海外における日本産食材サポーター店認定制度
日本産食材サポーター店インタビュー ちよだ鮨
(CHIYODA SUSHI)
日本で200店舗以上を展開する寿司チェーンがベトナムに進出。
日本が誇る伝統の味を、身近に気軽に楽しんで。
所在地:ホーチミン(ベトナム)

テイクアウト寿司専門店が提供する総合和食
ベトナム南部最大規模の商業都市ホーチミン市。その中心街に2016年にオープンした「ちよだ鮨」には、昼夜問わず多くの人々が訪れる。顔ぶれは在住日本人や欧米人はもちろん、その約7割を占めるのが現地ベトナムの人々。ビジネス会食から家族連れでの団らん、カップルのデートディナーなど、様々なシーンで利用されている。
ちよだ鮨といえば、日本の持ち帰り寿司業界の雄といえるが、ベトナムで提供するのは自慢の江戸前寿司だけではない。刺身や天ぷら、そば、カレーライスなど約250種にものぼる多種多様な総合和食だ。
「ベトナムではまだまだ生食に抵抗がある方が多い。様々な日本食を揃えることで選択肢を増やし、まずご来店いただいた上で、寿司や刺身などにも挑戦していただければと思っています」と、同社ベトナムチームのリーダーを務める佐久間淳氏は話す。

日本各地の厳選食材を直送メニューでお届け
豊富なメニューの中でお勧めと同時に一番人気となっているのが、新鮮な日本産魚介を使った寿司や刺身、焼き物などの「豊洲直送メニュー」だ。徹底した品質管理のもと東京豊洲市場から直送された食材を、日本人寿司職人や日本で研修を受けたスタッフが丁寧に調理する。特に旬の魚介をひと皿に集めた「豊洲直送刺身盛り合わせ」が好評で、高額ながら昼食時からアラカルトで注文を受けることも多い。一方、焼き物では活帆立の磯焼きや蟹味噌焼き、甘辛いタレや脂の旨みが強い料理を好むベトナム人の嗜好に合ったうなぎのかば焼きなどが評判だ。
また、同店では魚介のほか、栃木県産の日光高原牛や純国産鶏種である岩手県産の純和鶏も取り扱う。ベトナムでは鶏肉が安価で売られているため純和鶏の注文は比較的穏やかというが、日光高原牛のにぎり寿司やしゃぶしゃぶ、ステーキなどはステータスを感じさせる品として人気が高い。

日本食の良さをオンラインや店舗で体感
近年、ホーチミン市などの都市部では日本食を楽しむ人が増えてきている。しかし、それでもまだ「食に関してベトナムの人々は少し保守的な部分があります。だからこそ最初のきっかけを作ってあげるのも私たちの仕事なのです」と佐久間さんは話す。
そこで、ちよだ鮨ではウェブサイトやSNSを使った日本食のPRも積極的に行っている。例えば料理や食材の説明のほか、食材が持つ健康効果や寿司の握り方など、そのコンテンツは多岐にわたる。
同時に店内でも日本酒の試飲会を開催したり、旬の日本産食材を笊に盛り注文時に来店客の前で食材を紹介、素材の良さを直接確認してもらったりするなど、分かりやすいプレゼンテーションも心がけている。
もちろん、それらのPRにはスタッフの豊かな知識も必要となるが、酒蔵の説明や日本酒の製造方法のオンライン勉強会を酒造メーカーと協力し社内で開催、スタッフ自身の体験を通じて来店客へのメニュー紹介に活かすなど、細やかな社員教育にも力を入れているという。

目指すは寿司をはじめとする日本食の大衆化
「おかげさまで現在は、既に日本食を知っている方の来店も徐々に増えてきています。特に35〜45歳程の経験値が高く、味にこだわりを持つ方に多くファンになっていただけるようになりました」と佐久間氏。それだけに、時折指摘を受けることもあるが、それこそがベトナムで日本食の認知度が上がってきた証拠でもあると話す。
「今後は季節ごとに旬の日本食材を使った限定メニューもご提供したいと考えています。また現在10種類ほどの日本酒の数を増やし、当店にお越しいただくだけで各地の酒蔵の商品が一度に楽しめるようにできればと思っています」。
一方、ベトナムでの日本食は、まだ現地の人々が気軽に食べられる価格ではないという。そのため、品質を下げることなく手頃感のある価格帯の店舗も計画している。
「食の安心や安全は当然ですが、『ベトナムでの日本食の大衆化』こそが、私たちが目指すミッションです。コロナ禍で食事のスタイルも変化しているため、元来の強みである持ち帰りやデリバリーにも力を注いでいきたいですね」と意気込みを見せた。
(2021年取材)

ちよだ鮨(CHIYODA SUSHI)
178 Pasteur Street, Ben Nghe Ward, District 1, Ho Chi Minh City, Vietnam
028-3822-5822
https://chiyodasushi.vn/jp/
https://www.facebook.com/chiyoda.sushi.vietnam/