ASEAN経済共同体ポスト2025アジェンダ策定に向けたワークショップ開催

(ASEAN)

ジャカルタ発

2024年05月10日

ASEAN事務局(本部:インドネシア・ジャカルタ)は4月30日、ASEAN域内で活動する産業団体や企業、各国大使館、国際機関などを招いたワークショップを開催した。このワークショップは、2026年から2045年まで20年間のASEANの新たな経済統合の方向性を示す「ASEAN経済共同体(AEC)ポスト2025アジェンダ」(2024年4月4日記事参照)を策定するための意見聴取を目的としたものだ。

AECポスト2025ワーキンググループの議長、ラオス商工省外国貿易政策局のサイサナ・サヤコーン局長は開会あいさつで、ワークショップを開催した目的を「ASEANが取り組むイニシアチブと産業界の現状とのギャップを埋めること」や「2026年以降のASEAN政策について、モニタリングや評価ができるシステムを作り、産業界と公的部門の間に開かれた対話の場や振り返りのための環境を構築すること」と述べた。

ASEAN事務局のASEAN統合監視総局ディレクターのアフマッド・ザファルラ・アブドゥル・ジャリル氏はAECの未来のために協力強化が重要と考えられる分野として、戦略的貿易、持続可能なエネルギーと鉱物、デジタルと技術革新、知的財産権、鉱物資源に関する協力などを挙げた(添付資料表参照)。

ディスカッションセッションでは、在ASEANの各国大使館や国際機関、企業などから「カーボンニュートラルに関する具体的な重要評価指標をASEANとして設定すべき」との意見や、「経済成長のエンジンとしてのヘルスケア産業を育成するために必要な制度の設計や効果的な資金調達環境を整備すべき」との意見が出た。参加した製造業企業からは「ASEAN各国が税収を安定的に確保するために知的財産権の保護に一層取り組むべき」との声が聞かれた。

「AECポスト2025アジェンダ」は「ASEAN共同体ビジョン2045」の経済分野を構成する要素として、2024年末まで策定のための議論を行い、2025年のASEAN首脳会議で採択される見込みだ。

(大滝泰史)

(ASEAN)

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