海外における日本産食材サポーター店認定制度

日本産食材サポーター店インタビュー 寿司十番

鮮度と食感へのこだわりを貫く
職人技に支えられた藁焼きと寿司の店

所在地:バンコク(タイ)

日本産魚介の藁焼きと寿司が人気

ビジネス街アソークエリアのほど近く、通りの奥にひっそりと構える隠れ家のようなレストラン。「寿司十番」を初めて訪れた人はみな、壁一面にずらりと並べられた日本酒と焼酎の種類の多さにびっくりするに違いない。2015年10月にオープンした「寿司十番」は、江戸前寿司と藁焼き、そして日本産酒類を豊富に揃えた人気店だ。客の90%は日本人、残りはタイ人。接待よりもプライベートでの利用が多い。

グランドメニューの数は約70種類、旬の魚を取り揃えたおすすめメニューが4~5種類。メニュー全体の9割に日本産食材を使用している。この道30年のキャリアを誇る総料理長の小林陽二(こばやしようじ)氏は言う。「魚のほとんどが日本産。野菜は常時、日本産のミョウガを使用しているほか、季節に応じて銀杏や水なすなどを日本から仕入れています。味噌汁に使うかつお節は京都から。オープン時から変わらず使い続けている食材です」。人気メニューは、この店の看板料理ともいえる「藁焼き」。かつおや〆鯖、ビントロなどの魚介類を藁の炎で炙った藁焼きは、口に入れた途端に藁独特のスモーキーな香りが広がり、素材のうまさを引き立ててくれると評判だ。大半の客が「にしんの切込み」や「銀杏の塩煎り」といったつまみや珍味を頼んだ後、藁焼きや寿司を注文。この日の寿司ネタは、小田原のイサキ、枕崎のハマチ、伊豆の金目鯛、金沢のキントキダイ、北海道のウニなど。「寿司ネタは新鮮さはもちろんですが、口の中でシャリとネタが一体となることが大事。食感を考慮しながら少し寝かせることもありますね」と小林氏。磨かれた職人技が同店の人気を支えている。

日本酒と焼酎の圧倒的な品揃え

酒類は卸業者6社から仕入れている。銘柄は日本酒が30種類、焼酎が24種類、梅酒が5種類、ウイスキーが9種類、ワインが2種類。「バンコクに数ある日本食レストランのなかでも、日本酒と焼酎の品揃えは多い方だと思います。どれも満遍なく飲まれていますが、スッキリとした飲みやすさから三重の「作(ざく)」(清水清三郎商店)の人気が高いですね。飲み口と香りがいい。お客様からおすすめを聞かれたときも『最初に飲むのにいいですよ』とご案内しています」。焼酎は、ブランド力のある宮崎の「赤霧島」(霧島酒造)やまろやかなコクが評判の鹿児島「七窪」(東酒造)、同じく鹿児島の香り豊かな「安田」(国分酒造)がよく売れているという。

魚は日本全国から仕入れる

日本産食材の仕入れは、タイで日本人が運営する業者に発注。東京にオフィスを持ち、独自のネットワークを持つその会社に、小林氏は2~3日に一度の頻度で注文を入れている。「多いのは築地からの仕入れですが、この業者さんにお願いすれば日本全国からの魚が手に入る。こちらの要望に柔軟に対応してもらっていますし、品質も信頼できるので、先方から『今月はこういうものがおいしくなります』とか『キャンセルが出た魚があるのですが』と言われると買っていますね」。2017年5月から試験的に導入している水なすがエグみもなくお刺身感覚で食べられると好評なことから、今後は日本産の野菜をさらに充実させる計画だ。「扱っているお店が少ない松茸などのきのこ類、山芋類、丸茄子などを入れていきたいと考えています。魚だけでなく日本産野菜で季節感を演出できれば、お客様にもさらに喜んでいただけるはず」。

タイ人スタッフの教育にも尽力

同店のスタッフは現在7名。このうちタイ人女性の一人は日本語での接客も可能だ。「この酒は大吟醸なので香りがいい」といった具合に、日本酒の酒類や銘柄の特徴を把握し、客に説明を行っている。「まだ十分とはいえませんが」と小林氏は言うが、客にとってありがたい情報源は小林氏の熱心な従業員教育のたまものだ。

寿司十番
120/26 Soi 23, Sukhumvit Rd., Khlong Tan Nua, Wattana, Bangkok
+66(02)-258-2813
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