スコットランド首相、連立解消を受け、辞任を表明

(英国)

ロンドン発

2024年05月07日

英国・スコットランド自治政府のフムザ・ユスフ首相は4月29日、辞任する意向を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。与党・スコットランド国民党(SNP)党首の職も辞任するとした。前党首のニコラ・スタージョン氏の突如の辞任を受け、2023年に党首に就任したものの、1年での辞任となった(2023年3月29日記事参照)。

緑の党との連立解消と野党からの自身への不信任案の提出などが辞任の要因とされ、辞任表明演説の中で同氏は、緑の党との連立解消の影響を明らかに過小評価していたとした。

自治政府と緑の党は2021年10月に、新型コロナウイルスの影響で低迷した経済からのグリーンな経済回復、気候緊急事態への対応、より公平な国づくりを掲げたビュートハウス協定を締結。スコットランド議会で連立政権を成立させ、緑の党から2人の閣外大臣を選任していた。しかし、自治政府が2024年4月18日に発表した気候変動目標の撤回(2024年4月24日記事参照)などに、緑の党が反発して、4月25日に同協定の終了が発表され、両党の協力関係は終結した。緑の党(7議席)との連立解消で、与党のSNP(63議席)はスコットランド議会(129議席)で過半数を割り、政権運営で苦境に立たされることになった。さらに、野党からユスフ首相に対する不信任案が提出され、緑の党も不信任案への支持を表明しており、不信任案可決の見通しが立っていた。今後、ユスフ首相は、SNP党首選で後任が決定するまで首相を続投するとしている。

調査会社ユーガブが4月26日から29日にかけて実施した調査では、スコットランドの有権者のうち、次回の総選挙の投票先として労働党と回答した割合は34%、SNPと回答した割合は33%、保守党と回答した割合は14%となった。また、連立解消については、37%が「正しかった」、27%が「間違っていた」、36%が「わからない」と回答している。さらに、連立解消の転機となった気候変動目標撤回について、40%が「正しかった」、37%が「間違っていた」、23%が「わからない」と回答していた。

5月6日にSNP党首選挙の唯一の立候補者である元副首相のジョン・スウィニー氏が党首に選出された。今後、首相に就任する見込み。

(奈良陽一)

(英国)

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