貿易・投資相談Q&A
日本からの輸出に関する相手国の制度など
粉ミルクなど乳製品の中国向け輸出の際の現地規則および留意点
- Q. 粉ミルクなど乳製品を中国に輸出したいのですが、現地における輸入規制および留意点について教えて下さい。
- A.
1.中国の輸入規制
中国における粉ミルクなど乳製品の輸入販売は、主に「食品安全法」、「食品安全法実施条例」、「中華人民共和国貨物輸出入管理条例」、「中華人民共和国輸出入食品ラベル管理弁法」(以下「食品ラベル管理弁法」)、「中華人民共和国食品ラベル国家基準」などで規制されます。「食品安全法」では、輸入食品・食品添加物・食品関連製品は、食品安全国家基準に合致しなければならないと規定されています。(第62条)また、中国の輸入企業は、輸入する食品の安全性を評価する資料を衛生部門に提出し、中国へ食品を輸出する企業は国家輸出入検査検疫部門に届出をしなければならず、また中国に輸出する食品を生産する企業は国家輸出入検査検疫部門へ登録をしなければなりません。(第65条)
2.輸入手続の留意点(1)輸入通関手続き
輸入企業は輸入通関に際し、契約書、インボイス、パッキング・リスト、貨物引換証などの書類を税関・通関地の輸出入検査検疫機関に提出します。
輸出入検査検疫機関の検査の合格を経た後、税関は輸出入検査検疫機関が署名発行した通関証明書に基づいて通関を許可することになります。
検疫では書類審査または必要であれば現物審査が行われ、合格すれば「輸入食品衛生監督検査マーク」と衛生証明書(正本、副本)が発行されます。
なお、乳製品や粉ミルクのHS4桁コードは0401,0402,0403,0404,0405,0406,1901,2106となります。(2) 乳製品に対する衛生証明書の添付
中国国家質量監督検験検疫総局からの要請で、2010年1月1日より、中国に輸出する乳および乳製品については、輸出国の衛生当局が発行した衛生証明書の添付が必要になりました。中国へ乳製品を輸出するわが国の製造業者は、輸出毎に当該製品の製造施設を管轄する都道府県の衛生主幹部長あてに、原則として衛生証明書発行希望日の5日前までに申請し、動物検疫所で輸出検疫証明書の発給を受けます。対中国輸出入および乳製品の取扱概要や書式については下記のURL(食安発1210第1号)を参照してください。
3.販売時の留意事項(1)食品表示
輸入包装食品については「食品安全法」の規定に従い、中文ラベルと中文説明書が必要となります。中文ラベルの記載内容は、商品名・原材料(主な添加物を含む)・製造年月日・賞味期限・原産国・保存方法・輸入企業名・輸入企業の所在地並びに電話番号・正味内容量などを明記する事になります。
なお、乳幼児用に供給する主食・補助食品は、主な栄養成分とその含有量も明示しなければなりません。
中文説明書については、現在はあまり厳しく要求されておりません。上述の中文ラベルの内容の表示のみで説明書がない商品が大半を占めているようです。「食品安全法」には規定されているので、今後の運用規定を見守る必要があります。
基本的には中国国内で販売されている国産加工食品と同じ規制を受けますので、調査のために輸出しようとする商品と同様の国産品を入手して表示内容を調査することも肝要です。(2)輸入者の義務
輸入企業は、食品の名称、規格、数量、製造日、製造ロット番号または輸入ロット番号、品質保証期間、輸出業者と輸入業者の名称、連絡方法、納品日等の内容を記録・保存しなければなりません。
4.乳製品の品質安全国家基準食品安全標準には、国家標準(GB)、地方標準(DB)、業界標準(NY)や企業標準(QB)などのレベルがあります。乳および乳製品については、中国国家標準化管理委員会が規定する中国食品工業標準があり、その中の乳製品標準(GB)で規定されています。中国に輸出される粉ミルクや乳製品は、中国政府が定める食品関係規則に適合した製品でなければなりません。中国政府が定める乳製品標準(GB)の主なものは、
(1)ヨーグルト:GB 2746-1999
(2)全脂粉乳、脱脂粉乳、加糖全脂粉乳および調味粉乳:GB 5410-1999
(3)クリーム:GB 5414-85
(4)バター:GB 5415-1999
(5)全脂無糖練乳および全脂加糖練乳:GB 5417-1999
(6)乳児用調整粉乳:GB 10765-1997、GB 10766-1997
(7)乳幼児用調製粉乳および乳幼児用穀物粉乳:GB 10767-1997などに分類され、GB番号により多少の違いはありますが、それぞれ適用範囲、製品分類、定義、理化学的指標、衛生指標などが規定されています。
またソフトチーズは業界基準NY478-2002が、乳酸菌飲料には企業基準QB 1554-1992などがありそれぞれ適用範囲、製品分類、理化学的指標、および衛生指標が規定されています。
5. 新たな規定などの施行についての留意点従来の「食品衛生法」(1995年施行)は廃止され、2009年6月1日から新たに「食品安全法」が施行されました。「食品安全法」に伴い、関連新規則が発表されています。また、2009年8月20日は「食品安全法実施条例」が公布されました。しかし、実務的な手続き、運用あるいは費用などに関してはまだ不明点が多いので、今後の運用規定についての発表には十分注意を払う必要があるといえます。
2008年9月にメラミン混入事件を正式に発表後、中国政府は、総力を上げて、食品の安全管理に力を注いでおります。昨年度施行された「食品安全法」を筆頭に、今後さらに条例や規則が整備されると思われますので、輸出にあたっては、トラブルを未然に防ぐために輸入者と協力のうえ、事前に現地の状況をよく確認することが大切なポイントとなります。根拠法:
食品安全法: http://www.moh.gov.cn/publicfiles/business/htmlfiles/mohzcfgs/s3576/200909/42685.htm
食品安全法の和訳(仮訳を含む): http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/agriculture/pdf/sanitation_004.pdf
中国衛生部[2007]300号「食品栄養表示管理規範」2007年12月18日公布、2008年5月1日施行 : http://www.gov.cn/zwhd/2008-01/11/content_856288.htm
衛生部『食品栄養表示管理規範』に関するQ&A(要約))JCIPO 日中投資促進機構: http://www.jcipo.org/news/2008/shokuhin.pdf
関係法規:
1.「乳製品品質安全監督管理条例」国務院令第536号 (2008年10月9日施行)
2.「乳幼児用の調合食品・穀物食物への香料の使用規定」衛生部2008年第21号公告 (2008年9月9日施行)
3.「食品安全法実施条例」2009年8月20日公布
関係機関:
中華人民共和国駐日本大使館: http://www.china-embassy.or.jp/jpn/
中国国家品質監督検査検疫総局: http://www.aqsiq.gov.cn/
中華人民共和国衛生部: http://www.moh.gov.cn/publicfiles//business/htmlfiles/wsb/index.htm
中国国家食品薬品監督管理局: http://www.sda.gov.cn/WS01/CL0001/
中国税関総署(中国海関総署): http://www.customs.gov.cn
中国食品工業協会: http://www.cfiin.com
参考URL:
ジェトロ・世界各国の関税率: http://www.jetro.go.jp/theme/trade/tariff/
ジェトロ・ビジネス情報・農水産物に関する情報(中国): http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/agriculture/
厚生労働省URL 対中国輸出乳及び乳製品について: http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/jigyousya/nyuseihin/index.html
厚生労働省医薬食品局食品安全部・食安発1210第1号: http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/jigyousya/nyuseihin/dl/01.pdf
参考文献:
中国検査検疫ガイドブック(日本国際貿易促進協会編)
調査時点: 2010/01
記事番号:A-081101

