マクロン大統領、外資誘致会合で総額150億ユーロの投資案件を発表

(フランス)

パリ発

2024年05月15日

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は5月13日、対フランス投資誘致を目的にした会合「チューズ・フランス(Choose France)」を開催した。外国企業の経営者をベルサイユ宮殿に招き、外資誘致に向けた政策努力をアピールした。同会合を開催するのは今回で7回目となる。米国ITのマイクロソフトのブラッド・スミス副会長兼社長のほか180人の外国企業の経営者らが参加した。

同会合の開催に合わせ、外国企業による合計56件の投資プロジェクトが発表された(政府発表資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。投資額の合計は150億ユーロと、前年の130億ユーロを上回り過去最大になった。これにより、国内で1万人の新規雇用が創出される見通し。人工知能(AI)、脱炭素化、医薬品、金融部門で大型案件が見られた。

マイクロソフトは、40億ユーロを投資すると発表した。同社によるフランスへの投資額として過去最大となる。パリとマルセイユにある拠点を拡張し、次世代GPU(画像処理装置)を高性能化することで、フランスのクラウドおよびAIインフラを拡充する。東部ミュルーズに新型データセンターを開設する。また、2027年までにスタートアップ企業2,500社のAI導入を支援する。

米国アマゾンは、フランス国内の物流ネットワークを強化するとともにアマゾン・ウェブ・サービスのクラウドインフラ開発に12億ユーロ超を投資する。3,000人を超える新規雇用が創出される見通し。

スペインに拠点がある肥料製造のファーティジー(FertigHy)は、フランス北部オー・ド・フランス地域圏に国内初となる低炭素肥料の生産工場を建設する。投資額は13億ユーロを超えるとみられる。250人を雇用し、2030年までに年間50万トンの低炭素肥料を生産する。

金融部門では米国モルガン・スタンレーがパリ拠点の人員を2025年に100人増員するほか、医薬品部門では米国ファイザー、英国アストラゼネカと英国グラクソ・スミスクライン(GSK)が合わせて約10億ユーロの新規投資を発表した。

日本企業では、ITサービスのテレハウス(KDDIグループ子会社)が10億ユーロを投資し、イル・ド・フランス地域圏など3カ所に持続可能なデータセンターを開設する。また、ニデックはフランス中部ラ・フイユーズにバッテリーを使った定置型蓄電システムの生産工場を建設すると発表した。1,700万ユーロを投資し、115人を雇用する予定だ。

(山崎あき)

(フランス)

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