珠海横琴、国際レジャー観光島建設へ

(中国)

広州発

2019年05月21日

中国国家発展改革委員会は4月9日、「横琴国際レジャー観光島建設方案」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(以下、方案)を発表した。広東省珠海市の横琴島および管轄海域を合わせた106.46平方キロを「国際レジャー観光島」とする。海南省と福建省平潭総合実験区に続く、国内3カ所目の国際レジャー観光島となる。

方案では、発展の方向として、(1)マカオ経済の適度な多元的発展を促すこと、(2)世界トップレベルのレジャー観光地にすること、(3)中国の全域観光(注)モデル区になることが挙げられる。

今後の目標として、2020年までに観光レジャー産業を横琴の支柱産業として育成し、国際レジャー観光スポットを基本的に作り上げることを掲げている。マカオの観光資源との連携を進め、香港・マカオをつなぐ観光交通システムを整備することや、横琴全体の第三次産業の域内総生産(GRP)に占める割合を75%にすることも目標としている。

また、2025年までに観光レジャー産業規模をさらに拡大し、香港・マカオと連携した観光ルートを形成するとした。第三次産業のGRPを横琴全体の80%にすることを目指している。

2035年までに、全域観光システムを構築し、「一帯一路」参加国との観光協力を強化することで、競争力と国際的知名度のある国際レジャー観光島を作り上げることを目標として挙げている。

さらに、広東・香港・マカオグレートベイエリアを世界的な観光エリアとすることなど6つの重点任務を明確にした(表参照)。

表 横琴国際レジャー観光島建設方案の重点任務

香港・マカオとの観光協力を推進

珠海市の横琴島はマカオに隣接し、2009年には横琴新区が設立され、2015年に中国(広東)自由貿易試験区珠海横琴新区エリアとなった。観光業では現在、長隆集団傘下の世界最大の水族館の長隆海洋王国を代表とする多くのレジャー観光スポットがある。

中国観光研究院の宋子千首席戦略員は「香港・珠海・マカオ大橋(港珠澳大橋)」(2018年10月31日記事参照)の開通により、横琴は香港と直接につながることになった。横琴国際レジャー観光島の建設は、香港の投資力と需要を十分に活用し、観光市場の開発を加速させる」と述べた(「南方網」4月19日)。

横琴新区管理委員会の楊川主任は「マカオの観光レジャー産業は著しい成果を遂げたが、土地と人手の不足、単一な産業構造などの問題に直面している」「横琴とマカオは相互補完関係にあり、協同発展を通して、ウィンウィンの関係を実現できる」とした。(「羊城晩報」4月19日)

(注)特定の観光地だけでなく、地域全体を旅行の目的地として整備すること。2018年3月に中国国務院は「全域観光の発展促進に関する指導的意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、全域観光が中国の国家戦略になっていることを示している。

(郭冬梅)

(中国)

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