デジタル経済に向けたASEANの方向性、ビジネス投資サミットでASEAN首脳らが指摘

(ASEAN)

ジャカルタ発

2019年11月18日

ASEAN首脳会議の併催イベントとして、ASEANビジネス投資サミット(ABIS)が11月2、3日、ASEANビジネス諮問委員会(ASEAN-BAC)主催によりバンコクで開催された。ABIS2019のテーマは「Empowering ASEAN 4.0」で、ASEAN首脳やビジネス界のリーダーらがイノベーションによるデジタル経済に向けた人材育成やインフラ整備の重要性などについて議論した。

タイのプラユット・チャンオーチャー首相は基調講演で、「世界は著しく変化しつつあり、ASEANは世界の成長の中心になりたい」と述べ、重視する点として零細中小企業(MSME)を含めた包括的な経済成長(No One should be Left Behind)だとした。さらに、それら企業が国際的なビジネスネットワークを構築するためには、新たな技術やビッグデータの活用が不可欠とし、タイ政府として新たなデジタルビジネスへの投資を拡大しつつ、企業の国際展開を支援する体制強化に取り組む決意を示した。

マレーシアのマハティール・モハマド首相は基調講演で、デジタル経済により、従来マニュアルでの作業が多かった産業にはリスクがあるものの、デジタル化によるチャンスも広がっており、政府は正確に情報を届けるべきだと述べた。また、中国を念頭に置きつつ、Eコマースを活用した販路拡大をASEAN域内だけでなく、世界で行うべきだとも語った。

ミャンマーのアウンサンスーチー国家最高顧問も基調講演で、「MSMEは重要な雇用創成の場だけでなく、国家のイノベーション・富の源泉」とした上で、「ミャンマーも労働力をアップスキルして再訓練し、『ミャンマー4.0』に備える必要がある」とした。ミャンマーでは10月1日、ミャンマー語の文字コードが「Zawgyi」(ゾージー)フォントから世界規格のユニコードへ移行した。これにより、電子政府の構築や海外との通信の円滑化が見込まれている。ユニコードへの移行とともに、第5世代移動通信システム(5G)のインフラが整備されれば、モノのインターネット(IoT)を通じた技術革新に大きな機会が生まれることが期待される。

写真 基調講演を行うアウンサンスーチー・ミャンマー国家最高顧問(タイ工業連盟提供)

基調講演を行うアウンサンスーチー・ミャンマー国家最高顧問(タイ工業連盟提供)

民間企業からは、トニー・フェルナンデス(Tony Fernandes)エアアジア社長や、中国通信機器メーカー華為技術(ファーウェイ)のエドワード・チョウ(Edward Zhou)副社長らが登壇した。

(上野渉、岡本泰、ナオルンロート・ジラッパパー)

(ASEAN)

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