機械・機器
市場・トレンド情報
ベトナムの機械市場の規模の推移
2009年8月
分野:機械・部品
近年発展する機械産業
ベトナムの機械分野の発展は、▽1975年以前、▽1975~1986年、▽1986~2002年、▽2002年以降の4段階に大きく分けられる。1986年のドイモイ政策でベトナムは市場経済を導入したものの、機械業界の発展機会は少なかった。投資も規模は小さく、商工業省重工業部Ngo Van Tru副部長によると、1990~1995年の5年間に機械分野に投じられた新規投資は1,700万ドル未満でしかない(外国直接投資を除く)。
その後2002年、「2020年を見据えた2010年までの機械分野発展戦略」(決定186/2002/QD-TTg号)が公告され、工作機械、建機、舶用機器、電気・電子技術設備等が重点機械製品と位置付けられた。その後のベトナムにおける内外企業による投資の活発化や、2007年の世界貿易機関(WTO)加盟などもあり、国内機械産業は近年、大きく発展しつつある。
企業数も年々増えており、統計総局によると2000年12月31日時点で100%外資・外国合弁の電気機器メーカーは48社だったが、▽2002年:69社、▽2004年:88社、▽2006年:106社と増えている。
成長続ける国内機械生産
商工業省商工業情報センターおよび「機械製造」誌によると、1995年の機械分野の工業生産額は13兆8,399億ドン(1994年の価格、以下同様)だった。2003年には64兆8,324億ドンに達し、これは全国の工業生産総額の20%に相当する。2005年には1995年比で6.5倍となり、全国の工業生産総額の22%を占め、国内需要の37%に応えられるまでになった。その後生産額は2006年に91兆7,370億ドン、2007年には2003年比2倍となる約113兆ドンに達し、2001~2007年の機械分野の工業生産額の成長率は平均22%となっている。
統計総局の「統計年鑑 2007」によると、特に電気設備の工業生産額の伸びが著しく、2000年の3兆6,222億ドンから、▽2003年:7兆4,619億ドン、▽2004年:9兆503億ドン、▽2005年:11兆9,916億ドン、▽2006年:15兆8,409億ドン、▽2007年:20兆5,529億ドン(概算)と伸びている。
「工業」誌ウェブサイトによると1990年代初頭は国内需要の8~10%に応えられるに過ぎなかった国内機械産業だが、近年では40%にまで対応できるようになっている。先の発展戦略の目標は「2010年までに全国の機械製品需要の45~50%に応える」であり、達成も目前だ。
図1:機械生産額の推移

出所:商工業省商工業情報センター/「機械製造」誌
輸出も順調に増加
発展戦略策定時には毎年10億ドルの輸出は難しいと考える向きも強かったが、WTO加盟を機に国内企業は輸出機会に恵まれるようになり、ベトナム機械企業協会によると2006年の輸出額11億7,500万ドルから、2007年は22億ドル、2008年は30億ドル(見込み)にまで増加、ここ3年の輸出額は年平均20億ドルに達している。
統計総局によると、2009年上半期の機械設備・部品の輸出額(概算)は8億3,146万ドル。国・地域別では、▽日本:2億5,978万ドル、▽アメリカ:1億625万ドル、▽香港:4,925万ドル、▽中国:4,860万ドル、▽シンガポール:4,515万ドル、▽台湾:3,081万ドル、▽フィリピン:2,914万ドルなどとなっており、輸出先は多くがアジアだ。
ベトナム全体の輸出額と比べ規模は小さいが、機械各社の輸出契約は増えており、造船では船舶工業グループ(Vinashin)が目立つ。同社の2005~2007年の船舶輸出額は4,800万ドルだったが、2008年は約1億9,400万ドルに上昇、2010年は10億ドル達成も視野にある。機械据付総公社(Lilama)は2008年8月、インドBarh STPP火力発電所へ3万1,000トンの設備を輸出している。このように高い輸出額を達成している企業は少ないとはいえ、多数の企業が機械輸出に携わるようになっており、機械産業の明るい兆しがうかがえる。
多くは輸入頼み、年間100億ドル超を輸入
Viet機器社ウェブサイトによると毎年ベトナムの機械分野は500以上の製品を生産しているが、そのほとんどは付加価値の低いもので、多くは輸入に頼っている。
統計総局によると機械設備・部品の輸入額は、▽2004年:51億1,600万ドル、▽2005年:52億5,400万ドル、▽2006年:65億5,500万ドル、▽2007年:103億7,600万ドル、▽2008年:137億1,200万ドルと増加傾向にある。特にWTO加盟年である2007年には激増し、年間100億ドルを超えるようになった。機械設備の需要は、縫製、プラスチック、建設、通信、食品・飲料生産分野で特に大きい。
2009年上半期の輸入額(概算)は52億8,250万ドル、国・地域別では▽中国:17億4,112万ドル、▽日本:10億4,055万ドル、▽韓国:3億7,105万ドル、▽アメリカ:3億1,606万ドル、▽ドイツ:2億7,155万ドル、▽台湾:2億5,447万ドル、▽スイス:1億8,812万ドルなど。中国と日本が他国を大きく引き離しており、特に中国は安価なことからベトナム企業の規模にあった機械設備の供給源になっている。
図2:輸出入額の推移

出所:統計総局/機械企業協会
図3:2009年上半期の主要輸入相手国の割合

機械業界の各分野の動き
大きく発展しつつある機械産業だが、業界全体が未熟であることに変わりはなく、商工業省や機械企業協会からも、工作機械や計測機器といった、機械の種別生産統計などの詳細データは入手できず、個々の動きを掴むのは難しい。
だがベトナム全体の生産や消費の動向から、現在の機械分野の状況や今後の動きを大まかに予想することはできる。例えば計測機器類を例に挙げてみると、ホーチミン市品質・測量・基準支局の調査では、市内のスーパーで販売されているパック詰商品の45%に重量違反があり、市内17の市場で行った調査では、使用されている計量器の半数近くが基準を満たしていないことが判明しており、計測機器における不正やこれに対する生産販売業者の意識の低さがわかる。
一方で昨今の牛乳のメラミン含有問題(※)などに象徴されるように、消費者側では食の安全や品質に対する意識が高まっており、消費者保護団体へのクレームや購入敬遠などの動きも増えている。
こういった状況を受け、乳業Hanoimilk社はベトナムで初めてメラミン検査装置を導入し、醤油生産では発ガン性物質3-MCPDを検知する機械設備を自主開発する企業もあるなど、品質面から消費者の信頼を得ようとする企業も多く見えており、品質確保に不可欠な精度の高い機械設備類の需要は今後さらに高まると見られる。
※ 中国製乳製品からメラミンが発見された事件。
参考:「スーパーから消えつつある中国製品-中国製品の波及によるアジア各国市場への影響(6)- (ベトナム)」(通商弘報2009年2月26日)
(ホーチミン事務所)






