特集:主要国・地域の越境EC ベトナムの越境EC

2017年12月20日

EC市場規模

ベトナムのEC市場規模は年4~5割伸びている実感あり(在ハノイ地場ECサイト運営企業)。しかし、大手ECサイトが赤字水準まで値下げし市場を抑え、ECサイトはもうかりにくい状況。フェイスブックを通じた売買も活発。

EC売れ筋商品

現在最も売れている商品はスマホ。最近は卓上扇風機や布製の収納ボックスなど、中国製の安価な日用品も売れている。

現在、日本から直接出品可能な越境ECサイトはベトナムには無い。当地ECサイトでは外国商品も多数販売されているが、全てベトナム企業があらかじめ輸入したものである。なお、日本製の商品としては、化粧品、時計、衣類、ベビー用品などが多くのECサイトで販売されている(ジェトロ・ハノイ調べ)。

越境ECの課題

越境ECに取り組む場合、課題は税関に尽きる。例えば書籍や文書一つでも輸入時に所管省の許可が必要とされるなど、非常に煩雑かつ不合理。物流や決済については、特に課題があると認識していない。ベトナム国内のECは現金代引きが主流だが、越境ECの場合はクレジットカード決済になるだろう。情報セキュリティーについては、個人情報の取り扱いに関する罰則が無いため、多くの企業は留意していない。

ベトナムにおける越境ECの市場動向と制度

ベトナムにおける越境EC市場動向
日本からの出品を可能にしている主なECサイト
  • 現在、日本から直接出品されているECサイトは確認されていない。
主要ECサイトにおける販売上位品目(=売れ筋)
  • 携帯電話(スマートフォン)
  • 家電製品
  • 衣類・ファッション用品
  • 日本の製品としては、家電、時計、化粧品、ベビー用品などが人気
(出所)当地ECサイト運営企業へのヒアリング
越境EC利用の際の主な決済システムの利用割合
  • 現金代引(91%)
  • 銀行振込(48%)
  • クレジットカード・デビットカード(20%)
  • 電子マネー(11%)
※消費者側による複数回答
(出所)Vietnam E-Commerce Report 2015(VECITA)
ベトナムにおけるEC(越境EC含む)に関する制度
国内規制 (1)データ制約に関する規制の有無
  • ECサイトのデータ制約についての特別な規定は制定されていない。
(2)規制取扱商品
  • 化粧品
    税関手続きに先立ち、商品ごとに化粧品開示書の取得が必要(通達06/2011/TT-BYT)。
  • 児童用玩具、ベビーカー
    輸入前に児童用玩具規制適合認証が必要(通達18/2009/TT-BKHCN)。
  • 健康食品(サプリメントなど)
輸入前に規制適合性の宣言または食品安全基準適合性の宣言書を登録しなければならない。また、輸入ロットごとに、食品安全に関する行政検査を経て「食品輸入要件補充通知書」を得なければならない(食品安全法55/2010/QH12)。
(3)その他のEC販売に関連する規制 (ECサイトに関する主な法令など)
  • 情報技術法67/2006/QH11
  • 電子商取引に関する政令52/2013/ND-CP
  • 電子商取引サイトの管理に関する通達47/2014/TT-BCT
  • 携帯端末のアプリケーションを通じた電子商取引の管理に関する通達59/2015/TT-BCT
(各種規制)
  • ベトナムのECサイトへの海外からの出店に対する特別な規定は無し。ただし、政令52/2013/ND-CPに定める、ECモールで商品・サービスを販売するものとしての責任を負う(名義情報の公開など)。
  • ベトナムでECモールを設立・運営する場合は、政令52/2013/ND-CPに定める各条件に従う(商工省への登録、顧客の個人情報保護に関する規定の実施など)。
小口配送に関する税制や輸入手続き関連制度(上のメリット)の有無と販売への影響
  • 国際速達サービス(国際クーリエサービス)を利用する100万ドン(約5,000円)以下の輸入品に関する関税および付加価値税は免除。(首相決定78/2010/QD-TTg)
  • 売り主がベトナム国内の輸送義務を負い、ベトナム国内にて買い主に所有権が移転するとみなされる取引では、販売価格に対して外国契約者税1%が課される。また、物品販売に付随してベトナム国内でサービス提供がある場合も、販売価格に対して外国契約者税1%が課されるとともに、提供するサービスに対しても外国契約者税が課される。

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ジェトロ海外調査部