海外発トレンドレポート

B2Bプラットフォームの活用とコロナ禍での調達活動(4) バイヤーから日本企業への要望・アドバイス(中国・北京発)

2023年2月14日

日本企業への要望・アドバイス

海外調達ニーズおよび実績のある機械部品と化粧品業界各4社に対し、調達先としての日本企業に対する要望やアドバイスについてヒアリングを行ったところ、以下の指摘が寄せられた。

機械部品業界

日本のメーカーや製品について広く網羅した情報チャネルの開設

言語の違いや情報格差といったハードルもあり、一部の著名なメーカーを除き、先進技術を有する日本メーカーやその製品に対する情報が中国側に伝わってこない。特に中小零細メーカーに関しては、情報収集のチャネルがほとんどないことから、日本の製品や高精度機械部品の応用領域に関して、より多くの情報が得られるチャネルがほしい。

技術交流や提携の強化

今後、日本企業と交流する機会を増やし、日本の先進的な部品生産技術や加工技術について知見を深めたい。また日本からより多くの高精度な生産設備を導入したい。

対応力の高い物流サービス

ヒアリング回答者によると、日本では、複数社から製品を調達すると、調達の過程で一部の製品がバラバラに配送されるケースがある。こうした問題を解決してくれる物流会社が必要だ。複数のサプライヤーの貨物をひとまとめにしての中国企業への輸送を可能にしてもらいたい。

高コストパフォーマンスの実現および支払いサイトの引き伸ばし

一部のヒアリング回答者によると、日本製品の品質は良いが、コストパフォーマンスが高いとはいえない。現時点では代替品がないため、日本製品を購入しているが、もし今後、中国国内でよりコストメリットのある代替品が現れれば、中国製品に乗り換える可能性もあるという。

また昨今の不況から、支払いが滞る販売先(得意先)も増えつつある。日本企業にもある程度の範囲内で、支払いサイトの引き延ばしに協力してほしい。

中国語版資料でマーケティング

中国向けの輸出実績・経験がなかったり、中国で知名度が低い日本メーカーも数多く存在する。これら企業についての企業紹介や製品情報などに関する資料が不足している。できれば中国語で、製品関連資料を作成したうえで、代理店やディストリビューター任せではなく、自ら中国国内でブランディングやマーケティングを行ってもらいたい。

決裁プロセスおよび納期の短縮

日本企業から調達する際、社内の決裁プロセスが煩雑で、価格の問い合わせから契約締結までに1~2週間も要することが多い。日本企業には、このプロセスを短縮し、調達効率アップを図ってほしい。

また一部の日本企業は納期が長めで、半年以上かかるケースもある。この場合、顧客にとって時間および運転資金のプレッシャーとなり、代替品に乗り換えられる可能性も高くなる。日本企業には納期の短縮にも努めてほしい。

化粧品業界

日本のメーカーや製品を広く網羅した情報チャネルの開設

現在提携している日本のメーカーや製品の品目はあまり多くないため、より多くの企業や製品にアクセスできるチャネルがあれば望ましい。

資本面を含めた提携の強化

出資など資本的な提携を含め、日本メーカーとの関係強化を希望している。

製品の生産段階から関与を深めることで、中国市場のニーズに合致した製品を日本のメーカーと共同で開発し、安定的な製品の供給や品質を確保したい。

利便性の高いプラットフォーム

一部のヒアリング回答者によると、現在調達している製品はメーカーやジャンルが多岐にわたっており、複数の企業と協議しなければならないという。

もし1つのプラットフォームで、複数の候補先のメーカーにアクセスできれば、時間的コスト削減と作業効率を高めることができる。

より全面的なブランド教育とマーケティング面での各種サポート

現在提携しているメーカーは、製品に関する基本的な研修を除き、あまり多くの情報をシェアしてくれていない。各社のブランドストーリー、製品開発への思い、スキンケアやヘルスケアの理念、企業文化などの情報や知識を代理店と共有し、代理店が中国国内でブランドや製品をより広範囲かつ深くアピールできるよう支援してほしい。

また日本企業はマーケティング面で、予算含めた各種サポートが少ない。今後、中国で製品の広告・宣伝や新製品のリリース時などに、より多くの資材や広報パッケージなどを提供してもらいたい。

代理店制度

日本企業には、中国に総代理店または地区ごとの総代理店といった体制を敷いてほしい。中国国内にメーカーと直接取引する代理店が複数存在すると、代理店間での競争が激化し、製品の販売や広告・宣伝にも悪影響を及ぼす可能性がある。複数の都市や小売流通チャネル間で、商品価格がバラバラとなり、値引き競争が起きて利益を確保できない状況も多々発生している。

ヒアリングからは、「日本のメーカーや製品を広く網羅した情報チャネル」設置を望む声が機械部品、化粧品両業界から共通して聞かれた。また、知名度不足などを補うためには、中国語での商品説明や企業文化に関する情報など、情報提供を強化して欲しいとの声も共通している。

前にも述べたが、納品までスムーズに行えるように、スピーディーな意思決定と迅速な供給により納期の短縮を図ること、コスト面での競争力を高めること、商品価格のばらつきを抑えるために総代理店制度をうまく活用すること等につき要望が寄せられた。

これらの現地で調達ニーズおよび実績のあるバイヤーの声が、皆さまの中国での販路拡大の参考となれば幸いである。


作成
ジェトロ・北京事務所
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本レポートは、日本貿易振興機構(ジェトロ)北京事務所がキャストグローバルコンサルティング(株) に作成委託し、2023年2月に入手した情報に基づき作成したものです。掲載した情報は作成委託先の判断によるものですが、一般的な情報・解釈がこのとおりであることを保証するものではありません。本レポートはあくまでも参考情報の提供を目的としており、提供した情報の正確性、完全性、目的適合性、最新性及び有用性の確認は、読者の責任と判断で行うものとし、ジェトロおよびキャストグローバルコンサルティング(株) は一切の責任を負いません。これは、たとえジェトロおよびキャストグローバルコンサルティング(株) が係る損害の可能性を知らされていても同様とします。

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