ガソリン価格値上げに対するデモ発生、日常生活に支障も

(ジンバブエ)

ヨハネスブルク発

2019年01月21日

1月14日にジンバブエ政府がガソリン価格値上げを発表したことを受け、首都ハラレと第2の都市ブラワヨを中心に大規模なデモが発生した。ロイター通信によると、少なくとも3人が死亡、70人が負傷、600人が逮捕された。2018年の大統領選挙後も経済的混乱が続いていた同国だが、ガソリン価格が世界で最も高い水準の1リットル当たり3.31ドルに引き上げられたことで国民の不満が噴出し、一部が暴徒化したとみられる。

今回の混乱を受けて、政府は同国最大の通信会社エコネットのインターネット通信を規制するなど、日常生活に支障が出ている。また、労働組合は1月14~17日にストライキ実施を発表。公共バスは広域でサービスを停止、国内航空会社ファスト・ジェットは国内便、周辺国を結ぶ国際便を欠航とするなど、交通機関にも影響が出ている。エマーソン・ムナンガグワ大統領は14日の値上げ発表後、当初の予定を変更せずロシア・中央アジアへの外遊に出発した。16日には訪問先のロシアから公式ツイッターで声明を発表。経済回復のためロシアと対話に来ていると説明し、沈静化を訴えた

在ジンバブエ日本大使館によると、17日になって通信規制は一部解除された。ハラレ市内のスーパーマーケットなどは一部開店、または開店準備が進められている。しかし、郊外の一部エリアには軍隊や警察が出動しており、ガソリンスタンドは閉まったままだ(1月18日時点)。大使館は邦人に対して情報収集と安全管理の必要性を強調しており、なお予断を許さない状況だ。

ジンバブエでは2017年11月に、37年間大統領を務めたロバート・ムガベ氏が辞任した(2017年12月6日記事参照)。2018年7月の大統領選挙で当選したムナンガグワ氏(2018年8月30日記事参照)には荒廃した経済状況の立て直しに期待が集まっていた。

(築舘弘和)

(ジンバブエ)

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