CPTPP批准へ向けて進展、上院で承認法案を審議

(チリ)

サンティアゴ発

2019年08月21日

チリで8月に入り、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)の批准へ向けて進展が見られた。議会での批准承認法案は、33人の有識者を招いて行われた15セッションに及ぶ研究会を経て、8月6日に上院外交委員会で満場一致で可決された。現在は上院財務委員会で審議が行われているが、チリ政府は可決へ向けて積極的な働き掛けを行っている。

8月14日付「ディアリオ・フィナンシエロ」紙によると、8月13日にバルパライソで開かれた財務委員会の会合にフェリペ・ラライン財務相が出席し、米中間の貿易摩擦が進行する中で、CPTPP批准の必要性がより一層増していると発言した。チリは全てのCPTPP加盟国と2国間の自由貿易協定(FTA)を発効させているが、財務相はCPTPPの発効によって2国間FTAよりも低い関税率が適用されるチリ産品の約3,000品目(注)の紹介などを行い、CPTPPは必要だとアピールした。

この会合には、チリ外務省国際経済関係次官官房(SUBREI)のフェリペ・ロペアンディア2国間経済関係局長も出席し、米中間の貿易摩擦により1~6月のチリの輸出額にマイナスの影響が出ている点に触れ、CPTPPの必要性を説いた。また、ロペアンディア局長は、チリの主要貿易相手国であるCPTPP非参加の米国、中国とは個々に締結済みの既存のFTAにより、国産品の約800品目は短期間で競争優位性を確保できるだろうとも説明した。

(注)CPTPPの発効により、高い関税率削減が予定される品目や、削減に伴ってチリ全体、あるいは国内各州で得られるであろう経済効果の分析については、国際経済関係次官官房(SUBREI)がウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上に詳細なレポートを掲載している。

(佐藤竣平)

(チリ)

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