ナザルバエフ大統領が突然の辞任、上院議長が代行に

(カザフスタン)

欧州ロシアCIS課

2019年03月20日

カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領(78歳)は3月19日、国民向けに談話を発表し、ソ連崩壊後から約30年間務めた大統領職を辞することを発表した。憲法上の規定(第48条第1項)により、3月20日から2020年に予定されている大統領選挙まで、カシムジョマルト・トカエフ上院議長(65歳、元首相)に大統領の権限が移行、代行を務める。

談話の中で辞任の理由は明確に述べられていないが、大統領就任から30年目を迎えるに当たり、退任の決断をしたとものとみられる。

ただし、ナザルバエフ氏は大統領の職は辞するものの、共和国安全保障会議議長、与党「ヌル・オタン」議長、憲法評議会メンバーの要職には引き続きとどまる。このことから、政治学者のアクサル・ヌルシャ氏は「ナザルバエフ氏は以前とほぼ変わらない権限を有し、国内政治に大きな影響力を与え得る」とコメントしている(「RBK」3月19日)。

ナザルバエフ氏が辞任を発表した3月19日のカザフスタンの通貨テンゲの対ドル為替レートは、前日比でドル高に振れたが、大きな混乱はみられない。中央銀行に当たるカザフスタン国立銀行はフェイスブックで声明を出し、「金融市場は安定しており、テンゲ下落の要素はない。国立銀行と市中銀行は十分な資金を有しており、個人や組織の需要に十分対応できる」として、金融・為替市場への国民の不安の沈静化を図っている。

(高橋淳)

(カザフスタン)

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