海外における日本産食材サポーター店認定制度

日本産食材サポーター店インタビュー 折原商店バンコク

角打ちを併設した日本酒専門店
飲み方も提案し、日本酒の普及を図る

所在地:バンコク(タイ)

バンコクに日本酒文化を広める拠点に

創業は大正13年(1924年)。100年近い歴史を持つ業務用酒類販売会社の折原は、9年前にシンガポールで初の小売店である「折原商店」を開き、次いで東京都内の門前仲町にも店をオープン。第2の海外店舗として2016年9月にコミュニティーモールのエカマイ・パークレーン内にオープンしたのが「折原商店バンコク」だ。

運営するのは、タイ国内でワイン、ウィスキー、日本酒などの輸入販売を手がけるBB&B (Bangkok Beer & Beverages Co.,Ltd.)と折原との合弁会社であるBB&B-ORIHARA Co., Ltd.。シンガポールや東京の店同様、角打ちを併設し厳選した日本酒を販売している。「うんちく抜きで、しっかりと温度管理した日本酒を気軽に楽しんでもらう場所です。同じ蔵元のお酒でも造り方や飲み方によって違いがあることを体験してほしい」とショップマネージャーの鈴木喜登(すずきよしと)氏は話す。

全国各地の蔵元から90銘柄を厳選

中央に大きなカウンターを配した120平米の店に並ぶのは90銘柄の日本産酒類。ラインナップの90%は日本酒、残りは和酒リキュールだ。主な銘柄は、山口産の「獺祭」(旭酒造)や長野産の「真澄」(宮坂醸造)、秋田産の「雪の茅舎」(齋彌酒造)、新潟産の「麒麟山」(麒麟山酒造)、鳥取産の「千代むすび」(千代むすび酒造)、高知産の「美丈夫」(濱川商店)など。「獺祭」や「真澄」といった知名度の高い銘柄にやや人気が集中する傾向はあるものの、タイ人、日本人ともにさまざまな銘柄を試してみる客が多く、全体で見れば人気はばらついているという。

タイ人の間でも高まりつつある日本酒人気

21種ある酒のつまみにも多くの日本産食材が使用されている。函館産のイカの塩辛、小田原産のたたみいわし、秋田産のエイヒレなど、日本酒との相性が良いつまみのラインナップは、日本人のみならずタイ人にも好評だ。客層はタイ人と日本人が各45%、残りは欧米人。

「タイでは日本への旅行が人気なので、旅行経験を通して日本酒に関する詳しい知識を備えているタイ人のお客様が増えています。『無濾過生原酒はありますか?』といったマニアックな質問をされることも多いですね」。接客の際には、甘さ・辛さや香りなどその日本酒の特徴を丁寧に紹介している。純米酒はぬる燗を推奨するなど適切な飲み方もアドバイスしているが、タイ人客の多くは冷やを好み、アイスバケットを求める客が少なくない。「まだ時間はかかりそうですが、地道にお燗のファンを増やし、いずれはボトルで日本酒を買って帰り自宅でお燗を楽しむというタイ人を増やしたいと思っています」。

イベントを通じて日本酒の魅力を発信

日本酒の敷居を下げ、カジュアルに飲んでもらいたいという考えから、同店ではお勧めの日本酒12銘柄を「Sake by the Glass」として表示している。香りや味わいの強弱を軸にしたマトリックスで12銘柄を分類した図は、日本酒ビギナーにもわかりやすい。何を飲めばいいのか、銘柄選びに迷う人の指針として機能している販促策の一環だ。音楽に合わせて日本酒を提案する「サウンド+酒」や、チーズと日本酒との相性の良さを体験してもらう「チーズ+酒」など、日本酒の新たな魅力や可能性に触れてもらうイベントも不定期ながら実施している。今後は、中華やイタリアン、フレンチの料理と日本酒とのペアリングイベントや、蔵元を招き日本酒の造り手と客とが直に話せる機会の創出も検討中だ。

四季折々の酒の仕入れが今後の課題

季節商材の強化も計画の一つ。日本の「折原商店」では約200種の日本酒の扱いがあるものの、タイでは酒類の登録のハードルが高いため、現状は90種にとどまっている。今後は生原酒や冷やおろし、しぼりたて新酒などを徐々に増やしてオンタイムで提供し、「ここに来れば、日本の四季を感じられるラインナップを揃える」のが目標だ。「いずれはお客様を集めて日本の蔵元ツアーも実施できれば」と鈴木氏。タイでの日本酒普及に「折原商店バンコク」が果たす役割は大きい。

折原商店バンコク
Park Lane 18 Soi 61, Sukhumvit Rd. Khlong Tan Nuea, Watthana, Bangkok
(+66)02-382-0131
www.facebook.com/OriharaShotenBangkok外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます