海外における日本産食材サポーター店認定制度

日本産食材サポーター店インタビュー Suehiro

メキシコ第二の都市で愛され続ける老舗日本料理店

所在地:グアダラハラ(メキシコ)

長年の地道な努力を通じて、日本食の普及に取り組んできた

その街の美しさから「西部の真珠」と呼ばれるメキシコ第二の都市「グアダラハラ」。この街で長年の歴史を誇る老舗の日本食レストラン「Suehiro」は1976年の開店以降、本格的な日本料理を提供し続けてきた。提供メニューには握り寿司、巻き寿司に加え多種多様なラインナップが揃っており、日本から取り寄せた日本酒のバリュエーションも豊富である。「グアダラハラ市内のメキシコ人の方々を中心に、多くの方々からご贔屓頂いております。開店当初からお越しになられているお客様が、孫やひ孫を連れて来店頂く姿をお見かけすることも増えてきました」と支配人の石川一洋氏は和かにこう語る。

来店する顧客の9割以上がメキシコ人であり、大半がリピーター客であることから「グアダラハラ」という街に根付いたレストランであることがわかる。開店前には予約の電話が鳴り止まない。開店直後からファミリーやカップルなど、幅広い年齢と客層のメキシコ人が訪れる。まさしく「メキシコで成功した日本食レストランの代表的な例」として挙げられるSuehiroだが、今日までに乗り越えた多くの困難や苦労ついても石川氏が語ってくれた。

「開店してから当分の期間、お米や醤油などの基本的な食材さえ手に入らず、日本食を満足に提供できない厳しい環境でした。日本食を提供する上で、最低限必要となる食材さえ調達が困難であったため、試行錯誤を重ねながら、メキシコで手に入る食材をアレンジすることで日本食の提供を行ってきました」。

開店当初は、すき焼きやしゃぶしゃぶをメインに提供していたようだが、徐々に刺身や生魚の提供を開始するものの、生魚に対して抵抗感が強いメキシコ人からは敬遠されたそうだ。それでも「本物の日本食を食べて欲しい」という想いの下、刺身を無料で提供する試みや、刺身の薄切りをポン酢と共に提供するなど様々な工夫を凝らしてきた。ときにはメキシコ産の唐辛子と醤油を混ぜた調味料を開発するなど、メキシコ人に馴染みのなかった日本食を実際に食べてもらうため、多くの苦労と開発を長年重ねてきたという。

長年築いてきた「顧客との信頼関係」を活かした販売戦略

メキシコと日本間の就航便が近年増加したこと等によって、訪日旅行を経験したメキシコ人の数は年々増加している。「日本で食べた、あの食事をもう一度味わいたい」と感じ、Suehiroに訪れる顧客も少なくない。昨今は、とりわけ日本産の和牛に対しての興味・関心が強くなっているそうだ。様々な日本食材を活用するSuehiroでは、日本産の塩クラゲの取扱いも行っており、塩クラゲのメニューを目にするとメキシコ人は一驚するようだ。Suehiroでは多くのリピーター顧客が既存のメニューに飽きないよう、常に新しい食材を求め研究を続けており、顧客により愉しんで貰うべく、常に幅広いラインナップの食材を取り揃えている。

「当店のお客様は大半が常連の方々です。私を含め、サービスを担当するウェイター達も常連の方々とコミュニケーションを常に行うよう意識しています。お客様との会話の中で、何か新しいメニューはありますか?今日のおいしい食材は何ですか?と相談を受けるんです。長年のお付き合いを通じて、信頼関係が成り立っているからこそ、顧客は未知の食材や料理であったとしても、興味を持ってオーダーしてくれるんです」と石川氏は話す。

メキシコは今後、アメリカ大陸を代表する「日本食マーケット」に成長する

日本食材の調達が困難であった時代を経て、現在は食材の調達環境が整い、日本食を好むメキシコ人も急増した。長年メキシコで日本食に携わってきた石川氏に、メキシコにおける日本食の環境が今後どのように変化していくのかについて伺うと、こう話してくれた。「依然として巻き寿司はメキシコ人から人気のメニューですが、この数年で握り寿司も顧客から認知され、定着し始めましたね。首都のメキシコシティでは日本食の専門店が急増していますが、グアダラハラや他都市でも同様に今後は日本食の専門店が増加していくでしょう」。

「日本の酒類や食材がメキシコで手に入らなかった時代は終わりました。Suehiroとしても、今後はより一層、日本からの商品調達を行うことで、以前にも増して、本物の日本食を提供していきたいと考えています。人口が約1億3000万人に迫り、今後も日本食のプレゼンスが高まるメキシコは、アメリカ大陸でも有数の日本食マーケットに成長していくでしょう」と石川氏は語る。グアダラハラ市内では、日本食レストランの開業を夢見るメキシコ人にとってSuehiroは登竜門のような存在だという。Suehiroで修行して独立する従業員もいれば、17歳で入社し、先日定年退職したような古株の従業員も存在するようだ。創業して43年が経った今も、顧客、そして従業員からも愛され続けるSuehiroは今後も更なる挑戦を続けていく。

Suehiro
Av. de la Paz 1701, Col Americana, Americana, 44160 Guadalajara, Jal.
33 3826 0094
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