英政府、EUとの将来関係に関する政治宣言の概要など公表

(英国、EU)

ロンドン発

2018年11月16日

英国のEU離脱(ブレグジット)交渉に関するEUとの暫定合意文書が11月14日に閣議で承認された(2018年11月15日記事参照)のを受け、英国政府は、暫定離脱合意文書と将来関係の枠組みに関する政治宣言の概要を公表した。

政治宣言の概要では、物品貿易について、包括的な自由貿易圏を創出し、制度・通関において密接な協力を実現するとした。また、通関に関する野心的な取り決めにより、全品目で関税や数量割当の回避を目指す。

金融サービスでは、英国とEU双方が規制・意思決定の独立性、自らの利益に基づく同等性評価の意思決定の自由を尊重しながら、金融市場の安定や市場の一体性などを維持する。同等性評価の手続きはブレグジット後速やかに開始し、2020年6月までの完了を目指す。

漁業では、英国が独自の規制を有する沿岸国であるとしつつ、双方の排他的経済水域へのアクセスや漁業権の割り当てなどについて新たな漁業協定を締結する。

そのほか、国家補助、社会・雇用基準、環境基準、気候変動および関連税務などに関しては、公平・公正な競争環境を設ける、とした。

暫定離脱合意文書と政治宣言の概要と同時に公表された、英国とEUの(交渉官レベルでの)共同宣言では、将来関係において今後さらなる交渉が必要な「チャレンジング」な分野として、物品貿易と安全保障を挙げている。

物品貿易では、自由貿易圏(FTA)を創設、単一関税領域構築の必要性について離脱合意で原則合意したが、その際の権利と義務の在り方をEU単一市場・関税同盟、英国独自の貿易政策の中でどうバランスさせていくかが今後の課題となる。安全保障に関しては、EUの法秩序から外れる英国の将来の地位の取り決めに関してさらなる検討が必要とした。

また、英国とEUとの将来関係に関する政治宣言の概要は、英国が2018年7月に、EUが3月に発表したそれぞれの交渉方針をベースに交渉し、データ保護、サービス、投資、運輸やエネルギーなど広範な分野での協力などにおいて、双方の交渉方針を収束するかたちでまとめたことが明らかにされた。

(木下裕之)

(英国、EU)

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