日本産食材サポーター店インタビュー 山里

万博にも出店の老舗
長崎産ほか豊富な鮮魚を仕入れ

所在地:上海(中国)

1990年オープンの高級和食店

上海の繁華街、淮海中路に位置する「オークラガーデンホテル上海」の高級和食店「山里」。1990年のホテル開業と時を同じくして「桜」の名でオープン、以来上海で最も歴史ある日本料理店の1つとして長年親しまれてきた。1997年1月に「山里」の名となり、2010年の上海万博には「日本館」の和食レストランとして出店した。

今回話を伺ったのは、9代目料理長の大森朗弘(おおもりあきひろ)氏。「大阪あべの辻調理師専門学校」を1989年に卒業し、同年「ホテルオークラ東京」に入社した。2003年に、グループホテルの料理長としては最年少の34歳で「オークラ千葉ホテル」和食料理長に就任した経歴を持つ。「ホテルオークラ東京」帰任を経て2015年11月より、「オークラガーデンホテル上海」の和食料理長となった。

鮮魚を会席、アラカルトで提供

扱う日本産食材は主に鮮魚。本マグロ、ブリ、タイ、アジ、サバ、キンメダイから、牡蠣、イカ、生ウニ、サザエといった内容だ。中国で水産物を輸入販売する「大菱食品」から長崎、鹿児島産の魚介を仕入れ。大菱食品が北海道漁連と契約したことにより、北海道産のウニ、カニ、キンキ、シシャモなども扱うようになった。またほかの卸による魚介では、みかん果皮を餌に配合することで柑橘の風味が楽しめる愛媛産の「みかん鯛」「みかんブリ」が、刺身を食べ慣れない外国人にも好評だとか。大森料理長は「新しい商品を仕入れるには検査が必要。コスト面を考慮し、なるべく通年で手に入るものを選んでいます」と語る。

季節の会席やアラカルトで楽しめるメニューは、「鮪お造り」「雲丹お造り」「鯵なめろう」といった各種お造りや、「のど黒塩焼」「黄鯛の野菜蒸し」などの焼き物が人気。料理長のおすすめは、リクエストからレギュラーメニューとなった海苔巻きウニの天ぷら「雲丹磯部揚げ」だ。同店ではこのように、ユニークなリクエストにも積極的に対応する。

各地の麺や酒類も

そのほか複数の食材に日本産を使用。秋田の「稲庭うどん」、長崎の「島原素麺」は「温」と「冷」で提供、そのままの名でメニューに記載する。北海道産の片栗粉、沖縄産のもずく、山口産「宇部かまぼこ」のかまぼこといった食材も料理に活用している。

日本産の酒類は、日本酒15銘柄、焼酎6銘柄、ウィスキー1銘柄。仕入れる銘柄については、輸入に時間がかかるため、やはり安定供給できるものを厳選しているという。いずれも写真とソムリエによる紹介文をメニューに記載、さらに別個毎月異なる銘柄のポップも作成しており、選ぶ際の手助けとしている。中国人客には、名前の知られている「獺祭」や大吟醸のものが人気だという。また年3回ほど「日本酒会」を開催。九州の「西の関」など特定の酒蔵の日本酒を揃え、時期のものと合わせて提供する。

日本産鮮魚は技術面で優位

日本産食材を扱うメリットについて、大森料理長は鮮魚が特に優位だと語る。「もともと中国国内では生で食べる文化が無かったため、新鮮な魚が獲れても手当や保存の技術が不足していると感じます。日本産はその点で安心できます」

中国人客の多数が日本食に精通

調理場を管轄する大森料理長に対し、フロアを取り仕切るのは蒋微丹主管。2005年より12年に渡り同店に在籍するベテランスタッフだ。日本語堪能で、馴染みの客も多い。その日おすすめの鮮魚を中心に、メニューの提案をしてくれる。蒋主管によると、来店者の6割以上が中国人。多くが日本食に詳しく、「この店で一番高いものを」といった注文もあるという。

「和牛やフグのおいしさ伝えたい」

「当店は中国と日本の橋渡しをする役目も担っているため、質の確保できるものであれば中国産も利用しています」と大森料理長。野菜やビールなど日本メーカーの中国産商品や、日本の技術を導入している中国企業の商品も多く取り扱っている。今後については「和牛やフグを使ってみたいですね。中国の皆さんにおいしさを知ってもらえれば」と期待を覗かせた。

山里
上海市黄浦区茂名南路58号オークラガーデンホテル上海2階
www.gardenhotelshanghai.com外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2017年9月