成長する米アイオワ州の魅力を紹介、ジェトロが東京で投資セミナー

(米国、日本)

米州課

2019年11月19日

ジェトロは11月11日、米国アイオワ州経済開発機構との共催で、アイオワ州投資セミナーを開催した。キム・レイノルズ州知事や同機構理事長のデビー・ダーラム氏などが登壇し、同州の投資環境や日本との関係について講演した。

今回が初来日だというレイノルズ知事は「日本はアイオワ州にとって(カナダ、メキシコに次ぐ)3番目に大きな輸出相手国であり、多くの日系企業も州に立地している。人口は300万人ほどでそれほど多くはないが、アイオワの人々は勤勉で、生活の質は非常によい。これまで構築されてきた両者のよい関係が今後ますます発展し広がることを願っている」と期待を寄せた。

写真 主催者あいさつで登壇したキム・レイノルズ・アイオワ州知事(ジェトロ撮影)

主催者あいさつで登壇したキム・レイノルズ・アイオワ州知事(ジェトロ撮影)

保険・金融サービス、先端製造業、バイオサイエンスに注力

レイノルズ知事はまた、「アイオワ州は自然資源が豊富で、農業や食品加工業が盛んな州として知られているが、バイオサイエンスや先端製造業、保険・金融サービスの分野でも世界のリーダーだ」と述べ、同州の経済が多様化していることを強調した。保険・金融サービス分野では、175社を超える保険会社の本社が同州に立地する。全米で最も低い保険料税率や保険販売に保険料税がかからないなどのビジネス環境が魅力だ。先端製造業の分野では、コリンズ・エアロスペース、フェルメール、3Mなどをはじめ、多数のグローバル企業を輩出している。製造業は州のGDPの18%(312億ドル)を占め、農業の3倍に上るという。また、豊富な農業資源を生かしたバイオサイエンス産業も盛んだ。この産業の就業者は約2万5,000人、関連企業は約1,270社に上る。エタノールやバイオディーゼルの生産量も多く、再生可能エネルギーによる発電(水力発電を除く)は全米第3位だという。

事業コストの低さや労働力の質の高さなど多くの魅力

ダーラム理事長は、アイオワ州でビジネスを行うメリットとして、リース料や保険料をはじめとした事業コストの低さ、北米の中心に位置する地理的優位性、生活の質に対する高評価、高い教育水準や州民の勤勉性を背景とした労働力の質の高さなどを挙げ、同州への日系企業の進出を呼び掛けた。

アイオワ州でビジネスを展開する企業として登壇した味の素アニマル・ニュートリション・グループの柏倉正巳社長は、事業コストの低さなどに加えて、R&Dに対する税還付制度などの優遇措置や人材の質の高さを魅力として挙げた。また、ブリヂストン農機ソリューション事業本部の森脇厚二氏は、同社の工場が立地する同州のデモインは「農業産業の集積地」と述べ、関係取引先やビジネス情報へのアクセスの良さを語った。

セミナー終了後、レイノルズ知事は参加者との名刺交換に丁寧に応じるなど、日本とのさらなるビジネス発展に向けた積極的な姿勢が見られた。

(綿引文彦)

(米国、日本)

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