米フォーエバー21、破産申請後もフィリピンでの事業継続を表明

(フィリピン)

マニラ発

2019年10月11日

米国のファストファッション大手フォーエバー21が9月29日に米国連邦破産法11条に基づく会社更生手続きを申請したことに関して、フィリピンで同社と合弁を組むSMリテールのポンシアノ・マナロ社長兼最高経営責任者(CEO)は地元メディアに対して、「米国での破産申請はフィリピン事業には全く影響はなく、フィリピン国内の21店舗全ての営業を従来どおり継続する」との意向を表明した。

フォーエバー21は2010年にフィリピンに進出。SM財閥のSMリテールがマジョリティーを有した合弁会社を設立し、SMメガモールに1店舗目を構え、その後、SMモールオブアジア、SMノースエドサ、SMマカティといったSM系列のショッピングモールを中心に店舗を増やしてきた。

マナロ社長は、フィリピンのフォーエバー21は好調なフィリピン経済を背景に今後も力強く成長するとした上で、「既に始まっているクリスマス商戦がこれから本格化するのに合わせて、商品を刷新してマーケティングへの投資も増やしていく」とコメントした。

個人消費がGDPの約7割を占め、1人当たりGDPが3,000ドルを突破し、7年連続で6%以上の経済成長が続くフィリピンは有望な消費市場として海外からも注目されているが、小売業に対する現行の外資規制は、払込資本金250万ドル以上、1店舗当たりの資本金83万ドル以上、親会社の純資産を2億ドル以上、小売業で5年以上の実績などと非常に厳しい。そのため、実質的に大企業しか参入ができない状況にあり、2000年の小売自由化法の施行以降、小売業分野でフィリピンに投資した外資系企業はフォーエバー21やユニクロを展開する日本のファーストリテイリングを含めて22社のみといわれている。7月下旬に開始した今国会で、小売業の外資規制を大幅に緩和する法案が審議されており、その行方が注目されている(2019年9月5日記事参照)。

1984年にロサンゼルスで創業したフォーエバー21は、ザラやH&Mとともに世界のファストファッション界を牽引。一時は世界800店舗まで拡大したが、アマゾンなどネット販売企業の台頭を受け、2019年に入り中国や台湾、香港から撤退した。9月25日には日本国内の全14店舗とオンラインショップの10月末の完全閉鎖を発表した。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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