2020年以降のプラスチック製袋の使用禁止を閣議決定

(オーストリア)

欧州ロシアCIS課

2018年12月18日

オーストリア首相府は12月3日、プラスチック製袋の使用を2020年から禁止することを閣議で決定したと発表した。また、2020年以降はマイクロプラスチックを化粧品や洗剤の材料として使用することも禁止される。

持続可能・観光省によると、現在、オーストリアでは毎年5,000~7,000トンのプラスチック製袋が利用されている。捨てられた袋の処理は自治体や農業にとって大きな課題で、環境汚染の原因となっているほか、1日当たり100キログラム以上のプラスチック袋がドナウ川に流出しているという。政府は、2025年までにプラスチック製袋を含むプラスチック包装資材の使用コストを、2016年比で20~25%削減することを目標に掲げている。

2020年1月1日以降に使用が禁止されるのは、生物学的に完全に分解されるものを除く全てのプラスチック製袋。欧州では、イタリアとフランスが同様の規制をそれぞれ2011年と2016年に導入している。また、EUレベルでは、欧州委員会が使い捨てプラスチック製品を規制する法案を2018年5月に発表し、2019年5月までの採択を欧州議会とEU理事会に求めている(2018年6月5日記事参照)。

今回の閣議決定に対して、産業界を代表するオーストリア連邦産業院(商工会議所に相当)は、企業側も環境保護の重要性を認識していると前置きした上で、今回の規制は不要との見解を示している。小売業界は自主的にこれまでプラスチック袋の削減に向けて取り組んできており、顧客への無料のプラスチック製レジ袋の提供は現在、実質的には行われていないという。また、国内の多くの消費者が他国のオンラインショッピングサイトを利用して買い物をしている中で、オーストリア国内の企業のみにプラスチック製袋の使用を禁止することに疑問を呈した。

政府は、小売業界の取り組みを認めながら、今回の規制により、さらに全社会的にプラスチック使用削減を進めていきたい、としている。セバスティアン・クルツ首相をはじめ担当閣僚は、大手小売企業や各業界の代表者とランドテーブル会議を開催し、プラスチック製袋の使用禁止に伴って生じる課題に対応していくと表明している。

(鷲澤純)

(オーストリア)

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