クレハ、有機フッ素化合物(PFAS)の無害化技術持つ米クラロス・テクノロジーズに出資

(米国、日本)

ヒューストン発

2024年05月14日

クレハは5月10日、クレハ・アメリカ(本社:テキサス州ヒューストン)を通じて、有機フッ素化合物(PFAS、注)の無害化技術を持つ米国スタートアップ企業クラロス・テクノロジーズ(本社:ミネソタ州ミネアポリス)に出資するとともに、低分子PFAS無害化技術・ビジネス開発での戦略的パートナーシップを締結PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)したと発表した。

クラロスは、工場の生産工程で排出される産業廃水などに溶けて残る低分子PFASを、光反応を利用して安全な物質まで分解する完全無害化プロセスを開発した。また、同社は高度な分析能力も備えており、それを生かした総合的な低分子PFAS処理関連サービスの海外展開を目指すとしている。

クレハは今回の出資と戦略的パートナーシップを通じ、PFASが引き起こす課題に対するソリューションを日本、アジア市場へ早期導入すべく取り組むとしている。

クレハ・アメリカの西畑直光取締役社長は「当社とクラロスはこれまでの共同開発事業を通じ、強固な関係を築いてきた。環境規制への対応からPFAS処理に関するニーズは高まっており、両社の強みを生かして、市場にサービスを提供していきたい」と述べた。

クレハは2022年5月6日、PFASの吸着と無害化実現技術に関し、クラロスとの共同開発契約を締結している(2022年5月10日記事参照)。

(注)PFASは、いわゆる有機フッ素化合物の総称で、耐熱性や耐水性、耐油性、非粘着性などの特性があり、衣料、食品包装、調理器具、化粧品、電子・電気部品、自動車部品をはじめとする多くの産業や製品に利用されている。一方で、PFASが環境や人体に与えるマイナスの影響を理由に、PFASに関する規制の導入やメーカーが製造の中止を表明するといった動きもある(2022年12月22日記事2023年3月15日記事参照)。

(深石晃)

(米国、日本)

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