世界のクリーン水素プロジェクトの現状と課題各州支援と淘汰進むプロジェクト
オーストラリアのグリーン水素(2)

2025年2月14日

オーストラリアでは、連邦政府だけでなく、各州政府も地元産業や地理的な強みを生かし、独自に水素普及に向けた施策を進めている。「オーストラリアのグリーン水素(1)連邦政府の水素戦略と製造支援策」に続く本稿では、各州政府の水素分野の取り組みに加えて、2023年から2024年にかけてのオーストラリアの水素プロジェクトの進捗状況を紹介する(注1)。

それぞれの強み踏まえ、独自に水素政策進める州政府

2023年以降に進捗があった州政府の取り組みについて紹介する。連邦政府は2019年に初めて水素戦略を発表したが、州政府も2019年から2020年にかけて水素戦略を発表した。その後、連邦政府が2024年9月に国家水素戦略改定版を発表した後、西オーストラリア州(WA州)も2024年10月に改定版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、クイーンズランド州(QLD州)も改定を予定している。

連邦政府は、「水素ヘッドスタートプログラム〔Hydrogen Headstart Program外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、市場価格とグリーン水素の生産コストの間に生じる価格差への補填(ほてん)〕」、水素生産税制優遇措置などを発表。一部の州政府も、グリーン水素の生産者に対して、生産コスト削減のための補助制度を実施している(表1参照)。例えば、ニューサウスウェールズ州(NSW州)は15億オーストラリア・ドル(約1,440億円、豪ドル、1豪ドル=約96円)を拠出して、グリーン水素の生産にかかる電力料金の割引や送電網接続料金の割引制度を提供している。同制度は2023年3月以降、公募が継続しており、採択されれば、各料金から30~100%の割引が受けられる。価格差支援策については、タスマニア州(TAS州)が2023年10月に「グリーン水素価格引き下げ制度」の導入を発表し、同制度に800万豪ドルを拠出するとした。連邦政府の政策と異なり、5~10メガワット(MW)と中・小規模のグリーン水素プロジェクトに対する支援策だ。また、NSW州とビクトリア州(VIC州)では、クリーンエネルギーの普及に必要な機器などの製造への助成プログラムが発表されており、電解槽など水素生産に必要な機器もこれの対象となる。

モビリティー分野では、NSW州で水素燃料電池のバスやごみ収集車が試験的に導入された。また、VIC州では州政府が支援する地元のスウィンバーン工科大学の水素技術研究ハブ(VH2)と連邦政府の研究開発機関オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)が共同で、2023年11月に水素ステーションを開設した。このプロジェクトでは、実証でトヨタ自動車の燃料電池自動車「ミライ」が活用されている。

オーストラリアでは水素普及に向けた人材不足が課題の1つだ。NSW州、VIC州、QLD州、WA州で水素やクリーンエネルギー分野の人材訓練施設の設立を発表している。

表1:2023年以降発表の各州政府の水素関連助成金や取り組み

表1:PDF版を見るPDFファイル(674KB)

水素戦略などの発表 水素ハブ支援 水素関連の補助金制度など モビリティー 人材育成 国際連携
ニューサウスウェールズ州(NSW) 2021年10月
  • グリーン水素ハブ3拠点(Hunter地域、Illawarra地域、Moree地域)への支援
    (1億930万豪ドル)(2023年3月~9月にかけて発表)
  • グリーン水素生産者向けの電力料金や送電網接続料金の割引(15億豪ドル)(2023年3月~公募受け付け中)
  • グリーン水素生産証書を取引する再生可能燃料制度(RFS)(制度構築中)
  • ネットゼロに向けた新技術・製品開発(例:電解槽)・購入への支援(Net Zero Manufacturing Initiative)(2億7,500豪ドル)(2024年7月~2025年3月に公募採択者発表)
  • 州政府が2023年3月~6月に、セントラル・コーストで水素燃料電池バスの実証を実施
  • 州政府が2023年12月、Illawarra地域で半年間水素燃料電池バスの実証を開始したことを発表
  • ニューカッスル市がごみ収集車の一部に水素燃料電池トラックを1年間試行的に導入すると発表。
  • 水素向けの人材育成施設「水素センター・オブ・エクセレンス」を2027年に開設(2,500万豪ドル)(2024年8月発表)
  • 州政府と福岡県が水素分野における協力促進の覚書を締結(2024年1月)
  • 州政府と東京都が水素エネルギーの社会実装化に関する合意書を締結(2024年2月)
ビクトリア州(VIC) 2021年2月
  • ディーキン大学の水素研究ハブであるHycel Technology Hubへの支援(900万豪ドル)(2024年10月開所)
  • Hydrogen Park Murray Valleyへの支援(1,230万豪ドル)(2023年6月発表)
  • ネットゼロに向けた新技術・製品開発・購入への支援(Made in Victoria - Energy Technologies Manufacturing program)(例:電解槽)(各採択者に対して最大75万豪ドル)(2023年12月公募締め切り)
  • 州政府支援(1,000万豪ドル)のスウィンバーン工科大学の水素技術研究ハブVictorian Hydrogen Hub(VH2)とCSIROが水素ステーションを開設(2023年11月)
  • 「グリーン水素労働者訓練センター」の開設を発表(連邦政府:1,000万豪ドル、州政府:800万豪ドル)(2024年5月)
クイーンズランド州(QLD) 2019年5月
(改定を予定)
  • QLD水素産業開発基金(HIDF)(3,500万豪ドル)を通じて、4つの水素プロジェクトへの支援(水素パークGladstone、SunHQ水素ハブ、Emerald Coaches グリーン水素モビリティープロジェクト、Goondiwindi水素プロジェクト)
  • QLD再生可能エネルギー・水素雇用基金(QREHJF)(45億豪ドル)を通じて、4つの水素プロジェクト〔Kogan Creek再生可能水素実証プロジェクト、Central Queensland水素プロジェクト(CQ-H2)、Brigalow Peaking発電プラント、Barcaldine発電所〕に対して支援を発表
  • グリーン水素含む新産業プロジェクトに対して補助を行う産業パートナーシッププログラム(IPP)の追加支援(5,350万豪ドル)(2023年8月)
  • Townsvilleの「Bohle TAFE(高等職業訓練専門学校)」に再生可能エネルギーと水素に関する訓練施設を建設(1,829万豪ドル)(2024年7月)
  • グラッドストーンにある州立高校に、水素訓練施設を設立(200万豪ドル)(2023年5月)
  • 州政府貿易投資庁と東京都がグリーン水素を含むクリーンエネルギーの貿易・投資協力合意書締結(2024年12月)
西オーストラリア州(WA) 2024年10月
※2019年の改訂版
  • グリーン水素ハブ拠点へ支援。
    支援先
    (1)Pilbara(7,000万豪ドル(連邦政府と共同で発表)(2024年2月)
    (2)Mid-West(6,000万豪ドル)(2024年10月)
  • 投資誘致基金を通じて、3つの水素関連プロジェクト(クイナナエネルギートランスフォーメンションハブ、MEGHP1、Yuri Renewable Hydrogen to ammoniaプロジェクト)を支援(2,300万豪ドル)(2023年7月)
  • グリーン鉄鋼、電解槽製造の実施可能性調査レポートを州政府が発表(2023年10月、11月)。
  • 「高等職業訓練専門学校(TAFE)クリーンエネルギー技能国立センター・オブ・エクセレンス」の開設と支援(7,050万豪ドル)を発表(2024年6月)
南オーストラリア州(SA) 2019年9月(行動計画)
2020年10月(水素輸出書)
  • 連邦政府と共同でグリーン水素ハブ(Port Bonython)を支援(連邦政府:7,000万豪ドル、州政府:3,000万豪ドル)(2023年9月)
  • 2022年6月に発表したWhyallaグリーン水素発電所プロジェクト(5億9,300万豪ドル)の開発(2026年稼働予定)
  • 州内のサプライヤーの供給能力をまとめた水素サプライチェーンマップの発表。(2023年10月)
  • グリーン鉄鋼に関する戦略「Green Iron and Steel Strategy」を発表(2024年6月)
  • 州政府と米国カルフォルニア州が水素技術の協力書に署名(2024年5月)
タスマニア州(TAS) 2020年3月
  • 連邦政府と共同でグリーン水素ハブ(Bell Bay)を支援(連邦政府:7,000万豪ドル、州政府:2億3,000万豪ドル)(2024年1月)
  • 2020年5月に発表された5,000万豪ドル規模のTAS州再生可能水素産業開発資金(TRHIDF)プログラムのもと以下を実施。
    州内で製造されたグリーン水素の製造コストと販売価格の差額を補填する、「グリーン水素価格引き下げ制度 (GHPRS)」(最大800万豪ドル)の導入(2023年10月)と採択企業の決定(2024年5月)
  • 水素燃料電池バス3台の実証を予定(1,100万豪ドル)(2024年後半)
  • 州政府とドイツのブレーメン市とグリーン水素開発に関する共同声明に署名(2023年9月)
北部準州(NT) 2020年7月
  • グリーン水素ハブ拠点(Darwin H2 Hub)は州政府から主要プロジェクトステータスを獲得(2024年1月)
  • 州政府とJOGMECがエネルギー・重要鉱物など金属分野の協力覚書締結(水素・アンモニア含む)(2024年7月)
首都特別地域(ACT) 水素に特化した戦略は発表されてない
  • エネルギーイノベーション基金(技術実証助成金、政策課題助成金、イノベーションエコシステム助成金)を通じた水素企業を含む支援(1,700万豪ドル)(2024年7月)
  • 州政府はゼロ・エミッション車の普及に力を入れており、公用車などで水素燃料自動車(現代自動車のネッソ)20台や水素ステーションを導入(2021年3月から実施)。

注1:カッコ内の金額は州政府による助成額。
注2:2023年よりも前に発表されている施策はここでは省略する。
出所:CSIRO「HyResource」、各州のウェブサイト、連邦政府「State of Hydrogen 2022」、同「National Hydrogen Strategy 2024」を基にジェトロ作成

連邦政府と州政府が支援する水素ハブ

連邦政府や州政府により、オーストラリア国内には水素の製造・消費・輸出拠点を1カ所に集約する水素ハブが構築されている。工業や運輸、エネルギーといった水素の需要家となり得るさまざまな産業を1つのエリアに集約することで、スケールメリットによるコスト削減を実現し、産業化の足がかりとすることを目指している。

連邦政府は、こうした各地域の水素ハブ開発のため、約5億豪ドルの拠出を発表し、2023年から2024年にかけて「地域水素ハブプログラム」として、全国7カ所の水素ハブ(表2)への助成を発表した。なお、連邦政府が指定した7カ所の水素ハブは連邦政府だけでなく、州政府からも各州の優先ハブの1つとして、助成を受けている。また、州政府だけが支援しているハブも存在する(図1参照)

表2:「地域水素ハブプログラム」による助成額(-は値なし)
地域 助成金額(連邦) 助成金額(州) 時期
ハンターバレー NSW州 7,000万豪ドル 2023年7月
グラッドストーン QLD州 6,920万豪ドル 2023年10月
クイナナ WA州 7,000万豪ドル 2023年11月
ベルベイ TAS州 7,000万豪ドル 2億3,000万豪ドル 2024年1月
タウンズビル QLD州 7,000万豪ドル 2024年1月
ピルバラ WA州 7,000万豪ドル 7,000万豪ドル 2024年2月
ポート・ボナイソン SA州 7,000万豪ドル 3,000万豪ドル 2024年2月
連邦政府合計 4億8,920万豪ドル

注:州による助成金額が記載されている州は、地域水素ハブプログラムとして連邦政府と共同で支援発表があったもの。これ以外に州政府のみが各ハブに助成しているものは、表1を参照。
出所:CSIRO「HyResource」、連邦政府ウェブサイトから作成

図:オーストラリアの水素ハブ
連邦政府が指定した7カ所の水素ハブは連邦政府からの助成だけでなく、州政府でも各州の優先ハブの一つとして助成されている。また州政府だけが支援しているハブも存在する。具体的には、モーリー、イラワラ、ギブスランド、ワイアラ、ミッド・ウェスト、ダーウィン。

注:各州政府支援の水素ハブの中には、過去に連邦政府から別のプログラムで助成されているハブもある。
出所:CSIRO、連邦政府ウェブサイトを基にジェトロ作成

国内水素プロジェクトは93件、そのうち87%がグリーン水素プロジェクト

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)によると、国内の水素プロジェクトは2025年1月17日時点で93件ある(図2参照)。そのうち、基本設計や実施可能性調査段階などの「開発中」が60件と大半を占め、「建設中」は15件ある。全体93件のうち、水素の種類(色)の内訳では、グリーン水素が81件で、87%がグリーン水素のプロジェクトだ(表3参照)。また、開発中60件のうち、半数近くの29件は生産開始時期が定まっていない。27件が2025年~2030年、4件が2030年代に生産開始を目標としている。水素プロジェクトの件数を州別にみると、WA州とQLD州で20件を上回り、特に件数が多い。2つの州には既存のエネルギー産業、重工業、港湾ターミナルなどが発達していることが関係しているとみられる。

図2:各州における水素プロジェクト件数   (2025年1月17日時点)
オーストラリア国内の水素プロジェクトは、2025年1月17日時点で93件ある。うち開発中が60件。

出所:CSIRO「HyResource」からジェトロ作成

表3:水素の種類別プロジェクト件数(2025年1月17日時点)
水素の色 件数(件)
グリーン水素 81
ブルー水素 3
グレー水素 1
グリーン水素・ブルー水素の両方実施 2
バイオマス水素 1
グリーン水素とバイオマスのハイブリッド 1
未定 4
合計 93

出所:CSIRO「HyResource」からジェトロ作成

2024年以降、現地企業は収益性見込みがよりあるプロジェクトへシフト

2024年以降、商業化に向けて最終投資決定段階に移行する中で、オーストラリアのグリーン水素(1)でも指摘したとおり、オフテイカー(引き取り手)の不足や、資材や建設コスト、電力価格の高騰、再生可能エネルギー発電整備の遅れなどで、現地企業のグリーン水素プロジェクトからの撤退や、生産目標の取り下げなどの発表が見られるようになった。現地エネルギー専門家は、企業が収益見込みのよりある水素プロジェクトを選択する結果、淘汰(とうた)が進んでいると指摘する(2024年9月27日付ビジネス短信参照)。具体的には、グリーン水素の先駆者、オーストラリア資源大手フォーテスキューは、同社の目標の「2030年までにグリーン水素1,500万トン製造」を取り下げることを発表した。フォーテスキューは、最終投資を行った3つの水素プロジェクトは継続するとしており、国外では米国アリゾナ州のグリーン水素プロジェクト(2024年5月13日付ビジネス短信参照)、国内ではQLD州のグリーン水素プロジェクト(PEM50、2024年4月15日付ビジネス短信参照)、WA州のグリーン鉄プロジェクト(Christmas Creek Green Iron Trial Commercial Plant)は継続する意向と報じられている。また、連邦政府の支援策「水素ヘッドスタートプログラム(Hydrogen Headstart Program外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の最終候補に選ばれていた「ハンターバレー水素ハブ(Hunter Valley Hydrogen Hub」プロジェクトについては、プロジェクト申請者のオーストラリア電力大手オリジン・エナジーが2024年10月3日付プレスリリースで撤退を発表した。水素の需要や市場の創出が想定以上に遅れていることや、コスト面と技術面の両方にリスクが残っていることを理由に、同社は全ての水素開発事業を中止し、再生可能エネルギーとその貯蔵ビジネスに投資を集中する意向を示した。さらに、同国資源大手ウッドサイドエナジーは2024年8月、TAS州ベルベイで計画していたグリーン水素プロジェクト「H2TAS」の中止を発表した。同社は中止の理由として、TAS州の再生可能エネルギー不足、州政府の水素助成金の方針変更(注2)のほか、州環境保護庁から海洋問題などの関係で計画の改定を求められたことを挙げている。オーストラリアの水素プロジェクトには、日本への輸出を見据えて日本企業が事業化調査や技術協力などで関わるプロジェクトが約30件程度あるが、プロジェクトを主導する現地企業の中止や撤退の判断を受けて、進捗が見られないものも10件程度出てきている。

このように、オーストラリアの水素プロジェクトは実現可能性を問い直す時期に来ている。グリーン水素を重視する現在の労働党政権では、CCUS(二酸化炭素の回収・利用・貯留)を用いたブルー水素のプロジェクトへの助成金は望めない現状があるが、政府の脱炭素分野の支援対象にブルー水素も対象に含むべきという企業からの声がある。インフレが落ち着き、再生可能エネルギー発電所の整備が進み、グリーン水素の生産コストが下がるまでは、水素利用への移行に必要なブルー水素も合わせて支援対象にするなど、連邦政府、州政府が現実の状況を踏まえた選択肢を提供していく必要があるだろう。米国ではブルー水素も政府の補助対象とされ(2024年10月28日付地域・分析レポート参照)、ドイツでは国家戦略の改定で、移行期にはブルー水素の利用も認めるなど、現実的な対応が行われている。(2023年10月17日付地域・分析レポート参照)オーストラリアの現状の対応では、水素分野の投資が海外へ流出する可能性もある。

また、2025年には連邦議会総選挙が行われる予定だ。仮に政権が交代した場合、現在の再生可能エネルギーやグリーン水素を重視するエネルギー政策が変更される可能性があるなど、グリーン水素への政府支援の継続見通しに不確実性がある。なお、最大野党の自由党は、労働党政権成立以降、労働党の再生可能エネルギーに偏った政策によって小規模企業の電気代が52%上昇したと主張。再生可能エネルギーやガスに加えて、連邦法で禁止されている原子力発電の導入を次の連邦議会選挙の公約に掲げている。また、自由党は前述のオリジン・エナジーのグリーン水素プロジェクト撤退のニュースを受け、2024年10月3日付のプレスリリースで、同社の撤退は労働党がグリーン水素のみに注力する戦略の失敗を浮き彫りにしたと非難した。その上で、水素は自国の将来に欠かせないものだとし、オーストラリアが水素で成功するには、ブルー水素やピンク水素(注3)など色に関係なく支援すべきと主張している。ただ、自由党の公約では、水素に対する支援は明示されておらず不透明だ。いずれの政権になっても、企業が自信をもって投資判断ができるようなビジネス環境整備が求められている。


注1:
本レポートでは、「ブルー水素」について、化石燃料を原料とするが、生産過程で発生する二酸化炭素(CO2)を回収・有効利用・貯留(CCUS)などで有効利用、または地中に貯留する水素と定義。「グリーン水素」について、再生可能エネルギー由来の電力を利用し、水を電気分解して生成し、製造過程でCO2を排出しない水素と定義する。国内各プロジェクトの詳細は、ジェトロ調査レポート「オーストラリアにおける水素産業と脱炭素化関連分野の動向に関する調査」(2023年6月)も参照。
注2:
TAS州政府は2023年9月に州内水素プロジェクトに対する今後の助成金について、島内の消費者に水素を販売するプロジェクトに限定していく方針を示した。大型水素プロジェクトに必要な、十分な再生可能エネルギー発電が州の送電網に追加されていないことなどが背景にある。現地報道によると、こうした州政府の方針がウッドサイドエナジーの撤退につながった。
注3:
原子力発電による電力を用いて生産される水素。
注4:
オーストラリア水素の最前線については、「ジェトロ世界は今-JETRO Global Eye」水素革命Ⅲ 世界がわかる!オーストラリアで見た最前線(2024年11月14日)を参照。
執筆者紹介
ジェトロ・シドニー事務所
青島 春枝(あおしま はるえ)
2022年6月からジェトロ・シドニー事務所勤務(経済産業省より出向) 。