日本産食材ピックアップ「泡盛」

沖縄の島々で生まれた、日本独特の蒸留酒

米と黒麹を原料とする「泡盛」は、沖縄の島々でつくられている蒸留酒です。独特の強い香りやコクがあり、清酒や焼酎といった他の日本のお酒とは異なる個性を持つことから近年人気を集めていて、沖縄だけでなく日本全国で飲まれています。一般的な泡盛はアルコール度数が30~40度で、ウォッカやテキーラと並ぶ強いお酒ですが、近年ではさまざまなタイプの商品がつくられ、フルーティーな泡盛などは若い女性からも支持されています。

琉球王朝の時代からの長い歴史

泡盛は、沖縄が琉球王朝として栄えていた時代から伝わる酒です。15世紀には琉球で酒づくりが行われていたという記録があり、1671年に琉球王から江戸幕府の将軍に贈られた献上品の目録に、初めて「泡盛」の名前が登場します。日本に開国を迫ったアメリカのペリー提督が1853年に琉球を訪れた際には、泡盛を飲んで「フランスのリキュールのようだ」と評しています。

第二次世界大戦で沖縄では激しい戦闘が行われ、多くの酒造所が被害を受けました。1946年に官営の工場で製造が再開されますが、酒づくりに不可欠な黒麹菌が不足していました。戦争で破壊された工場跡から、生き残っていた黒麹菌がようやく見つかったというエピソードも残っています。1949年には民間の酒造場が認められて徐々に復興を遂げ、泡盛は現在も沖縄の人々の生活や文化に根づいています。

「黒麹菌」「全麹仕込み」「単式蒸留」が特徴

泡盛に使われる米のほとんどは、粒が長い「インディカ種」のタイ米です。最近では、沖縄産の米を使おうという試みも始まっています。そして、米を麹にするために「黒麹菌」を使用することが、酒税法で定められています。米を糖化させるのに黒麹菌だけを使っているのは、世界的にも見ても泡盛以外には知られていません。黒麹菌はクエン酸を大量に生成するため、高温多湿に強いのが特徴です。そのため、沖縄の温暖な気候風土のもとでも、もろみの腐敗を抑えられ、年間を通じて製造できるのです。

これらの原料を、仕込みや蒸留をそれぞれ一度しか行わない「全麹仕込み」「単式蒸留」というシンプルな方法で酒づくりが行われます。酒造所や銘柄によって、各工程の時間や温度、蒸留やろ過の方式などを工夫をすることによって、さまざまな味わいの泡盛が生み出されます。

製造を行っている蔵元は、沖縄本島や久米島。宮古島、石垣島、与那国島などにある46酒造所と1組合。昔ながらの伝統的なつくり方を守っている蔵元もあれば、最新の設備を導入して飲みやすさを追求する蔵元もあり、地域によって個性の異なる泡盛を楽しむことができるのも魅力です。

古酒を熟成させていく楽しみ

泡盛は賞味期限がなく、高温多湿や直射日光を避けて保存することによって、ずっとおいしく飲める酒です。一般的な泡盛は、蒸留された後に半年から1年ほど熟成させてから、瓶や甕(かめ)などの容器に入れて出荷されます。3年以上熟成させたものは「古酒(くーす)」と呼ばれています。2015年8月以降、「古酒」と表記するためには、全量が3年以上貯蔵されたことが条件となりました。複数の古酒をブレンドした場合、年数表示は短い方の年数しか表示できません。

古酒は、寝かせれば寝かせるほど、味わいや香りが深まり、舌触りもまろやかになっていきます。年代物のウイスキーやブランデーにも匹敵する芳醇な風味を持つ古酒ですが、洋酒が樽から香りなどの成分を得て熟成するのに対し、泡盛は自らの成分そのものを長期熟成させるという違いがあります。したがって、瓶詰めされた後でも、順調に熟成が進んでいくのです。現在保存されている最も古い古酒は150年物と言われています。

沖縄では、古酒を育てるという文化があります。「仕次ぎ」と呼ばれ、古酒を年代順に複数の甕に入れておき、古い酒を飲んだら、その次の年代の酒を順番に注ぎ足すことが行われています。古酒の香りや味を保ち、劣化を防ぎながら熟成させるための方法です。一般の家庭でも手軽に熟成させることができるのは、泡盛ならではの楽しみ方の一つです。

低カロリーかつ低糖質の酒

蒸留酒である泡盛には元々、醸造酒の様に糖質やたんぱく質は含まれていません。熱量はアルコール度数にほぼ比例し、同じ度数の日本酒などと比べてもカロリーは低いです。泡盛は「低カロリー」「低糖質」を求める健康志向の人に適した酒であると言えます。

さまざまなアレンジが楽しめ、料理にも合う

泡盛は食中酒として飲みやすく、和食、洋食、中華など、各地域の料理と組み合わせることができます。水割り、オン・ザ・ロック、ソーダ割り、お湯割りなど、さまざまな飲み方のアレンジを楽しめ、幅広い年代層に合わせられます。「伸びの利く酒」であることが泡盛の特徴であるとも言え、水を加えて薄めても、香りやコクを薄めることなくアルコール度数を下げて飲むことができます。熟成された古酒であれば、ストレートやロックで豊かな味や香りを楽しむのがおすすめです。

カクテルのベースとしては、無色透明なのでさまざまなアレンジが可能です。沖縄特産のシークヮーサーなど柑橘類の果物や、トロピカルフルーツとの相性も抜群。泡盛カクテルの大会には韓国やシンガポールなどからも参加者が集まり、さまざまなカクテルが披露されています。