ジェトロがキューバセミナーを開催、新しい貿易投資機会を紹介

(キューバ)

米州課

2019年05月24日

ジェトロと在日キューバ大使館は5月20日、東京で「キューバ貿易・投資機会セミナー」を開催した。冒頭あいさつでジェトロの佐々木伸彦理事長は、2015年12月のキューバと債権国との債務返済リスケ合意に触れ、日系商社や邦銀のハバナ支店開設が進んだことに言及した。また、ジェトロが2015年から「ハバナ国際見本市」に再出展していることや、2016年9月の安倍晋三首相のキューバ訪問によって、キューバが日本国内で注目を集めたことを述べた。来賓として登壇した日本キューバ友好議員連盟会長の古屋圭司衆議院議員は、2014年の法律第118号(外国投資法)施行などによる投資環境の改善に触れ、事例として人材派遣公社を介して派遣される現地人材の人選権が外国企業に付与されたことを挙げた。また、車両への高額な課税について、外国企業がビジネス用途で輸入する場合には関税などを低減することが決定されたことも紹介した。

写真 主催者を代表してあいさつするジェトロの佐々木理事長(ジェトロ撮影)

主催者を代表してあいさつするジェトロの佐々木理事長(ジェトロ撮影)

写真 来賓の古屋圭司衆議院議員(ジェトロ撮影)

来賓の古屋圭司衆議院議員(ジェトロ撮影)

カルロス・ミゲル・ペレイラ駐日キューバ大使は、安倍首相のキューバ訪問以降の日本とキューバの関係について言及し、「ハバナに拠点を構える日本企業は21社(うち7社は直近3年間で新規開設か再開)で、日本人観光客は年間2万人(約3倍)に達した」と述べた。さらに、「2018年7月に閣僚評議会メンバーが刷新され(2018年7月26日記事参照)、2019年4月10日に外資導入促進や個人資産保有容認を含む新憲法を公布・施行したことで(2019年4月15日記事参照)、新しいキューバとのビジネス機会が生まれるだろう」とコメントした。また、2018年の大型ハリケーン襲来などが国内経済へ影響し、同年秋からキューバの債務返済が遅延しているとしながらも、日本企業への債務返済を優先すると強調し、キューバとのビジネスにおいては中長期的なビジネスビジョンで臨んでほしいとした。

写真 「キューバ:現状と展望」について講演するカルロス・ミゲル・ペレイラ駐日キューバ大使(ジェトロ撮影)

「キューバ:現状と展望」について講演するカルロス・ミゲル・ペレイラ駐日キューバ大使(ジェトロ撮影)

また、マイレン・リベロ経済通商担当参事官は、2018年9月に外国投資法の補完規則が一部変更されたことで、キューバ政府への投資案件申請前に義務付けられていたFS調査と手続きが簡略化されたことを伝えた。2018年版投資機会リストへの案件掲載総数は525件(前年比69件増)で、農業食品業、観光業、再生エネルギー業などの14分野がキューバとしての優先分野だと紹介した。

最後に、ジェトロの峯村直志海外調査部主幹が米国の対キューバ制裁を解説し、米トランプ政権が2019年5月2日に発動したヘルムズ・バートン法(2019年4月18日記事参照)の概要と、その訴訟リスクについて事例を用いて紹介した(2019年5月9日記事参照)。

(志賀大祐)

(キューバ)

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