民間従業員に特別ボーナスを支給、政府が政令公布

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年11月16日

政府は11月13日付の政令第1043/2018号を公布し、民間部門の従業員に対して5,000ペソ(約1万6,000円、1ペソ=約3.2円)の特別ボーナスを支払うよう定めた。今回の措置は、昨今の急激な物価上昇を踏まえたもので、政令には従業員の購買力を保つためと記載されている。公務員、農業労働者、家事代行サービスの労働者は対象外とされる。

政令には特別ボーナスの支払い方法も記載されている。2018年11月分の給与にボーナスの50%分、残りの50%分は2019年1月分の給与に合算する。他方、ボーナスという一時金の支給ではなく、賃上げ(ベースアップ)の合意に至った業種では、特別ボーナスで相当額を遡及(そきゅう)補填(ほてん)するなど、必要に応じた調整も可能とした。

さらに、政令には「理由なき解雇の事前連絡手順」が含まれ、雇用主は従業員の解雇の10日間前に、工業生産・労働省にその旨を連絡するよう義務付けた。解雇を禁じる措置ではないが、対象となる従業員と雇用主、そして労働組合の立ち会いの下で、解雇条件などを協議する場を同省に設ける仕組みとなっている。解雇の事前連絡は2019年3月31日まで義務付けるとあり、違反があった場合には法律第25212の付属書IIに基づく罰則が科される。なお、建築業の労働者は対象外とされた。

労働総同盟(CGT)は、9月25日のゼネスト(2018年9月28日記事参照)に続いて、11月中に36時間のゼネストを計画していると表明したため、それを阻止するために今回の政令が送付されたとされる。政府は大規模な解雇は行われていないとするものの、製造部門では年間3万2,600件の働き口が失われているとの公式統計もある。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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