木質パネルの輸入量は20%減少し、300万立方メートルであった^※5。需要のほぼ半分を輸入に頼っている。表1および表2に過去4年間の木材パネルの輸入先と輸入額を示す。

英国におけるエンジニアードウッドの主要メーカーはWest Fraser Europe（旧Nordbord Europe）、Egger（UK）、Kronospanの3社である。各社の概要を表3に示す。それぞれ市場の21%から26%のシェアをもっている^※6。価格は製品の種類によって異なるが、たとえば、ラミネートフローリング製品はおよそ10-40ポンド/平方メートル（約1900-7600円、1ポンド＝約190円）の価格帯で販売されている^※7。

英国で最も売れているエンジニアードウッドは、木の細かい破片を合成樹脂などで固めてつくられるパーティクルボードであり、その売上高は2023年に11億ポンドに達すると予測されている^※11。森林破壊に繋がらない持続可能な建築材料への関心が高まっていることが、販売高増加の一因となっている^※12。

細かい木材チップを使ってつくられるMDF（Medium Density Fibreboard）の売上がその次に多く、およそ3億4千万ポンドと予測されている^※13。MDFは、安価な輸入品との競争のため、国産品の市場シェアは限られている^※14。その次に売上の多い、木材チップを接着剤と混ぜて熱圧成型してつくられるOSB（Oriented Standard Board）は、国内ではスコットランドのインヴァネスにあるNordbord Europeの工場でしか製造しておらず、1億5千万ポンドと予測される売上のほとんどは輸入品である^※15。エンジニアードウッドの輸入品のほとんどはアジアとEUから送られてくる^※16。

Mordor Intelligence（市場調査会社）によると、CLTの需要の増加が見込まれている^※17。用途としては床材の需要が引き続き増加する見込みである。一方、製造に使用されるホルムアルデヒドのエミッションに関する懸念により、エンジニアードウッド市場の成長が妨げられる可能性がある^※18。

輸入品は、基本的に輸入とディストリビューションの両方を行う大手事業者によってビジネスそして一般消費者の両部門に販売されている。これらの大手事業者は国内製造品も扱っている。建設会社がメーカーから直接購買するケースもある^※19。

エンジニアードウッドを輸入・販売している主要な事業者を表4に示す。

英国のDIYチェーン最大手であるB＆QとHomebaseなどもエンジニアードウッドの輸入・販売を行っている。

エンジニアードウッドに関する規制、規格・認証として以下を挙げることができる。

エンジニアードウッドは無垢の木と比較して環境持続性が高いことから、好ましい建設材料とみなされている。関連する法規制として以下を挙げることができる。

2022年に起きたグレンフェル・タワーの火災を受け、建築資材に対する耐火性に関する人々の関心は高い。そのため耐火性をアピールした製品は市場機会があると考えられる。同様に美観の観点から表面に美的特徴をもたせた製品は市場機会があるであろう。