海外における日本産食材サポーター店認定制度
日本産食材サポーター店インタビューやす田
バンコク初の神戸ビーフ認定店
ハレの日を楽しむ肉料理を提供
所在地:バンコク(タイ)

独自ブランドの黒毛和牛を拡販
BTSトンロー駅から徒歩10分。閑静な住宅街に店を構える神戸ビーフと創作料理の店「やす田」は2015年にオープンした。運営母体は、福岡県で焼肉レストランを4店展開するおんどるグループ。コンセプトは「ハレの日の食事を楽しめる肉料理に特化した専門店」だ。
同店は神戸肉流通推進協議会が設ける厳しい基準をクリアしたバンコク初の神戸ビーフ取り扱い指定登録店。神戸ビーフと東京ブラックビーフジャパンを使用した料理が看板メニューだ。「宮崎県産など品質向上が著しいさまざまな産地の黒毛和牛を、おんどるグループの独自基準のもとにブランド化したのが東京ブラックビーフジャパン。海外に黒毛和牛の良さを訴求するためには、日本の生産者が一丸となってブランドをアピールした方がいいと考えました」と専務の安田哲秀(やすだてつひで)氏。グランドメニューは約100種類、ランチメニューは22種類。メニューの大半に使用されている神戸ビーフと東京ブラックビーフジャパン、醤油・ソースといった調味料が日本産。ほかはタイで調達している。

一手間加えたステーキが人気
オープン当初、タイ料理メニューを多く揃えていたが、客の反応を見ながら入れ替えを図ってきた。現在の売れ筋は「神戸ビーフのコールドステーキ」。ステーキに適した部位を切り出し、塩を振って一旦寝かせ、焼きを入れて1日冷蔵した後、今度は真空パックで冷凍し、常温で解凍して提供する一品だ。ランプ、サーロイン、テンダーロインの3種類のうち、サーロインが一番人気。手間ひまかけたプロセスが生み出すローストビーフに近い味わいは特にタイ人に好評だ。東京ブラックビーフジャパンのサーロインやイチボ、ランプ、ハネシタ、テンダーロインなどを組み合わせた「ステーキ3種盛り」や「ステーキ5種盛り」「特選神戸ビーフ炙り寿司」の人気も高い。「特選神戸ビーフ炙り寿司は、生肉に抵抗があるタイ人からの注文が多い一品。炙ると味に深みが出て、生肉への抵抗感も減るようです」。日本産酒類の品揃えは、日本酒や焼酎、ウイスキーなど約50銘柄。同店では499バーツで2時間の飲み放題メニューを設けているが、このメニューの中で「白鹿」、「菊水」、「ブラックニッカ」は日本人からの注文が多いという。

牛肉は鮮度を保つためチルドで輸入
日本産の牛肉の仕入れは、おんどるグループが日本で取引している業者を通じ、在庫を見ながら安田氏がオーダー。月間200~300kgの量を冷蔵で輸入している。うち神戸ビーフは50~60%の割合だ。「タイでは冷凍での仕入れが一般的ですが、冷蔵で入れると風味がまったく違います。タイでこんなに美味しい牛肉を食べられると思わなかったとおっしゃるお客様も多いですね。日本産の黒毛和牛を美味しい状態で提供できる体制は当店の強みです」。

しゃぶしゃぶでタイ人リピーターを獲得
牛肉の美味しい食べ方の提案にも積極的だ。日本語も話せるタイ人スタッフを2~3名常駐させ、「神戸ビーフのコールドステーキ」であれば、「最初は何もつけずに、2枚目はわさびとソースで、3枚目はレモンとソースで」といった食べ方を推奨している。
2017年6月に登場した「しゃぶしゃぶ」は、日本語、英語、タイ語の3言語対応のメニュー表を用意。神戸ビーフや黒豚ロースなどの肉や野菜の選び方・食べ方の手順を写真付きでわかりやすく紹介しており、早くも人気を博している。「タイにも鍋文化があるからでしょう。しゃぶしゃぶは店の敷居を下げ、リピーター獲得に貢献しています」。「しゃぶしゃぶ」人気にも後押しされ、当初は1割程度に過ぎなかったタイ人客が今では4割にまで増加した。「タイに進出したのは、タイ人に美味しい日本の肉の味を満喫してもらうため。タイ人客をさらに増やすために安価なメニュー開発やランチメニューの充実、さらにはデリバリーサービスの導入を検討しています」。軸足を神戸ビーフと東京ブラックビーフジャパンに置いた「やす田」の新境地が期待される。

やす田
74 Soi 34, Sukhumvit Rd. Khlong Tan, Khlong Toei, Bangkok
(+66)062-058-3411(日本語)/(+66)02-258-2530
http://ondorugroup.jp/yasuda