米国の新車販売台数、第3四半期は3期ぶりに前年同期比増

(米国)

ニューヨーク発

2019年10月11日

モーターインテリジェンスの発表(10月2日)によると、米国の第3四半期(7~9月)の新車販売台数は前年同期比0.5%増の431万8,211台だった。2018年第4四半期(10~12月)以来、3期ぶりの前年同期比増となった。

小型トラックのシェアは過去最高の72%まで上昇

車種別にみると、乗用車が前年同期比9.9%減の120万5,783台だった一方で、小型トラックが5.3%増の311万2,428台となった(表1参照)。小型トラックの人気は続いており、新車販売全体に占めるシェアは過去最高の72.1%まで上昇した。中でもスポーツ用多目的車のクロスオーバーSUV(CUV)とピックアップトラックの人気は高く、シェアはそれぞれ前年同期比で2.2%ポイント増、1.5%ポイント増となった。

表1 2019年第3四半期の新車販売台数の内訳(季節調整前)

主要メーカー別では、好不調が混在した結果となった(表2参照)。最も販売構成比の高いゼネラルモーターズ(GM)は、前年同期比6.0%増と5期ぶりに増加した。「シルバラード」や「シエラ」といった大型のピックアップトラックに加えて、中型のCUVの「ブレイザー」などが好調だった。GMでは9月15日から全米自動車労働組合(UAW)によるストライキが行われており(2019年9月17日記事参照)、生産への影響が報じられているが、ディーラー保有の在庫台数が80日分(82万台、9月1日時点)あったことなどから、当期の販売への影響は限定的だったとみられる。

そのほかでは、フィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)は、0.1%増加した。ジープブランドの人気モデルが減少したが、ラムブランドのピックアップトラックなどが押し上げた。ホンダは小型トラック、乗用車ともに伸びて2.4%増となった。CUV「パスポート」のほか、「シビック」などの乗用車が押し上げた。スバルは中型CUV「アセント」が好調で2.9%増と伸びた。現代は前期に発売した中型CUV「パリセード」が好調だったことから6.8%増、起亜も中型SUV「テルライド」などが伸びて0.2%増となった。

表2 2019年第3四半期の新車販売台数の内訳(季節調整前)

一方で、販売構成比2位のトヨタは、前年同期比1.2%減と6期連続の減少となった。乗用車に加えて、中型SUV「4Runner」やミニバン「シエナ」など小型トラックも落ち込んだことが影響した。フォードも5.1%減少した。中型のSUV「エクスプローラー」やピックアップトラック「Fシリーズ」などの人気モデルが落ち込んだ。日産は4.8%減となった。「セントラ」「バーサ」といった小型乗用車に加えて、大型のピックアップトラック「タイタン」などが減少した。フォルクスワーゲン(VW)は中型乗用車「パサート」やアウディブランドの小型乗用車「A3」などが落ち込んで1.2%減となった。

なお、この時期にメーカーが消費者に提供する割引額は平均で4.5%増の3,950ドル(ALG調べ)と、2018年第3四半期から1年ぶりに増加した。特に、販売台数が前年同期比でプラスだったGMやFCAなどが伸びた。1台当たりの平均販売価格は、前年同期から879ドル高い3万4,466ドルとなった。SUVやピックアップトラックといった価格帯の高い人気車種の販売が増えたことなどを反映した。

(大原典子)

(米国)

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