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見本市・展示会データベース(J-messe)

世界の見本市ビジネス動向

北米の見本市ビジネス動向

ジェトロニューヨーク、シカゴ

回復基調の続く北米の見本市業界

業界誌、「Tradeshow Week」の調査によると、原油の高騰や金利上昇、2005年8月のハリケーン禍などが業界に及ぼす具体的影響は現時点で明確になっていないものの、北米の見本市業界は、2004年に引き続き2005年も回復基調を維持、2006年の見本市開催件数は前年同様、前年比2.3%増で過去最高の5,000件(前年比111件増)に達する見込みです。この背景としては、出展者の見本市参加決定が、通常、会期の6ヵ月から1年半前になされること、また、来場者が増加傾向にあることが、出展者の出展意欲をさらに高めることなどが主に考えられます。
さらに、企業はマーケティングや教育・啓蒙の目的でここ2~3年見本市への出展を積極的に進めていますが、その理由の一つに、見本市主催者が毎年、業界ニーズに合わせた形で見本市の運営などを見直し、実施していることも挙げられます。とくに、ここ2~3年、来場者対策が見本市成功のカギを握るとの業界認識が定着しており、主催者側では来場者の所属業種の変化に注目しながら、見本市参加の付加価値を如何にして高めるか模索しています。

伸びるトレード・ショー

2006年のトレード・ショーは、来場者、出展者ともに前年比でそれぞれ24.6%、27.3%の増加が見込まれ、出展規模も前年の大幅減から一転、91.3%の大幅増が予想されています。コンシューマー・ショーの傾向としては、来場者は前年比13.8%減が予想され、出展者は逆に同64.1%増が見込まれています。2006年の出展規模は、全体的に増加傾向にあり、コンシューマー・ショーでも同32.7%の増加が予想されています。一方、コンビネーション・ショーの来場者数は同5.0%増が予想され、出展者数も同9.9%増が見込まれています。

表1.北米の見本市動向
  2005年 2006年 前年比(%)
開催件数 4,889 5,000 +2.3
出展者(100万社) 1.2 1.6 +33.3
来場者(100万人) 50.6 65 +28.5
出展規模(100万平方フィート) 352 559 +58.8

出所:Tradeshow Week Data Book

開催件数に見る業種の明暗

2006年に北米で開催予定の見本市(出展規模5,000平方フィート以上)を業種別にみると、開催件数が最も多いのは、前年に引き続き医療・ヘルスケア関連で前年と同じ542件となっています。第2位、3位には前年同様、家庭雑貨・インテリアデザイン(535件)、スポーツ用品・レクリエーション(372件)がそれぞれ入っています。上位10業種で最も高い伸びを示したのが第5位の建築・建設(324件)で前年比6.2%増、また、第4位のアパレル(351件)も好調で同3.5%増でした。
一方、前年比で開催件数の減少が見込まれる業種もあり、第7位のコンピュータ、コンピュータ・アプリケーションは、11.6%(35件)減と大幅に落ち込みが予想されるのをはじめ、同7位の教育、9位のギフトなどに加え、前年10位の宝石はランキングから外れました。

表2.北米見本市開催件数上位10業種
2006年順位 業種 2005年 2006年 前年比(%)
1 医療・ヘルスケア 542 542 0
2 家庭雑貨・インテリアデザイン 518 535 +3.3
3 スポーツ用品・レクリエーション 367 372 +1.4
4 アパレル 339 351 +3.5
5 建築・建設 305 324 +6.2
6 造園・園芸 308 314 +1.9
7 コンピュータ/コンピュータアプリケーション 302 267 -11.6
7 教育 271 267 -1.5
9 ギフト 262 253 -3.4
10 業界団体 - 202 -
上位10業種合計 3,413 3,427 +0.4
総開催件数に占める上位10業種のシェア 69.8% 68.5%  

出所:2006 Tradeshow Week Data Book
※2005年第10位の宝石産業見本市の開催件数を含む。

ニューオーリンズがランク外に

開催都市については、2006年の上位10都市にほとんど変化は見られませんが、前年第7位のニューオーリンズが上位10都市から外れました。2005年8月末に米国南部を襲った大型ハリケーン・カトリーナの影響でニューオーリンズ市は壊滅的被害を受け、市内のコンベンション・センターErnest N. Morial Convention Centerは2006年2月まで閉鎖となりました。同センターでは、ハリケーン後、The NACS ShowやSGIA 2005、NBAA Annual Convention & Meetingなど、秋に開催予定だった見本市のキャンセルが相次ぎましたが、ハリケーン前の調査では、同市は79件の開催で2005年上位10都市にランクされるはずでした。

表3.北米見本市開催件数上位10都市
2006年順位 都市名 2005年 2006年 前年比(%)
1 ラスベガス 177 211 +19.2
2 ニューヨーク 120 133 +10.8
3 トロント 133 133 0
4 シカゴ 116 132 +13.8
5 アトランタ 98 99 +1.0
6 オーランド 99 90 -9.1
7 ボストン - 80 -
8 ダラス 80 79 -1.2
9 サンディエゴ 70 76 +8.6
10 ワシントン 81 72 -11.1
上位10業種合計 987 1,105 +13.4
総開催件数に占める上位10業種のシェア 20.2% 22.1%  

出所:2006 Tradeshow Week Data Book
※2005年第7位のニューオルリンズ開催件数を含む。

出展者の見本市選択基準

業界誌、「トレードショー・ウィーク」が出展者を対象に2004年末に実施したアンケート調査によると、回答者の60%が見本市選択基準のカギとなるのは当該見本市の「伝統」であると回答しています。近年、見本市出展に際しては、出展者間で「出展の投資効果」が大きな話題となっている状況からすると、「伝統」が主要判断基準の一つに挙げられたのは興味深い結果です。次に挙がった基準は、当該見本市が提供する、「商談機会の多さ」で、調査では出展者の50%弱が「出展の投資効果」をフォローすると回答する一方、60%が伝統に従い、毎年同じ見本市に出展していると回答しています。しかし、「伝統」で出展する企業といえども、出展効果や予算に無関心である訳ではありません。
さらに、出展者は、ここ2~3年、「ブランド認識の向上」が「商談機会の多さ」と肩を並べるまでの出展理由になっています。この結果から、見本市でビジネスの手掛かりを得て、会期中に得た情報を営業部隊に提供する出展者とブランドを前面に押し出し、PR効果を狙う2種類の出展者像が浮かびます。見本市への出展は、フェイス・ツー・フェイスによるビジネスの手掛かりの獲得とブランド構築の両方に効果的であるという、見本市業界がかねてより主張してきたポイントでもあります。
その他の見本市選択基準としては、「来場者の所属業種の評価」、「出展の想定投資効果」や「来場者数とその予測」となっています。見本市主催者やサービス提供企業にとっては、出展者の出展理由や目標、また出展者が営業およびブランド戦略の観点から当該見本市をどのように評価しているかを把握することは極めて重要になっています。

見本市「場外」での企業によるショールーム

見本市出品者協会(TESA)によると、トレード・ショーの役割とともに、大企業の出展手法も変化しています。『過去2年間にトレード・ショーの会期中、企業による私的なイベントが増加してきた。これは、出展者が付帯施設のコンベンション・ホールやホテルで見本市とは別に「ショールーム」を設けるもので、招待客は、寛いだ雰囲気の中で高いレベルのサービスを受けながら商品を吟味し、営業担当と商談をするという形式。』だそうです。しかし、同協会では、以下のとおり、このやり方が見本市のビジネスを奪い続けるとは、考えていません。それは、「このようなマーケティングは周期的に繰り返される。暫くは続くだろうが、出展者はより大きなメリットを求めて、トレード・ショーに戻ってくるだろう。」とみています。 つまり、企業の私的なイベントは今後も継続するだろうが、スポンサー付きの接待(レセプション、接待用スイートルーム、昼食会)が多くのトレード・ショーで縮小していく可能性を示唆したものです。  理由としては、レセプションのスポンサーでさえ期待した広報効果が得られないことが一般的であるため、結局、出展者はトレード・ショーに戻ってくると考えられるということです。

ハイテクを使った新たなサービス

技術革新によって、出展者は見本市主催者に新たなサービスを期待しはじめています。例えば、(1)見本市のウェブサイトから出展者サイトへの直接リンク、(2)名刺交換に代わる参加者バッジのスキャニング機能、(3)各ブースでのインターネットへのアクセスなどのサービスです。現時点では稀ですが、今後は見本市会場におけるワイヤレス技術の活用が増えると考えられています。例えば、来場者ネーム・タグに、関心製品や技術の情報を組み込むことで、出展者の顧客開発を容易にすることなどがそれに当たります。

総合的な経済波及効果調査

見本市業界では、ワシントンでのロビー活動に活用すべく、当該業界が経済全体に与える波及効果を数字で明らかにできれば強力な武器になるとしていましたが、2005年9月にコンベンション・インダストリー・カウンシル(CIC)がこれを明らかにしました。10年ぶりの見本市産業に関する総合的な経済波及効果調査で、2004年の会議、コンベンション、見本市およびインセンティブ・トラベル(従業員を対象した、報奨旅行)に関わる支出総額は、1,223億ドル(うち、直接税214億ドル)と推計し、就労者総数も171万人で86人に1人が何らかの形で関連業種に従事しているとみられます。
さらに、コンベンションを含む見本市産業は、GNPでは医薬製造業よりも大きく29番目に大きい産業となっています。また、ホテル業界の収益(1,093億ドル)の36%以上が、航空産業では約17%の収益がコンベンション、見本市等の来場者によるものとなっています。CICは、この調査結果が業界関係者や地元コミュニティのイベント企画や予算作成に役立ち、コンベンション業界が経済成長を支える活発な業界であることを啓蒙し、政府の助成や一般投資家からの投資拡大につながることも期待しています。

(展示事業部 主査 戸頃 照恵)

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