バーレーンがICT産業の可能性を日本にアピール

(バーレーン)

中東アフリカ課

2019年05月24日

バーレーン経済開発委員会(EDB)が5月22日に、東京・秋葉原のDMM.make Akibaで「バーレーン王国経済セミナー」を開催し、情報通信技術(ICT)産業を中心とする発展可能性やビジネス環境の魅力を日本に向けてPRした。ジェトロも後援を行った。

写真 オープンな雰囲気のDMM.make Akibaで開催(ジェトロ撮影)

オープンな雰囲気のDMM.make Akibaで開催(ジェトロ撮影)

冒頭、アハメッド・アルドーセリ駐日バーレーン大使と角茂樹元駐バーレーン大使からあいさつがあった。角元大使は、駐在期間の2011~2014年に、ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ国王の訪日や安倍晋三首相の同国訪問など両国の関係が大きく進展したことに触れ、外国人と友好的に付き合える気質、安定した政権、優れた生活環境など、バーレーンの多数の長所を紹介した。

続いて、バーレーンEDBが同国の投資環境に関する講演を行い、非石油産業がGDPの80%を占める多様性、多数の経済連携協定、法人税や個人所得税などが0%かつ外資100%進出が可能な投資環境、高い教育水準を持った人材、労働基金(Tamkeen)を通じた補助金制度など、その魅力をアピールした。

特に長年、湾岸の金融センターとしての地位を築いてきたことから、フィンテックに強みがあり、中東・北アフリカ地域でも最大規模の通信網・通信市場や携帯普及率により、ICT分野にも優位性を持つ。近年は、アマゾン・ウェブ・サービスもクラウドサービスの地域統括拠点を設置した。サンドボックス制度(注)や基金を通じた助成など、スタートアップ育成に適したエコシステムが整備されている点も強調した。

最後に、日揮データインテリジェンス本部の田中裕次本部長代行が、同社のICT技術を駆使した、バーレーンでのプロジェクト遂行事例を紹介した。直近2016~2018年のBANAGAS・BNGECとの大規模なCGP-IIIガス・プロジェクトにおいて、3Dデータ(設計)と調達・建設スケジュールデータの連携、建設現場での作業員の員数管理、作業待ち時間の効率化、現場記録のペーパーレス化など、ICT技術を用いたプラント設営管理を行った実績を紹介した。日本企業も金融機関に加えて、横河電機、大和工業、SBIファーマ、近鉄エクスプレスなどさまざまな分野から20社以上が進出しており、今後の関係の進展も注目される。

(注)革新的な技術やサービス(ドローン、自動走行、フィンテック、ロボットなど)を事業化する目的で、地域限定や期間限定で、現行法の規制を一時的に停止する制度。自由に試行錯誤できる「砂場」から命名。

(米倉大輔)

(バーレーン)

ビジネス短信 ad1898982d29bda9