米国の石油開発会社、連邦破産法11条の適用申請による再建が増加

(米国)

ヒューストン発

2019年08月21日

テキサス州でシェール石油・ガスの開発を行う会社2社が米国連邦破産法第11章(チャプター11、日本の民事再生法に相当)に基づく会社再建の申請を行った。本社がテキサス州ヒューストンにあるハルコン・リソーシズとサンチェス・エナジーの2社で、それぞれ8月7日と12日に裁判所へ申し立てた。

ハルコン・リソーシズの2018年の年次報告によると、同年の収益は約2億2,660万ドル、平均日産量は石油換算で1万3,904バレルで、2017年の収益約3億7,800万ドル、平均日産量2万7,397バレルに比べ落ち込んでいる。同社は2017年から2018年にかけて、ノースダコタ州ウイルストンとテキサス州エル・ハルコンの資産を売却し、現在はテキサス州西部からニューメキシコ州にかけて広がる豊富な産出量を誇るデラウェア盆地(パーミアン盆地の一部)に集中して操業している。今回の再建計画では、7億5,000万ドル以上の債務および年間4,000万ドルに及ぶ利息返済分を解消するとしている。

一方、サンチェス・エナジーの資産はテキサス州イーグルフォードのシェール層に集中している。2018年の収益は10億5,691万ドル、平均日産量は石油換算で7万8,939バレルで、2017年の収益7億4,033万ドル、平均日産量7万320バレルと比べて業績は一時期上向いていた。同社は昨今の原油・ガス価格の低迷が今回の連邦破産法の適用申請の主要因としている。再建計画では、資金の流動性確保、特定のシニアローンの貸し手からの1億7,500万ドルの新規資金調達、同資金での2,500万ドルの借入金返済、リボルビング信用枠組み内で未払いの信用状交換、さらに事業への資金供給を目指すとしている。

北米の石油ガス生産者の倒産状況をモニターしているヘインズ・アンド・ブーン法律事務所によると、2017年の倒産件数が24件、2018年は28件だったのに対し、2019年は8月12日までに既に26件が確認されている。ジェトロの調べでは、タイト石油・ガスの探査・生産者のうち、上記のハルコン・リソーシズやサンチェス・エナジーのように、株価が2ドル以下で推移している会社が少なくとも10社はある。大手にはそうした兆候は見られない。

米国内では、多くの投資家が赤字採算の探査・生産者への投資に関心を失っており、そのような会社は資金調達が困難になっているとの報道も散見される。さらに、今後も原油価格は景気や生産調整、経済制裁を含む地政学的な動向などを踏まえて動くことが予想される。また、テキサス州西部のパーミアン盆地における生産者への投資は、メキシコ湾岸までのパイプラインや積み出し港の整備状況も影響を及ぼす可能性がある。

(中川直人)

(米国)

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