カザフスタン、トルクメニスタン、アフガニスタン、物流インフラ整備で合意

(カザフスタン、トルクメニスタン、アフガニスタン)

タシケント発

2024年05月14日

カザフスタン、トルクメニスタン、アフガニスタンは4月26日、アフガニスタンの首都カブールで代表者協議を行い、アフガニスタン国内の物流インフラ整備を行うことで合意した。同国内に新たな鉄道の敷設や物流ハブの整備を進め、南アジアへの輸送ルートを開発することで、輸送コストを削減し競争力を高めるのが狙い。協議にはカザフスタンのセリク・ジュマンガリン副首相、アフガニスタンのノオルディン・アジジ商工業相代行、トルクメニスタンのマメトハン・チャキエフ運輸通信庁長官が参加した。

カザフスタンとアフガニスタンは共同で、中央アジア・南アジア交通統合事業の一環として「アフガニスタン横断ルートプロジェクト」を立ち上げ、テルメズ(ウズベキスタン)~マザリシャリフ(アフガニスタン)~カブール(同)~ペシャワル(パキスタン)間と、アフガニスタン国内のヘラート~カンダハル~スピーン・ブールダク間の鉄道敷設を行う。建設に必要な資材はカザフスタンが提供する。鉄道新設により輸送時間が10分の1に短縮できると見込まれている。トルクメニスタンは、国境のアフガニスタン側の街トルグンディに共同物流センターを建設する。

カザフスタンは2023年12月にアフガニスタンのタリバン政権をテロ組織認定リストから除外し、経済交流を進める方向に転換している。2022年の両国の貿易額は9億8,790万ドルで、前年比2.1倍だった。カザフスタン政府は2023年4月、交通の要衝ヘラートにカザフスタン貿易センターを設立することを決め、今回のジュマンガリン副首相の訪問に合わせて業務を開始した。カザフスタン貿易統合省は、アフガニスタンに新たな輸送ルートが整備されれば、南アジアや外洋への重要な物流拠点となり得るとして期待を寄せる。また、複合物流の開拓にも積極的で、カザフスタンのパブロダルからウズベキスタン、アフガニスタン、パキスタンを経由して鉄道、トラック、船でアラブ首長国連邦(UAE)までセメントなどの原料となるアルミノケイ酸塩を輸送するパイロットプロジェクトを開始している。

アフガニスタンのアジジ商工業相代行は「ヘラート州で(3カ国の投資により)物流ハブが建設される。このハブを通じてロシアから、パキスタンをはじめ南アジア諸国に石油を輸送できるようになる」と発言している。同氏は年間100万トンの石油製品が輸送できるようになると見積もっており、将来的に地域のエネルギー貿易の拠点になる可能性も秘めている(ロイター5月2日)。

(増島繁延)

(カザフスタン、トルクメニスタン、アフガニスタン)

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