海外における日本産食材サポーター店認定制度

日本産食材サポーター店インタビュー IZARIYA-Madrid

高知発の会席レストラン
「季節を感じる料理を提供したい」

所在地:マドリード(スペイン)

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日本で提供する料理をそのままマドリードでも

高知発の会席料理レストラン座屋(イザリヤ)は、神戸、銀座に次ぐ4店舗目『IZARIYA-Madrid』を2016年、スペイン・マドリードにオープンさせた。料理人としても腕を振るう高知県出身の取締役社長 岡添将人(おかぞえまさひと)氏は「日本で提供している料理をそのまま味わっていただいているのが特徴だ」とマドリード店について語る。

2017年8月現在、岡添氏を始め、日本で技術を習得した3名の日本人調理師が腕を振るう。日本産食材は、和食の基本となる出汁に必要な昆布、削り節、日本酒をはじめ、酢、梅干し、山葵、大葉、葛や高知の特産品などを使用している。

スペイン人の胃袋をつかんだ会席料理

岡添氏は「会席目当てのお客様がほとんどで、アラカルトを注文されるお客様は少ない」と言う。昼は19.80ユーロ、28.80ユーロ、39.80ユーロの3種類の定食ほかに48ユーロのコースがあり、中でも刺身の盛り合わせ、今月の一品、イベリコ豚の角煮、天ぷら、ご飯にデザート(コーヒー、お茶、自家製アイスのいずれか)がついた28.80ユーロの定食が人気。夜は12皿の料理からなる月替わりの会席(65ユーロ)が好評。また、調理中の様子がうかがえるカウンター席の人気が高い。配膳の際は、料理や食材、和食の味わい方など、説明を欠かさない。場合によっては昆布や削り節など実物を見せることもあるそうだ。

人気の理由は「伝統的な日本の料理」

岡添氏は人気の理由を“日本に行った感覚になれること”だと分析する。座屋では季節を感じる料理で構成された日本の会席料理をそのまま表現している。マドリードにある和食レストランについて「スペイン人シェフが、スペイン料理を軸に和食をフュージョンした料理を出す店が多いので、美味しいけれど日本っぽくはない」と岡添氏が語るように、座屋のような伝統的なスタイルで、料理を提供している店は少ない。化学調味料を一切使わず、吟味した昆布と削り節でとった出汁のみを使う店は、座屋を除けばほとんどないそうだ。

配膳担当のマリアさんは「マドリードでは寿司といえば握り寿司か巻き寿司。まだ知名度は低いけれど、ちらし寿司はマグロ、サーモン、イクラ、卵などの具を一度に楽しめるので、ぜひ皆さんにも食べてもらいたい」とおすすめの一品にちらし寿司を挙げた。

日本産食材は必要不可欠

座屋では、メインとなる野菜、肉、魚はスペイン産の材料を使用しているが、前述のとおり、すべての料理に日本産昆布や削り節の出汁を使っている。日本産食材を使用するメリットを「メリットというよりは自分たちの味を出すために必要不可欠なもの」と岡添氏は言う。

土佐の日本酒をマドリードで

現在取り扱っているのは高知にある18の酒蔵の日本酒。水質が良いことで知られる土佐の日本酒。全国新酒鑑評会で、土佐鶴、菊水、しらぎく、司牡丹、藤娘などの銘柄が金賞を受賞するなど、県単位でレベルアップを図っている。岡添氏は「おいしい日本酒は全国にあるが、より知識を高め、自分の料理を表現するために産地を絞って提供している」と語る。ワインとの注文の割合は、ほぼ五分で、銘柄を指定するお客様はまだ少ない。注文の料理に合うものを開栓した銘柄からお薦めし、品質を保つために開栓から10日程度で飲み切るようにしている。

「季節を感じる食材をもっと取り入れたい」

現地のものに比べると少し脂が強い和牛は、炭焼きにしてわさびと塩で味わう料理法でスペイン人にも好評を得ている。「米、日本酒、活魚など質の高いものを日本から仕入れることは理想だが、流通コストによるお客様の負担はなるべく抑えたい。個人的には調味料がもっと流通したら嬉しい」と岡添氏は語る。現在座屋では、欧州内の日系企業で作られた醤油を使用しており、日本で使用している醸造所の醤油が使えればと思うことがあるそう。調味料のほかには季節の野菜。「日本の夏野菜や秋の松茸、春の山菜といった季節を感じる食材があればさらにいいですね。和食は季節を楽しむ料理が多いので、スペインのお客様にもそれを伝えたい」と輸出品目の拡大に期待を膨らませた。

IZARIYA-Madrid
Calle Zurbano 63, 28010 Madrid
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