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フランスの不正ダウンロード取り締まり法案:HADOPI
2009年9月
分野:コンテンツ(共通)
「Création et Internet (創造とインターネット)」とも呼ばれる不正ダウンロードの取り締まりを図る法案、Hadopi法が2009年5月12日国民議会により可決され、翌13日には上院を通過、6月12日に公布された。これにより、独立した公的機関である「Hadopi」(Haute autorité pour la diffusion des œuvres et la protection des droits sur Internet / インターネット著作権の保護と作品普及のための最高機関)が設置され、違法ダウンロードを行った者を合法的に取り締まることができるようになる。
当機関は著作権保持者とインターネットプロバイダから情報を取得し(音楽業界や映画業界は違法ダウンロードを行っているもののIPアドレスを提供し、ISPはそのIPアドレス保持者の個人情報を提供する)、違法行為者に対し、まずはメールにて第1の警告を発信。行為が続くようであれば第2の警告を書留郵便にて郵送する。それでも違法ダウンロードが確認された場合は、インターネットへのアクセスを切断することができる(※)。しかも、アクセスが切断された者はISPへ契約料金を支払い続けなければならないし、他のISPと新たに契約を結ぶことで逃れることもできない。
※処罰3段階の3番目となるインターネットアクセス切断部分に関しては、公布に先立つ6月10日、憲法評議会により違憲とされ削除されている。
Hadopi法成立は、年々増えつつある不正ダウンロードに対する音楽・映像業者の反撃とも言える。フランスにおける海賊版などの不正なファイルダウンロードの数は、映画で1日約45万、音楽ではその4倍にも上ると言われている。また、フランスの音楽業界はここ数年右下がりでCD・DVDの売上が、最盛期の2002年の13億ユーロから2008年は5億3,000万ユーロまで縮小している。2008年の音楽配信は前年比49%増の7,600万ユーロだが、不正ダウンロードも増えているのが現状だ。
不正ダウンロード規制法の登場は今回が初めてではない。まずは2006年6月30日に採択されたDADVSI法(情報社会における著作権及び著作隣接権に関する法律 )がある。これは著作権が保護されたファイルの交換を可能にするソフトの制作・配信行為に対し最高3年の刑または30万ユーロの罰金を科すというものであった(憲法評議会により違憲とされ大幅修正されている)。その後、アルバネル文化大臣の依頼を受けた当時のFnacオーナー、Denis Olivennes 氏が、刑罰ではなく警告メッセージを発信する機関の設置を提案。文化・ISPなど46の企業が同意書を締結し、その中にはネットへのアクススを禁じる項目も盛り込まれている。この内容は今回のHadopi法案の元となっている。
当法案への反応はさまざまだ。SCPP(仏の音楽製作者団体)が昨年5月に実施したアンケートによると、フランス人の80%がインターネットでダウンロードされた作品に対し製作者は報酬を得るべきだと考えおり、90%がCD・DVDの販売の低下は不正ダウンロードによるものであると答えている。一方で、18歳以上のインターンネットユーザーを対象としたアンケートでは、60%が当法案に反対、69%が効果がないと考えていることを示していた。
Hadopi法の実施に関しては更に多くの問題が挙げられる。
ひとつは、欧州議会が行っている電気通信改革だろう。この中では、基本的なインターネットサービスアクセスへの自由が尊重されており、個人データ保護の重要性が述べられている。また、まだ可決には至っていないものの、インターネットへのアクセスは前もって法的機関による決定がない限り規制されてはならないと考えられている。Hadopi法で認められているISPによる個人情報の提示、インターネットアクセスの切断はこれに逆行するものであり、事実、EUからは難色を示されている。
技術的にも道のりは遠いだろう。現在ISPにより提供されているサービスにはインターネット、電話回線、テレビ回線が含まれているものが多く、インターネットだけを切断できるようインフラを整えるには多額の投資と時間が必要と考えられてる。
他人のIPアドレスを利用し不正にダウンロードを行う者がいることも否めず、また、不特定多数のアクセスが可能となるWi-Fiを利用した場合の問題もあるだろう。
今後政府は再びに新たな法案(Hadopi2と呼ばれている)を提案し、9月に国民議会により決議される予定だ。今回の法案は、不正ダウンロード規制に向けた世界でも画期的な試みであり、今後の動きは高い注目を浴びている。
(パリセンター)



