ロシアとASEAN、情報通信技術を中心に経済協力拡大で合意

(ロシア、ASEAN)

欧州ロシアCIS課

2018年11月15日

11月14日にシンガポールで「第3回ロシア-ASEAN首脳会議」が開催され、ロシアのプーチン大統領、シンガポールのリー・シェンロン首相らASEAN各国首脳が出席した。両地域間の協力を、対話レベルから戦略的関係に引き上げること、経済協力を拡大させることなどで一致した。

首脳会議後に「戦略的パートナーシップに関する共同宣言」が採択され、ロシアとASEANが政策・安全保障、経済、社会文化の各分野で協力していくことが明記された。経済分野では、ASEANとの協力対話の枠組みをロシア単独からロシアが主導するユーラシア経済連合(EEU)、中国が参加する上海協力機構まで拡大させる方向性が示された。また、情報通信分野に関しては、別途「情報通信技術およびその利用セキュリティー分野に関する共同宣言」が採択され、両地域で情報通信技術の悪用・犯罪・テロ対策や人材育成などで協力を推進することなどがうたわれた。

共同宣言の採択に合わせ、EEUの事務局であるユーラシア経済委員会のチグラン・サルキシャン委員長はリム・ジョクホイASEAN事務総長と会談し、EEUとASEANの相互理解に関する覚書に署名。同委員長はシンガポールのリー首相とも会談し、EEUとシンガポール間の自由貿易協定(FTA)交渉に進展があったことを確認している。

ロシアとASEANの貿易額(注)については、2017年実績でロシアからASEANへの輸出は66億7,508万ドル、うち61.0%を鉱物性燃料などが占めている。ロシアのASEANからの輸入は108億6,625万ドルで、28.3%を電子機器、19.3%を機械類が占める。ASEAN全体の輸出入額に占めるロシアの割合は、輸入が0.52%、輸出が0.79%となっている。

(注)出所はITC Trademap。

(高橋淳)

(ロシア、ASEAN)

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