デジタルヨーロッパ、欧州発・未来のユニコーン企業を表彰

(EU)

ブリュッセル発

2019年02月22日

欧州の情報通信技術(ICT)関連産業団体のデジタルヨーロッパは2月21日、ブリュッセルで開催された、次世代デジタル技術政策について討議する国際会議「マスター・オブ・デジタル2019」の機会に、「2019年・デジタルヨーロッパ・ユニコーン賞」の受賞企業3社を発表した。デジタル分野で将来活躍が期待される欧州スタートアップ企業に対する同産業界としての表彰だ。

日系企業出資のスタートアップ企業も受賞

今回の受賞企業は、フィンランドの「マース(MaaS)・グローバル」(本社:ヘルシンキ)、英国の「テスラスーツ」(本社:ロンドン)、デンマークの「アンブラコ」(本社:オーデンセ)の3社だ。

マース・グローバルは「モビリティー・アズ・ア・サービス(MaaS)」と呼ばれる人の移動に関わる新統合型サービスに焦点を当て、タクシーだけでなく、レンタカーから鉄道、バスなど公共交通も含む各種移動手段をスマートフォンで予約・決済するサービスを展開している。トヨタファイナンシャルサービスやデンソー、あいおいニッセイ同和損害保険など日系企業も出資者に名を連ねている。

テスラスーツは世界初のフルボディー触感スーツ〔仮想現実(VR)技術を駆使して皮膚で触れているようなフィードバックを全身で体感できる実装スーツ〕の開発事業者。2018年1月のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES2018、米国・ラスベガス)に出展し、注目を集めた。

そして、アンブラコはオープンソースのコンテンツ管理システム(CMS)ソフトウエアの開発事業者で、同社によると、ユーザー・フレンドリーなソフトウエアとして需要が根強く、現在のインストール実績(稼働中)は44万件を超えるという。

なお、デジタルヨーロッパは2月20日に「欧州デジタル産業強化構想」を発表、2025年までに、世界のユニコーン企業数に占める欧州企業の割合を25%まで拡大する目標を明らかにしている。ユニコーン企業とは、その市場価値が10億ドルを超える未上場のスタートアップ企業で、デジタルヨーロッパは民間情報サービス企業の統計を引用し、2018年時点で世界に占める欧州企業の割合は11%にとどまるとしている。EUには米国、中国に後れを取っているとする危機意識が強く、欧州委員会も財政支援体制の整備を急いでいる(2018年4月12日記事参照)。

(前田篤穂)

(EU)

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