バイオテロ法に関する情報
バイオテロ法(公衆の健康安全保障ならびにバイオテロへの準備および対策法:The Public Health Security and Bioterrorism Preparedness and Response Act of 2002)は、2001年9月11日の米国同時多発テロ等を受け、2002年6月にブッシュ米国大統領の署名により成立し、2003年12月12日に施行された。
同法に基づいて、(1)行政による留置、(2)食品関連施設の登録、(3)記録の義務付け、(4)輸入時の事前通告、の4つの食品関連規則が発表されている((1)、(2)、(3)については2006年2月に最終規則が策定された。(4)については最終暫定規則となっている)。各規則の概要は次のとおり。
なお、バイオテロ法の詳細については、食品医薬品局 (FDA) バイオテロ法情報提供ウェブサイト
をご参照ください。
バイオテロ法 タイトルIII
(食品および医薬品供給の安全・保全保護)
(103KB)
(1) 行政による留置(303条)
FDAの職員または資格のある従業員が、食品の検査を行う際に、人間や動物の健康に重大な脅威を与えるか、もしくは死に至らしめる危険があると信じるに足る証拠がある場合に、当該FDAの職員または従業員は、当該食品の留置命令を発することができる。
規則には、生鮮食料品に対する行政措置を速やかに実施する手続きや、FDAがどのように食品を留め置きし、留置命令に対する不服申し立てをどのように処理するかという手続きなどが含まれる。
農務省の専管となる食品(肉、家きん肉、卵製品)は対象外とされている。それ以外の食品は、州を越えて取引されるか否かを問わず、この規則の対象とされている。
留置命令は、対象となった食品がある地域のFDA地域局長(District Director)または、直近の上席担当官の承認が必要となっている。命令書の写しは、食品が置かれている場所の所有者、操業者、代理人、食品の荷主に発行される。またFDAが、車両など運送手段にある食品に対し命令を出した場合には、荷送人に対して留置命令の写しが発行される。
留置命令には以下の情報が含まれる。
- 留置命令番号
- 留置命令の日時
- 留め置きされた食品の詳細
- 留置期間
- 示された期間中は、食品が留め置きされる旨の文書(「○○についてはここに示された期間留置される」というステートメント)
- 留置理由の概要
- 食品が留め置きされるべき場所の住所、位置および倉庫・輸送の状況 など
命令の対象となった食品は、安全な場所へ留め置かれ、輸入業者、荷主、荷受人などの第三者に引き渡すことはできない。また、FDAが留め置きを解除するか、留置期限が切れるまで、留置が命じられた場所または移動場所からは移動できない。留置期間については、30日を超えることはできないとされている。
留置された食品について権利を保持する者は、留置命令に対して不服を申し立てることができる。生鮮食料品の場合、留置命令を受けた日から2日以内に不服申し立てを行うことが求められる。その他の食品の場合は、命令を受けた日から4日以内に不服申し立ての意向を通告し、命令を受けた日から10日以内には正式な不服申し立てをしなければならない。FDAは不服が申し立てられてから5日以内に、非公式なヒアリングの機会を提供し、その後、命令を継続するか解除するかを決定しなければならない。
<最終規則の概要>(2004年5月確定)
- (JETRO仮訳)「行政留置」ファクトシート
(38KB) - (JETRO仮訳)最終規則
(73KB)
(2) 食品関連施設の登録(305条)
米国内で人や動物の消費に供するための食品を製造/加工、包装、保管する国内外の施設は、2003年12月12日までにFDAに登録することが義務付けられた(2003年12月12日以降に米国への食品の輸出ビジネスを開始しようとする者は、当該施設で食品の製造、加工、包装、保管を始める前に登録する必要がある)。
具体的には、施設に対し責任を有する所有者、操業者(Operator)、代理人、またはその権限を委任された者は、施設名称、住所、施設が扱う食品分類などの情報を登録しなければならない。さらに、外国施設については、「米国代理人」を登録しなければならない。また、登録内容に変更がある場合には、決められた期間内に修正しなければならない。
個人住居、公共水道システムなどの飲料水収集/分配施設、運送業として通常食品を保管する車両、農場、レストラン、小売施設、非営利食品施設、漁船、農務省所管の施設(肉製品、家きん製品または卵製品のみを取り扱う施設)などは登録の対象外である。また、米国外の施設で、米国への輸出前に、さらに他の米国外施設で製造/加工や包装される食品を製造する施設も除かれる。ただし、その加工や包装がラベル貼りなど最小限のものである場合には例外とならず、製造/加工施設と最小限の処理施設両方の登録が必要となる。
未登録の外国の施設から持ち込まれた食品は、通関で留め置かれる可能性がある。
【留意事項】
・施設登録の費用
登録や登録内容の更新にかかる費用は無料
・米国代理人について
米国外の施設を登録する場合には、米国代理人(U.S.エージェント)を指定する必要がある。米国代理人は、米国内に居住するか、米国内で継続的にビジネスを行い、米国に滞在している必要がある。輸出元が米国内に関連会社等を有する場合、この関連会社等が米国代理人となるのが一般的である。また、輸出元が米国に関連会社を持たない場合には、日系食品輸入業者など、米国側の取引先が米国代理人を引き受けている。
・施設登録の方法
登録および登録の更新の方法は次のとおり。
- FDAのウェブサイトを通じオンラインで登録
- FDAのウェブサイトからダウンロードした登録を郵送またはFAX
- FDAのウェブサイトからダウンロードした登録フォームをCD-ROMで郵送
(※)FDAは電話等、口頭での登録は受け付けていない。
(※)オンライン登録および登録フォームの入手に関して
(FDAウェブサイト)
・登録番号の確認について
施設登録の手続きが完了次第、FDAは登録を確認し、登録番号を割り当てる。
登録番号の受け取り方法は、(1)オンライン登録の場合、オンライン上で即時受け取り、(2)FAXでの登録の場合、FAXでの受け取り、(3)郵便またはCD-ROM送付による登録の場合、郵便での受け取り、となっている。
<最終規則の概要>(2005年9月確定)
- (FDA発行)「食品施設の登録」ファクトシート

- (JETRO仮訳)最終規則
(113KB) - (FDA発行)食品施設登録ページ

- (JETRO仮訳)登録申請書
(134KB)
(注:和訳につきましては参考までにジェトロで作成したもので、あり得る誤訳については責任を取りかねます。また、実際の登録については必ず英語の様式にご記入ください。)
(3) 記録の義務付け(306条)
米国内で食品を製造、加工、包装、運送、配送、受け取り、保管もしくは輸入しようとする米国人(法人を含む)は、その食品を受け取った相手(直前の相手)とその食品を渡した相手(直後の相手)の記録を保持しなければならない。また、食品が人間や動物の健康に重大な危険をおよぼすとFDAが判断した場合には、その食品についてFDAへの記録または関連情報を提供しなければならない。
外国人(法人を含む)については、米国に食品を持ち込む外国人(法人を含む)だけがこの規制の対象になる。例えば、日本国内の食品加工会社A社が運送会社B社を使って米国に食品を輸出する場合、A社には記録の整備・保持の義務はなく、B社のみが規制の対象となる。
【最終規則の概要】
(1)規則が適用される者
- 米国人(法人を含む)で食品を製造、加工、包装、運送、配送、受け取り、保管するか、米国に食品を輸入する者
- 外国人(法人を含む)で食品を米国に持ち込むもの
(2)全ての規制が適用除外となる主体
以下の主体には全ての規制が適用除外となり、記録保持の必要も、FDAへ記録や関連情報を提供する必要もない。
- 農 場
- レストラン(消費者に食事を提供する施設)
- 外国人(法人を含む、ただし、米国に食品を持ち込む者を除く)
- 米国農務省が一元的に管轄している食品(肉、家きん肉、卵製品)のみを製造、加工、包装、運送、配送、受け取り、保管、輸入する者
- 個人的に消費される食品を製造、加工、包装、運送、配送、受け取り、保管、輸入する者
- 食品に直接接触しない容器を製造、加工、包装、運送、配送、受け取り、保管、輸入する者
(3)消費者に直接食品を販売する者に関する適用除外項目
小売店など、消費者に対して食品を直接販売する者は、その食品を渡した相手(直後の相手)の記録を保持する必要はない。
(4)記録の保持が免除される場合
次の主体は記録保持の必要はない。しかし、FDAから要求があった場合には関連情報を提供しなければならない。
- フルタイム換算従業員(従業員の延べ労働時間を年間で1名=2,080時間として換算)が10名以下の食品小売店
- 食品接触物質(容器など)を製造、加工、包装、運送、配送、受け取り、保管、輸入する者
- 漁獲物の加工を行わない漁船
- 非営利の食品施設(慈善事業として食品を提供する施設)
(5)保持すべき記録の内容
「輸送者」(食品の輸送のみに従事する者)については、(1)食品の直前の入手元、(2)直後の受け渡し先、(3)輸送の出発地、(4)目的地、(5)輸送日等の記録を保持する。
「非輸送者」(輸送者以外の者)については、食品の受け取り記録と、食品の発送記録を分け、それぞれ、(1)直近の相手の社名、連絡先、(2)食品のタイプ、(3)取引日、(4)ロット番号など食品を特定する情報(製造、加工、包装業者の場合)、(5)食品の品質および梱包の状況の記録を保持する。
(6)FDAへの記録または関連情報の提供
食品に不正があり人間や動物にとって健康への悪影響や死亡などの重大な危険があるとFDAが判断した場合、FDAは記録または関連情報を入手することができる。関係業者は、FDAからの要求があった場合、できるだけ早く、少なくとも24時間内に提供しなければならない。
(7)規制の適用日
- フルタイム換算従業員数10名以下の企業:2006年12月9日から
- フルタイム換算従業員数が10名より多く500名未満の企業:2006年6月9日から
- フルタイム換算従業員数が500名以上の企業:2005年12月9日から
(8)記録の様式
記録の様式は、特に指定されておらず、必要な情報が含まれていれば良いとされている。新たな書類を作成する必要はなく、既存の書類(例えば注文書、船荷証券、船積み書類等)を記録として用いることが可能。また、記録は書類でも電子的な情報でも可。
(9)記録保持の期間
記録保持の期間は、食品の腐りやすさによって次のように決められている。
(1)非輸送者について
- 60日以内に品質劣化が進む食品:当該食品の入手、発送から6ヶ月間
- 60日を超え、6ヶ月以内に品質劣化が進む食品:当該食品の入手、発送から1年間
- 6ヶ月経っても品質劣化が進まない食品:当該食品の入手、発送から2年間
- 動物の飼料、ペットフード:入手、発送から1年間
(2)輸送者について
- 60日以内に品質劣化が進む食品:当該食品の入手、発送から6ヶ月間
- 60日経っても品質劣化が進まない食品:当該食品の入手、発送から1年間
<最終規則の概要>(2004年12月確定)
- (JETRO仮訳))最終規則
(71KB)
(4) 輸入時の事前通告(307条)
輸入業者などは、輸入食品が米国の国境に到着する5日前から以下の時間までにFDAに食品輸入の事前通告をすることが義務付けられる。
(1)道路輸送の場合は到着の2時間前まで
(2)航空や鉄道輸送の場合は到着の4時間前まで
(3)海上輸送の場合は到着の8時間前まで
(4)国際郵便の場合は、食品の郵送前にFDAが電子通知を受信・確認する必要がある。(小包にはFDAの事前通告確認書を添付する必要がある)
全ての輸入食品が事前通告の対象となるが、個人が自分の消費用に米国に持ち込む食品や、米農務省の専管物資(畜肉、家きん肉(およびそれらの製品)、卵製品)、輸出されるまで到着地を出ない食品、個人の住居内で作られ、個人的な贈り物として個人によって米国内の個人に対して送られる食品には適用されない。事前通告に必要な情報は次のとおり。
- 事前通告の提出者確認情報(氏名、電話、FAX番号、電子メールアドレス、会社名、住所など)
- 送信者(送信者と提出者が異なる場合)を確認する情報(氏名、電話、FAX番号、電子メールアドレス、会社名、住所など)
- 通関の種類およびCBP確認情報(CBP Identifier)
- 食品の詳細情報(FDA商品コード、慣用名、一般名、または市場名、最も小さいパッケージから最も大きなコンテナに至るまでの推定数量、ロットおよびコード番号、またはその他の食品を確認できる情報(該当する場合))
- 製造業者の確認情報
- 生産者(もし分かれば)
- FDA原産国
- 荷主の確認情報(国際郵便の場合を除く)
- 食品の出荷元の国(国際郵便の場合は、郵送予定日および郵送国)
- 到着予定情報(場所、日時等)、食品が国際郵便で郵送される場合は、米国受取人(氏名および住所)
- 輸入業者、荷主、最終荷受人の確認情報(国際郵便の場合および米国内で詰め替えが行われる場合を除く)
- 運送会社の確認情報および輸送ルート(国際郵便の場合を除く)
- 計画出荷情報(国際郵便の場合を除く)
適切な事前通告なしに輸入された場合、当該輸入品は、留め置かれるか、FDAにより安全な施設への移動が指示される可能性がある。
【留意事項】
・事前通告を行う者
必要情報について知識を持っている者であれば誰でも事前通告を行うことができる。製造業者、輸出業者、代行業者、輸入業者、米国代理人などにより事前通告が可能である。
・事前通告の方法
事前通告は次の方法で行うことができる。
(1)税関国境警備局(CBP)のACS(Automated Commercial System)
- CBPとFDAのコンピュータシステムが連関しており、通関業者、輸入業者がCBPに提供した事前通告に関する情報がFDAに提供される。
- CBPのシステムとは別にFDAに事前通告を行う場合に用いる。国際郵便による輸入の場合には、この方法を用いる必要がある。
<最終規則暫定版>(2003年10月10日公表)
- (FDA発行)「事前通告」ファクトシート

- (JETRO仮訳)最終規則案暫定版
(178KB) - (FDA発行)事前通告登録ページ

バイオテロ法以外の食品等安全確保のための措置概要
2001年9月11日の同時多発テロ以降、米国政府は外国から輸入される食料品を含む貨物の安全性を確保するため、様々な措置を講じてきた。その主要なものとして挙げられるのが、24時間規則、CSI、C-TPATである。
- 食品等安全確保のための措置概要
(41.4KB)