重慶市、製造業企業のコスト削減へ政策措置を発表

(中国)

成都発

2018年12月10日

重慶市政府は「重慶市製造業企業のコスト削減に関する若干の政策措置」(渝府弁発〔2018〕155号)(以下、政策措置)を発表(11月6日)した。成長スピードの鈍化が顕著な製造業企業の負担低減と構造調整の促進、長期的なコスト削減などのため、としている。

政策措置では、製造業企業の土地供給、社会保険、輸送、税優遇、エネルギー、調達、資金調達などに関する措置を明記するとともに、所管部署とその責任を明確にした(添付資料参照)。

重慶市統計局は10月26日、2018年1~9月の同市の経済概況を発表した。発表によると、同市の域内総生産額(GRP)は、前年同期比6.3%増の1兆4,773億3,000万元(約23兆6,373億円、1元=約16円)と、中国全体の成長率(6.7%)を0.4ポイント下回った。そのうち、一定規模以上の企業の工業生産増加額(付加価値ベース)は1.6%増で、中国全体の伸びを4.7ポイント下回った。

市経済の伸びの鈍化に対応

同市経済の伸びの鈍化を受け、10月17日に行われた市政府第27回常務会議で、製造業企業のコスト削減に注力するとの方針が打ち出され、従来の伝統的な製造業のアップグレードおよび構造調整を着実に促進する対策が明確にされた。製造業企業コスト削減で同市の質の高い発展を図ろうとしている中、伝統的製造業振興のために3つの方法を提示した。

(1)社会保険、物流、企業融資、エネルギー方面での製造企業のコストの適切な削減、(2)工業企業の自動化、デジタル化、スマート化の技術導入への重点的な支援、伝統的産業の高い生産能力への転換、新技術の応用推進、(3)より効率の良い市場メカニズムを構築するため、企業間の連携の積極的な推進と制度に起因する取引コストの軽減、の3つだ。

重慶市は2017年から供給側の構造改革を推進し、税優遇政策や企業負担低下などの措置を実施した結果、企業負担400億元余りを軽減できた。今回公表した政策措置も、中国全体の実体経済の振興政策に従うもので、地方の状況を踏まえ、計画的に展開していく方向性にある。一方、重慶市の製造業企業にとっては、経営面の自信の回復も期待できる(「重慶日報」11月15日)。

(王植一)

(中国)

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