海外における日本産食材サポーター店認定制度
日本産食材サポーター店インタビュー Restaurante Aizomê
(藍染)
日本文化を発信する拠点としての役割も果たす日本食レストラン
所在地:サンパウロ(ブラジル)

日本文化を発信する拠点
「レストラン藍染」(本店)は、2007年にパウリスタ大通りから数本入った住宅地にオープンした隠れ家的レストランで、当初は日本人のみをターゲットにした本格和食店だった。次第にブラジルの美食家達にも認知され、国内数々の賞を受賞するほどの有名店となっている。また藍染は、日本政府主導により2017年にオープンした日本文化の発信施設「ジャパン・ハウス」内に、2019年より「藍染 ジャパン・ハウス店」(JH店)をオープンした。
ジャパン・ハウスは、日本の最先端の技術や伝統的な文化の展示やセミナーなどを連日開催しており、多くのビジネスパーソンや日本のカルチャーを求めて足を運ぶブラジル人でにぎわっている。ブラジルでは、味や盛り付けを現地化させた”フュージョン和食”が人気だが、JH店では、ブラジル人をターゲットとして、純粋な日本食の味、技法そして「おもてなし」といった日本文化を発信する拠点となっている。

日本産×ブラジル産、食材の出会いは一汁三菜で
シェフは、日系人のテルマ白石氏。在サンパウロ日本国総領事公邸料理人や農林水産省「日本食普及の親善大使」に任命されている。
白石シェフの作る定食は、和食の基本「一汁三菜」で構成されている。ブラジルでとれる季節の魚や野菜、フルーツなどを基本食材として、和食の技術によって和定食に落とし込んでいる。そのためブラジル人の大好物であり、”フュージョン和食”のメイン食材ともいえるチリ産サーモンは、藍染では使わない。
藍染の味の基本となる出汁は、ビーガン(完全菜食主義者)にも提供できるように日本産の昆布とブラジル産の椎茸でとっている。そばやうどん など、メニューによっては、さらに日本産の鰹節を使った出汁を合わせて提供している。
「ブラジル人でも、藍染の味噌汁やそばやうどん は、ほかの店と『何か違う』と気付く。ホールスタッフが『何か違う』を説明できるように教育している。」と白石シェフは言う。

日本食材輸出拡大の起点に
藍染は「日本産食材サポーター店」に認定されているが、ブラジルの食材を活かした日本食づくりにこだわっている。ただし、より良い日本食を提供するために、特に日本食の基本調味料はブラジル産のものでなく、日本産も多く取り入れている。その上でシャリ酢に使う酢はブラジル産と日本産を混ぜるといった工夫もみられる。「日本を訪問するたびに藍染のコンセプトに合う良い食材に出会う。ブラジルでは作れない品質の酢や本みりん、わさびや和からし、のりなど、欲しい食材はたくさんあるが、ブラジルの高い税金や複雑な制度が壁となり、なかなか輸入は実現しない。『レストランが良い食材を使って、ブラジル人に良い食材の価値を理解してもらい、輸入者が良い食材の輸入を増やす』こうした好循環を藍染が起点となって生み出せたら良いと思う」とオーナーのマルセロ白石氏は語る。

日本食文化を伝える「重責」を楽しむ
「日本政府主導の日本文化発信拠点ジャパン・ハウスで、正しい日本食文化を伝える役割、責任は非常に重い」と白石オーナーは言うが、白石シェフは「私は学ぶことも、教えることも好き」と、この「責任」を楽しんでいるようだ。ジャパン・ハウスでは定期的に入れ替わる展示内容に合わせてJH店のメニュー構成や盛り付けを変えたり、日本酒のサプライヤーと協力して酒と料理のペアリングイベントを開催するなど、「たくさん遊んでいる」と白石シェフは笑う。 「“フュージョン和食”が悪いわけではないが、ブラジルでは日本とは異なる日本食文化が形成されていることは事実。最近はラーメン専門店や居酒屋が増え、“フュージョン和食”ではない日本食に関心を持つブラジル人が増えている。ジャパン・ハウスという重要な拠点で、消費者に正しい日本食文化を伝え、ブラジル全体の食文化の向上に貢献したい。」と白石オーナーは思いを語ってくれた。

Restaurante Aizomê
Alameda Fernão Cardim, 39 - Jardim Paulista, São Paulo - SP BRASIL
+55 (11) 2222-1176
http://www.aizome.com.br/
AIZOMÊ na Japan House São Paulo
Avenida Paulista, 52 – Bela Vista, São Paulo - SP BRASIL
+55 (11) 2222-1176
https://www.japanhouse.jp/saopaulo/ja/restaurante/index.html