ユナイテッド航空、業績好調を背景に提携先の旅行代理店やカード企業へ強気な姿勢

(米国)

シカゴ発

2019年04月24日

シカゴを拠点とするユナイテッド航空は4月16日、2019年第1四半期の純利益が、前年同期比1.8倍の2億9,200万ドルになったと発表した(ユナイテッド航空ニュースリリース4月16日)。ボーイング737MAXの運航停止などの悪条件があったにもかかわらず、好調な業績となった。

ユナイテッド航空などの米国航空各社は、約10年前のリーマン・ショックによる景気後退や燃料費高騰により一時、経営不振に陥ったが、合併や景気回復を経て、経営基盤は以前よりも強固になっているといわれている。

ユナイテッド航空の業績好調は、提携パートナーとの交渉における強気な姿勢にも表れている。2019年2月、ユナイテッド航空はオンライン旅行代理店大手のエクスペディアと新たな契約内容の合意に達しなかったと発表した。契約内容の詳細は不明だが、エクスペディアとの契約がもはや十分な費用対効果をもたらさないとユナイテッド側が判断したためといわれる。現在はエクスペディア側の訴えにより係争中だが、仮にこのままだと、10月以降はエクスペディアのサイト上でユナイテッド航空の航空券を取り扱えなくなる。ユナイテッド航空副社長兼CCO(最高執行責任者)のアンドリュー・ノセラ氏は4月17日の会見で、「今は変革の時だ。私たちは自社サイトやアプリに投資し、より費用対効果が高く、透明性があり、サービスを広めるに最適な営業方法を追求し続ける」と述べている(旅行業界向けニュースメディア「スキフト」4月17日)。

また、ユナイテッド航空の強気な姿勢は、提携クレジットカードの発行元であるJPモルガン・チェース銀行との交渉にもみられる。ユナイテッド航空のスコット・カービー社長も4月17日の会見で、「われわれはチェース銀行との提携クレジットカード契約が、確実に航空業界内で競争的な価値を生み出す取引となるよう交渉を続けている」と述べている。これに先立ち、デルタ航空は4月2日に、アメリカン・エキスプレスとの契約条件を改善し、提携カードからの収益が2018年時点の34億ドルから、2023年には約70億ドルに倍増する見込みだと発表した(デルタ航空ニュースリリース4月2日)。ユナイテッド航空の提携クレジットカード契約改定交渉も、これに影響され、強気な姿勢で展開されることが予想される。

(河内章)

(米国)

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