対中貿易摩擦により米国民の対中認識が急激に悪化

(米国)

米州課

2019年08月19日

米国のシンクタンク、ピュー・リサーチ・センターは8月13日、米国民の中国への認識に関する調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注)を発表した。

中国に対して「好意的でない」とする回答者の割合は60%と、前年の47%から急速に悪化し、「好意的である」とする割合は前年の38%から26%へ12ポイントも減少した。同センターは、この背景として、2018年7月から米国の対中追加関税が第1弾リストの対象品目に賦課されて以来、米中間での追加関税の応酬などにより、貿易摩擦が過熱している事情があるとみている。

共和党支持者では、7割が「好意的でない」と答え、「好意的である」は2割だった。民主党支持者では、「好意的でない」が59%、「好意的である」が30%で、共和党支持者がより「好意的でない」との認識だった。特に共和党支持者は、「好意的でない」の割合が前年の51%から70%まで急激に上昇した。民主党支持者は同47%から59%に増加した。

中国との経済関係について、「悪い」が53%と過半数を占め、「良い」は41%だった。中国の軍事増強については、8割が「悪い」としている。中国の経済成長については、「良い」が50%、「悪い」が41%で、「良い」が9ポイント上回った(表参照)。

中国の経済成長について、「良い」の割合を年齢層でみると、18~29歳(56%)、30~49歳(51%)、50歳以上(47%)と、年齢層が低いほど米国のビジネスチャンスとしても捉えているとみられる。

表  米国民の中国への認識  

また、中国を脅威と見なすかという問いに対しては、「脅威と見なす」が24%と、2014年(19%)から5ポイント上昇した。ロシアを「脅威と見なす」は24%だったが、2014年(23%)と比較すると1ポイント上昇した。共和党支持者が中国を「脅威と見なす」の割合が32%に対して、民主党支持者は19%で、共和党支持者が中国により高い懸念を示した。ロシアに対しては、「脅威と見なす」共和党支持者は13%、民主党支持者は36%と、支持政党による両国に対する認識の違いが大きかった。

各国首脳の国際問題に対する仕事ぶりへの評価では、中国の習近平国家主席に対して、「良い」が37%であり、安倍晋三首相の61%、インドのナレンドラ・モディ首相の42%を下回った。

米中貿易摩擦に関しては、特集「米国トランプ政権の動向と米中通商関係」を参照。

(注)調査時期は5月13日~6月18日。対象者は全米1,503人(18歳以上)。

(松岡智恵子)

(米国)

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