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日本産食材サポーター店インタビュー TOKIMEITĒ (トキメイテ)

和牛のメニュー構成はロンドン一。京都の老舗料亭監修の独創的懐石料理が話題を呼ぶ、全農直営旗艦店

所在地:ロンドン(英国)

「日本の食」を発信するアミューズメントパーク

ロンドンの一等地メイフェアにある、日本食レストラン「TOKIMEITĒ」。京都の老舗料亭「菊乃井」三代目オーナー・料理長である村田吉弘氏の料理監修のもと、日本食を世界に発信する旗艦店として、全農が2015年にオープンした。村田氏の元で腕を磨き、「赤坂菊乃井」副料理長の経歴を持つ林大介氏が、エグゼクティブシェフを務める。
国際的デザイナー森田恭通氏が手がけたインテリアは、日本の「祭り」をテーマに、賑やかで華やかな非日常の時空間を表現する。活気あるオープンキッチンを見渡す1階は、肉を焼く「火」を印象付ける荘厳で煌びやかな空間。プライベートダイニングルームのある2階は、「木」と「水」を彷彿させる重厚で落ち着いたスペースとなっている。日本の食を発信するアミューズメントパークを作りたい、という発想から生まれた斬新なデザインだ。
お客さんの目の前で調理し、できたてを食べてもらう「割烹スタイル」を基本に、和牛や季節の野菜など高品質な日本産食材をふんだんに使用した、オリジナルの懐石料理を提供する。ドリンクメニューも充実。日本酒は常時数十種類の品揃えを誇り、シーズンによって銘柄も変えている。日本のウィスキーも味と品質を高く評価されており、ブランド力があるという。米を使った「キュウリジン」「米ビール」など、全農の自社開発ブランドのアルコールも好評で、グルテンフリー商品の開発も検討中だそうだ。

和牛の新しい食べ方を提案、市場開拓につなげる

全農が経営するTOKIMEITĒには、「日本が誇る和牛を欧州の人々にも楽しんでもらいたい」というコンセプトがある。現地で牛を使った料理といえば、サーロインのようなメジャーな部位をステーキに調理するのが一般的。肩ロースやランプなどは筋肉が入り混じっていて、普通のシェフにはうまく調理できず、ステーキにも使いにくい。そんな様々な部位が、林さんの技術と創意で、ステーキのみならず、ハンバーグ、ソーセージ、タルタル、握りなど、欧州の人々に愛される料理に活用されている。その結果、TOKIMEITĒは、和牛を使うレストランの中でも極めて抜きん出たメニュー構成を誇っているのだ。
「牛一頭からサーロインだけしか使用できないと、他の部位はすべて無駄になってしまいます。それらの市場をいかに開拓していくか、という考えを持って取り組んでいます」と、マネージャーの境さん。新しい食べ方の認知度を広げることも含めて、イギリスでの和牛の市場開拓に、今まで以上に力を入れていきたいと考えている。

世界各国からの食通をうならせる独創的なアレンジ

「日本料理をそのままこちらの人々に押し付けるつもりもない。かといって、フュージョンのように崩しすぎることもしない」と林さん。日本料理の伝統や素材の味を大切にしつつ、現地のお客さんに美味しく食べてもらえるようアレンジを加えているという。例えば、和牛のすき焼きは、低温調理したステーキ用の肉を使用。欧州の人々には馴染みがない生卵の代わりに、卵黄、トリュフ、出汁を使ったオランデーズ風ソースを添える、という独創的なスタイルだ。
そんな努力の甲斐あって、英国産アンガス牛などの何倍もの値がつく和牛が、ヨーロッパだけでなくロシアや中東など世界各国から訪れるハイエンドの常連客に、非常に喜ばれているそうだ。
「海外のお客さんの舌が肥えてきているのを、年々のように感じます。日本人シェフたちの活動の結果、日本食に興味を持って日本を訪れる方が増えたからではないでしょうか。だからこそ、本物の日本の味をきちんと伝えていかないと」と林さんは語る。

地方固有の食材を、ブランド化して世界へ展開

「お客さんは、『日本の野菜と果物はやっぱり世界一だ』と言ってくださいます。『こんなに甘いりんごやさつまいもがあるのか!』と、びっくりされますよ」と林さん。傷みやすい葉物以外の野菜、ごぼう、さつまいも、レンコン、ねぎなどの根菜類は日本産を仕入れているそうだ。イギリスのマーケットに出回っているごぼうやスイートポテトは、香りも味も弱く、クォリティの高い日本産野菜との違いは歴然としているという。
お客さんに調理前の野菜を実際に見せたり、旬や産地の説明をしたりして、日本産食材の紹介にも力を入れている。その日に入ったおすすめ食材を使ったメニューを「デイリースペシャル」としてボードに表示すると、「知らないものでも試してみたい」と注文するお客さんも多いとか。評判は上々だそう。
だが、まだ日本産の野菜を出しているレストランも少なく、広く認知されるにはこれからが勝負だと感じている。「こちらでは知られていない、地方固有の食材もまだまだたくさんあります。それらが世界に出やすい環境を作っていくことが、料理人の使命だと思っています」。そう語る林さんは、全農が開催する地方の販売促進フェアなどに合わせて、その地の特産物を使用したメニューを定期的に考案している。「地方」を前面に出してのブランド展開も、視野に入れているという。京野菜も、現在は販売促進フェアに合わせる形でしか紹介できていないが、「現場の希望としてはもっと増やしていきたい」という。

日本料理の魅力を広め、日本の農業を盛り上げたい

2013年、和食が「ユネスコ無形文化遺産」に登録され、初めて日本食が文化として認められた。「日本には文化芸術基本法という法律があり、今まで、茶道と華道は文化として認定されていましたが、日本食は含まれていませんでした。村田吉弘氏をはじめとする先輩の料理人たちが尽力されたおかげで、無形文化遺産登録が実現したんです。だから僕らも胸を張って、日本食材と日本料理を海外でアピールすることが重要だと思っています」。
NPO「日本料理アカデミーUK」でセミナーや勉強会を開催するなど、現地シェフの育成にも力を入れる。そんな熱意がスタッフにも伝わり、TOKIMEITĒの外国人シェフが、日本料理アカデミー主催の日本料理コンペティションヨーロッパ部門で1位を獲得したそうだ。「現地の料理人に日本の食材と日本料理の技術を覚えてもらわないと、これ以上広まっていかないでしょう。海外にいる料理人がともに切磋琢磨して技術を磨き、日本料理界全体の底上げに全力を注ぎたい」と林さんは語る。
その背景には、「日本料理を海外でもっと知ってもらい、日本産食材をもっと海外に売っていかないと、日本の農畜産業が衰退してしまう」という危惧がある。日本産食材の認知度、市場規模、流通、すべてが発展途上のヨーロッパにおいて、「まずは発信して、知ってもらいたい」と、全スタッフが一丸となって、日々努力を重ねている。

TOKIMEITĒ(トキメイテ)
23 Conduit Street, London W1S 2XS
Tel: 020 3826 4411
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