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加工食品の現地輸入規則および留意点:EU向け輸出

EUに加工食品を輸出する際の現地規制および留意点について教えてください。

EUに加工食品を輸出する際の留意点について、輸入規則とラベル表示などに分けて説明します。


I. 輸入規則
EUの食品に関する一般原則は、「欧州議会・理事会規則(EC)No178/2002」です。同規則の原則に基づく食品に関する主な規則は「動物起源食品(動物性食品)に対する食品衛生規則(欧州議会・理事会規則(EC)No853/2004))」および「一般食品(非動物性食品)に対する食品衛生規則(欧州議会・理事会規則(EC)No852/2004))」があります。


1. 動物性食品の規制
EU への動物性食品の輸入は「欧州議会・理事会規則853/2004」に従って、欧州委員会が作成する輸入承認リスト(第三国リスト)に当該国が記載されていなければ認められません。また、EU へ食品を輸出する事業所は、当該国の管轄当局がEU の要件を満たすことを保証した輸入許可施設のリストに記載されていなければなりません。日本が第三国リストに掲載されているのは、ケーシング(ソーセージの表皮部分)と牛肉(2013年3月28日以降に処分されたもの)および水産物のみです。日本からの牛肉以外の食肉および同加工品、生乳および乳製品などの輸入は認められていません。


2. 水産物の輸入規制
水産物のEUへの輸入は「欧州委員会決定2006/766/EC」内に第三国リストがあり、日本は同リストに含まれているため、日本からの水産物の輸入は基本的に可能です。ただし、衛生証明書の添付やEUが認定した施設で生産された製品であるなど、その他の要件を満たす必要があります。


3. 混合食品の規制について
混合食品(Composite Products)とは加工された動物性加工食品と植物性食品の両方を含む食品です。「欧州委員会決定2007/275/EC」では、それまで加盟国の規定に委ねられていた動物性成分の含有率が低い混合物に関して、EU域内で統一された検疫要件を導入しました。同決定では、特定の混合食品について、衛生証明書の要件を規定しています。「欧州委員会決定2007/275/EC」の付則?のリストには、検疫対象となる動物性食品の条件、ならびに対応する関税品目コード(CNコード)と非検疫対象製品が記載されています。
「欧州議会・理事会規則(EC)853/2004」は混合食品を含む動物性食品の衛生ルールを規定しており、これを受けて「欧州委員会規則(EC)No28/2012」は特定の混合食品のEU への輸入、および経由するトランジットに対する認可要件に関する詳細ルールを規定しています。 混合食品の輸入規制についての詳細は文末の調査レポート「EUにおける混合食品に関する規制(2014年3月)」をご参照ください。


4. 遺伝子組み換え食品について
遺伝子組み換え食品は原則、輸入が禁止されています。遺伝子組み換えの大豆やトウモロコシなどが輸入されていますが、これらは品種ごとに欧州委員会の許可を取得したものです。


5. 一般食品(非動物性食品)について
一般食品(非動物性食品)については原則として第三国からEU域内への輸入が認められています。また、EU共通農業政策(Common Agricultural Policy:CAP)で保護されている農産物の輸入に際しては、事前に輸入ライセンスの取得が必要です。「欧州委員会実施規則418/2012」で指定されている品目はコメ、牛肉、果物・野菜加工製品および穀物などで、それぞれの品目でライセンスなしで輸入できる純量が定められています。


II. 食品表示規則
1. 2014年12月13日、「欧州議会・理事会規則(EU)No 1169/2011(消費者への食品情報提供に関する規制)」の適用が開始されました。
主な改正点は、(1)栄養表示の義務化、(2)文字サイズの最低値の導入、(3)包装済食品におけるアレルゲン強調表示の義務化、(4)レストランやケータリングなどの包装されていない食品におけるアレルゲン強調表示の義務化、(5)ラベル表示に関する責任の所在(輸入者)の明示などです。
ただし、(1)栄養表示の義務化については2016年12月13日からの適用となります。
食品表記規制に関する詳細は、文末の調査レポート「EUにおける食品ラベル表示に関する規制(2014年3月)」をご参照ください。


2. 食品表示
A. 以下の項目の表示が義務づけられました。

  1. 販売製品の名称(品名)
  2. 成分リスト
  3. アレルギー成分
  4. 特定の成分(ないし成分カテゴリー)の分量
  5. 正味量
  6. 賞味あるいは期限(Use by)
  7. 特別な保管条件や使用条件(特にある場合)
  8. 輸入業者の名称と住所
  9. 原産地国
  10. 使用方法(説明がなければ使用困難な場合)
  11. アルコール濃度(重量比でアルコールを1.2%以上含む飲料)
  12. 栄養表示/カロリー表示

食品ラベルに使用される言語は、EUの公用語であれば複数の記載が可能です。ただし、当該製品の販売国における公用語は必ず使用しなければなりません。


B. 栄養表示として下記の項目の表示が義務づけられました(100グラム当たり、または100ミリリットル当たりの量を表示します)。

  1. エネルギー量
  2. 脂質
  3. 飽和脂肪酸
  4. 炭水化物
  5. 糖分
  6. たんぱく質
  7. 塩分
     

C. アレルゲンの強調表示が義務化されました。
対象となるのは以下の物質およびその製品です。

  1. グルテンを含有する穀類(小麦、ライ麦、大麦、オート麦など)
  2. 甲殻類
  3. 魚介類
  4. ピーナッツ
  5. 大豆
  6. 牛乳
  7. ナッツ(アーモンド、ヘーゼルナッツ、クルミ、カシューナッツ、ピスタチオ、マカダミアなど)
  8. セロリ
  9. マスタード
  10. ゴマ
  11. 二酸化硫黄(10mg/kgまたは10mg/lを超える場合)
  12. ハウチワマメ(Lupin)
  13. 軟体動物


D. EUにおいては、ある食品が、その属するロットを特定することができる記載、または「マークに関する理事会指令89/396/EEC」により、全ての食料品に製造ロット番号を表示することが義務付けられています。ロット表示は、”L”の文字を最初に記し、見やすく、読みやすく、そして消去不能なものとします。


III. 容器・容量規制
食品と接触する素材および製品は、「欧州議会・理事会規則(EC) No.1935/2004」のほか、プラスチックなど特定素材や特定物質別に定められた指令・規則によって規制されています。 詳しくは文末の貿易・投資相談Q&A「食器の現地輸入規則および留意点:EU向け輸出」をご確認ください。


2007年10月に「消費者向け製品の容量やサイズの規制緩和に関するEU指令2007/45/EC」が発効しました。これにより、製品の容量・サイズ規制は、ワインおよび蒸留酒を除く事前包装されたすべての製品で廃止されました。


IV. 添加物に関する規制
欧州委員会は食品添加物の使用の可否および使用基準をよりわかりやすくするため、甘味料、着色料、保存料、酸化防止剤、乳化剤、安定剤およびゲル化剤などの添加物の使用に際しては、「欧州議会・理事会規則(EC)No 1333/2008」の付則?の食品添加物リストに記載された27分類の食品添加物のみ使用が許可されるポジティブリスト制度を採用しています。


こんにゃく成分(*)は食品添加物として、最終製品1kgに対して、含有量10gまで認められていますが、着色料と甘味料以外の用途に限定されています。また、「欧州委員会決定2002/247/EC」により、「こんにゃく成分を添加物(E425)として含むミニカップ・ゼリーおよびゼリー菓子」は窒息事故を誘発する危険性があるとして使用が禁止されています。一方、こんにゃく自体は実際に輸入されています。
(*)Konjac gumおよびKonjac glucomannane。


すべての食品添加物は純度基準を満たすことが求められます。新たな物質の追加や削除などを含む改正は、随時確認してください。


V. 残留農薬に関する規制
残留農薬が人体に及ぼす危険性を許容レベルに抑えるため、「欧州議会・理事会規則 (EC)No規則396/2005」により、約1,300種の農薬について「残留農薬基準(Maximum Residue Level:MRL)」が定められています。ポジティブリスト制を採用しているため、MRLが設定されていない農薬については0.01mg/kgが適用されます。残留農薬に関する詳細は文末の調査レポート「EUにおける残留農薬に関する規制」をご確認ください。


VI. 輸入関税・内国諸税
1. 輸入関税
EUの輸入関税番号と関税率は統一されており、合同関税品目分類表(CN)におけるEU統合関税率(TARIC)が適用されます。


2. 内国諸税
付加価値税や物品税などの内国税は各国が独自に定めていますので、各国ごとに税率を調べる必要があります。EU各国の関税率や物品税を調べるには拘束的関税情報(Binding Tariff Information:BTI)のEBTIデータベースを参照すると便利です。


VII. 原発事故に伴う規制 
2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う原子力発電所事故により、EUへ輸出される農産物および飼料(鮮魚・水産物を含む)については一時的な規制措置が敷かれています。詳細は以下の参考資料・情報の農林水産省ウェブサイトを参照してください。

関係法令
欧州議会・理事会規則(EC)No 178/2002  
一般食品に関する食品衛生規則(欧州議会・理事会規則(EC)No 852/2004)
動物性食品に関する食品衛生規則(欧州議会・理事会規則(EC)No 853/2004)  
水産物の輸入が承認される第三国リスト(欧州委員会決定(EC)No 2006/766/EC)  
国境検査所での検査対象となる動物性食品に関する規則(欧州委員会決定2007/275/EC)
特定の混合食品に関する規則(欧州委員会規則(EC)No 28/2012)
輸入ライセンスが必要な指定品目(欧州委員会規則(EC) No 418/2012)
食品表示規則(欧州議会・理事会規則 (EC)No 1169/2011)  
包装容器規則(欧州議会・理事会規則(EC)No 1935/2004)
食品添加物規則(欧州議会・理事会規則(EC) No 1333/2008)  
残留農薬規則(欧州議会・理事会規則 (EC)No 396/2005)


参考情報・資料
EUの関税情報(Binding Tariff Information:BTI)
厚生労働省:
対EU輸出水産食品
農林水産省:
EU向け輸出証明書  
原発事故に伴う各国・地域の輸入規制
ジェトロ:
EUにおける「動物性加工食品と植物性食品の両方を含む食品(混合食品)」に関する規制(2014年3月)
EUにおける食品ラベル表示に関する規制(2014年3月)
EUにおける食品添加物に関する規制(2014年3月)
EUにおける残留農薬に関する規制(2015年2月)
貿易・投資相談Q&A「 食器の現地輸入規則および留意点:EU向け輸出


調査時点:2015/01

記事番号: A-080915

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