マリーン新内閣発足、女性が半数以上を占める

(フィンランド)

ロンドン発

2019年12月11日

フィンランドで辞任したアンッティ・リンネ首相(2019年12月5日記事参照)の後継として、与党・社民党は12月8日夕方に行った投票の結果、リンネ前首相に近いとされるサンナ・マリーン前運輸・通信相を選出した。

マリーン新首相率いる新内閣は12月10日午後、議会の承認と大統領の任命を受け、発足した(表参照)。

表 サンナ・マリーン内閣の閣僚

同首相を含め、社民党は新たに3人の閣僚を選出し、マリーン前運輸・通信相の後任にティモ・ハラッカ雇用相を充てたほか、トゥーラ・ハータイネン国会副議長を雇用相に登用した。リンネ前首相は、社民党党首にとどまりつつ、国会副議長に就任した。郵便スト問題で11月29日に辞任を表明し、12月13日までの予定で病気休暇中だったシルパ・パーテロ氏は地方行政相として復職した(注)。

一方、中央党は、財務相と経済相のポストを入れ替えた。その結果、カトゥリ・クルムニ中央党党首(前経済相)が新財務相に、ミカ・リンティラ前財務相(前々政権では経済相)が新経済相になった。社民党、中央党以外の3党の閣僚には交代はなかった。

マリーン新首相は34歳で、同国史上最年少の首相となる。また、女性首相としては、いずれも中央党のアンネリ・ヤーッテーンマキ(2003年)、マリ・キビニエミ(2010~2011年)に次いで3人目。同首相を含め閣内には、女性閣僚だけでも35歳以下が4人含まれており、全体に一世代若返った印象だ。19閣僚中12人が女性で、連立与党各党の党首も社民党を除き、皆女性が占める。

リンネ政権下では、辞任のきっかけとなった郵便ストだけでなく、ペッカ・ハービスト外相(緑の党)が、児童保護の観点から、正規の法的手続きを踏まず、シリアの難民キャンプ地帯のイスラム国(ISIS)兵士のフィンランド国籍遺児の帰国措置を取ろうとしたことで外務官僚と対立し、メディアで大きく騒がれていた。

今回の政権交代に際し、社民党と中央党は国民に対し、しきりに信頼回復を訴えており、政権の若返りでリフレッシュしたい意向もあるもようだ。

(注)パーテロ氏は前政権では、国営企業担当でもあったが、新政権では、国営企業担当は欧州担当相の兼任とされた。

(前薗香織、岩井晴美)

(フィンランド)

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